好きだ米沢守
六角さんだからこそ米沢守
正直、六角さん本人に対するイメージは何となく嫌な感じがしていた。小太りであり、ぱっつんボブも黒ぶちメガネも受け入れがたく、何より結婚回数がすごく多いので、愛薄い人なのかなって勝手に思ってて。でも噂によると、六角さんの離婚原因はギャンブルらしいし、優しさとか、ブサかわいい表情とか、ハスキーボイスとか、そもそもあの野獣感が好きっていう女性が多いらしい。壇蜜さんもそそられるらしいから、六角さんの魅力ってことなんだろう。それに、やっぱり相棒シリーズの鑑識は米沢守じゃないと嫌だなと思わせてくれる、そんな演技が大好きだ。あの鑑識オタク感と、素朴さを出せるのは六角さんしかいないでしょって思っている。相棒のおかげで六角さんは俳優としてブレイクしているが、売れっ子になった六角さんの米沢守としての演技は変わらずキープされているから良い。
相棒シリーズで杉下警部が信頼する鑑識の1人なのが米沢守。鋭い洞察力と判断力、鑑識の能力の高さ…そして何より、杉下警部の捜査方法に共鳴できる、組織の中でも自由に動き回れる貴重な人材である。そんなキーパーソンでありながら、米沢守は常に影の立役者であり、刑事課が事件を解決できるように証拠を挙げることこそが仕事。目立ちすぎてはいけないし、刑事たちが求めるものを常に掘り当てる能力に長けていなければならない。六角さんはビジュアルから何からちょうど良すぎて…ハマり役なのだ。
そんな米沢守が主人公になるこの作品。六角さん人気の高さをうかがわせるね。
相棒がとにかくおもしろかった時のスピンオフ
相棒シリーズは、どう考えたって杉下さんと亀山くんのときのシリーズが最高だと思っていて、彼らのいたときの米沢守だからこそ、熱くなるものがあったなーと思っている。
舞台はあの42.195kmマラソン大会の爆破予告事件のとき。その防犯カメラの中で自分の元妻らしき人物を偶然見つけてしまった米沢守。彼女に会いに行かずにはいられなくなった彼が彼女の住んでいるところを訪ねようとするが、あと一歩、呼び鈴を押す勇気が出なくて引き返してしまう。そして次の日彼女は殺されていた…という流れ。そそるねー相棒っぽいねーと思える始まりだ。
実は元妻ではなくて、他人の空似で瓜二つ・名前も同じだったという奇跡みたいな女性が死んでいたのだが、彼女の元夫とともに死の真相を探る2人だけの捜査が始まる。この時点で、六角さんの現実世界とリンクしてるんじゃないか?と思えてクスッと笑えるんだよね。おいおいこっちもかって。常に杉下さん・亀山くん目線で進んでいた物語が、周りのメンバーの背景も加わってより厚みを増す感じがする。米沢守でもここまでやるんだ!って知ると、ドラマシリーズをまた見たくなるし、受け止め方も変わってくる。それくらい、いい影響力があった映画だった。
殺された真鍋知子という女性の死は、いつも通り自殺で片付けられ、そこをくつがえそうと踏ん張る米沢さんが素敵。そして杉下警部を信頼しているからこそ、厳しく接しながらも米沢守を無下にしない神保さんも好きだ。
杉下さん&亀山くんも忘れてない
もちろん、本当にちょいちょいだが、杉下さんと亀山くんもちゃんと出てくる。お二人は爆破予告の事件解決に追われて忙しくしているときで、そんな中でも米沢守が繰り広げていたもう1つのたたかいがあった…!的なつくりはうまいなーと思う。そっちの映画ももう1回見ようかなーって気分になるし、逆に杉下さんたちの映画のときに出てきた米沢守が、忙しいながらもそんなことをやってたんかなって思うと深みが増す。
米沢守にとっては、自分を認めてくれた広田さん、そして信用してくれる杉下さんと亀山くんは本当に大切な人。貢献しようとする彼が素敵だ。そして、彼らがやってのける、警察幹部とのたたかいも知っている米沢守は、自分だってやるときゃやるっていう気持ちで挑んでいっていると思う。自分の尊敬する人たち・信用してくれる人たちがいるから、俺だって…そんなピュアさがたまんないんだよ。1人の人間の死を自殺で片付けようとする警察幹部どもの怠慢に負けず、証拠をつかもうと捜査にあたる米沢さん。鑑識らしく証拠をあげようとするんだけど、それが見つからないんだよ…鑑識としてできることがないってなったとき、それでも確実にそこに犯人がいるってわかっているから、勝負に出た…すっかり杉下さんじゃん。犯人を追い詰めるテクニック、それ、いつの日だったか杉下さんが使った方法だったと思うよ。彼なりに憧れに近づこうとしているのかもしれないね。
おれも相棒見つけました
米沢守は、この映画において相棒を見つける。元妻によく似た女性の元夫である相原誠。何の因果かわからないが、同じ警察内部に同じような見てくれの女を好きになって、同じように離婚した仲間がいたなんて。運命感じちゃうよね。はじめこそ相原のペースに巻き込まれて事件の捜査に乗り出した米沢守。どんどん進む相原に困りながらも、それが他殺であるという可能性がある限り、鑑識としても事件を捨ておくわけにはいかない。刑事部長からお叱りを受けようが、突き進んでいくしかない。そうですよね、杉下さん…
そうやって事件に突っ込み続け、現場に立ち返っていろいろ調べ、ついに見つけた盗聴器。そして青酸カリの入手先の謎、横領の可能性…たくさんの事実が浮かび上がってきた。やはり、困ったら原点に立ち返って捜査すべし。刑事ドラマの神髄だ。相原との関係も、相棒って感じに。「おれも相棒見つけましたよ、杉下さん、亀山さん。」って言う米沢守、かわいいわ。
米沢守と相原の関係は、この映画のおかげで後のドラマシリーズでも少しだけ登場したことがあった。なんかいつでもタッグを組んでもらいたいけどね。小説でとどめておかなくてもいいから、特番や別の映画のときでも登場してくれないだろうか。ガチで楽しみにしているんだよ。今度はもっと相棒らしく、かっこいい事件解決をしてもらいたいね。相手をあぶりだすために嘘をつくのでなく、きちんとした鑑識の証拠を積み上げて。
1時間ドラマでわからない六角さんの魅力をたっぷり
ラストでは、尊敬する杉下さんと亀山くんに、自分が解決することになった事件を語り始める…いいわ~和やかで。「なるほど、それはよく気づきましたねぇ~」って杉下さんが言ってるのが想像できて、米沢守が光を浴びた気がして嬉しかった。事件解決方法は、鑑識のくせに行き詰まりの苦肉の策だったのが残念だったが、それもまた米沢守の新しい挑戦って感じもしてよかったと思う。1時間ドラマの見方も変わってくる、いい映画だった。
いかに六角さんが相棒で流行ったか、それがよくわかる作品だった。六角さんはプライベートでも充実して、米沢守のおかげでギャンブルの借金返済ができたし、別れた2番目の妻と4度目の結婚をすることにもなった。本来のオタク趣味も生かして番組出演ができるようになったし、実はバンドマンだったっていうポテンシャルの高さも評価されることになったらしい。
相棒の初期メンバーこそ至高だと考えていて、新しいメンバーがどんどん追加され、レギュラーメンツが卒業していくのは悲しいことだが、忙しくなってしまった六角さんも例外ではなく…出なくなるなんてこと、やめてほしい。米沢守以外で鑑識なんて…ドラマではそりゃーちょい役かもしれないけど、杉下さんなみに代わりのいないキャラなんだよ。
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