ケロロ軍曹、考察
オマージュの豊富さ
本作品「ケロロ軍曹」を読んだことのある人ならばわかると思うが、この作品は非常にパロディ、オマージュが多い。元のネタを知らなけれなば??となってしまうかもしれない。また元のネタを知っていたとしても、作者である吉崎観音先生がそれらのネタをうまく入れ込んでいるので気づかないことも多々ある。本来、他作品のパロディは褒められたものではない。作者は自分のオリジナルで勝負すべきというのが漫画界の通念であるだろう。だがこのケロロ軍曹においてはそれは例外である。何故ならば、作者がパロディやオマージュを巧みに使いこなしており、その土台となるのは作者の他作品への深いであるからである。この作風が他作品に与えた影響というのは凄まじく、新たなジャンルを創ったと言っても過言ではない。
ケロロ軍曹とは一体何者なのか
「ケロロ軍曹」はよく子供向けの漫画であると思われているが、実際にはそうではない。確かに子供向けな話も多くはある。が、その一方で伏線の数々や複雑な設定、謎が存在している。その中の1つの謎であるのがケロロ軍曹とは一体何者であるかというものだ。普段はただおちゃらけているように見えるだけだが、ピンチの時には頼りになる(ならないこともある)。作中で一度見せた超隊長命令であるが、これは仲間が危機に瀕した時に発動するものである。このことについてだが、何故ケロロがケロン軍の最高権限を持ち合わせていたのだろうか。ケロンスターの効用と言われればそれまでなのだが、どうもその説明だけでは腑に落ちないところがある。また、ウォーリアースタイルに変身した時もケロロが小隊の中で一番能力が高い。やはりケロロにはまだ何かあるに違いない。ただ単に潜在能力が著しく高いのか、もしくはそのように作られたケロン軍の兵器ということも考えられないだろうか。どちらにしてもケロロというキャラクターに関する関心は深まるばかりである。
主題について
主題は言わずもがなだが宇宙人と人間の友情であろう。ケロロと冬樹、ギロロと夏美、のように小隊の一人一人にパートナーとなる人間が一人ずつついている。このような異星間交流を時にはギャグチックに、時には真剣に描かれているのである。またこれは深読みのしすぎかもしれないがもう1つの主題としては勧善懲悪が掲げられていると私は思う。ケロロ達(悪)が侵略を進めるのを日向家(正義)が食い止める構図が多々取られている。読んでいる子供達中心に正義は報われるということを暗に示しているように見える。またケロロ達が毎回悪として描かれていないというのも注目すべきポイントである。時には善行を果たし、それが報われているというのも勧善懲悪を目立たせる1つの技術であろう。
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