ウルトラQの美女回を語ろう! - ウルトラQの感想

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ウルトラQ

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映像
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キャスト
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音楽
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演出
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ウルトラQの美女回を語ろう!

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.0

目次

怪獣やSF性はさんざん語られているので、美女特化で考察してみよう

本作は半世紀以上前の作品、何度も再放送もされ、映像ソフトが発売されるたびにスタッフのコメントが集められ、リメイクもされている。

正直なところ、考察する所なんて残されていないほど味わいつくされた作品だ。

そこで全体感は無視して、美女登場回に絞って、しかもたられば再解釈や、新訳という形で文をつづってみようと思う。 

ルパーツ星人・ゼミの笑顔の意味を考えてドキドキ

第21話「宇宙指令M774」、多くの感想やレビューで、最後の1分がクローズアップされる話だ。

キール星人が地球侵略のために送り込んだ怪獣ボスタングを倒すように警告するルパーツ星人ゼミがメインキャラクターである。

怪獣ボスタングの外観はほぼ現実のエイ、デザインもキャラクター性も乏しく、あまり名作扱いはされていない。

クライマックスでそこら中に宇宙人がいるかも、というセリフのインパクトだけが切り離して語られることが多いのだが、果たしてその楽しみ方でよいのか?

何度か見返してゼミの表情を細かく読み解くと、30分すべてのシーンが楽しめる回であることに気付く。

初登場シーンは円盤から降りて来たらしく足のみが描写される。ここはクライマックスへの伏線として重要だと誰しもわかる。

続いて万城目たち3人と中央図書館で面会するシーン。

彼女は「一条貴世美です」と名乗るが、すぐにルパーツ星のゼミとわざわざ名乗りなおす。若干の違和感があるが軽く流してしまいそうなシーンだ。

しかしここにも注意すべき点がある。

このシーン、彼女が地球人とのコンタクトに慣れておらず、会話や行動が手探りだったことを示しているのではないか、と私は思う。

番組後半に彼女が地球の美しさにあこがれてやってきたことがわかるのが、もしかすると地球での名前は何にしよう、これがいいかな、とウキウキやドキドキしながら付けたものかもしれない。そう思うと無表情な彼女にかなり親しみが沸く。

 

考察ついでの余談だが、たくさんの宇宙人が地球に住みついているという前提の話なので、あるいは名前や住居をあっせんをしている宇宙人(もちろん地球人の姿で)がいるのではないだろうか。

客船の上でわざわざ人形に喋らせたり、山奥のカフェ(?)でわざわざ通信装置を仕込んでいたりと手が込んでいるのも、地球に同士がたくさんいて、いろんなことを依頼できるという事を示す証拠なのかもしれない。

 

続いてに彼女が巡視船ねぎしの乗員たちにボスタングの説明をするシーン、ここでは彼女の髪を覆うスカーフに注目してほしい。

彼女はこの星で幸せに生きることを夢見て、これが地球の女性のオシャレなのね、と練習をしていたのだ、と想像してみるのもまたほほえましい。

 

ここでゼミの任務を独自解釈してみよう。

彼女の任務はボスタング撃退ではなく、警告と地球人がボスタングと闘うことを決意させる、というものだったのではないだろうか、と私は考察する。

冷静に考えれば、撃退自体が目的であればゼミも武器を携行しているとか弱点を教えるとかあるはずだが、そんなシーンは全くない。

船が出航してから、軽口をたたく乗員たちを見て、彼女はこれまで見せなかった子供のように困った表情を見せる。14分50秒頃のシーンだ。

この時の彼女の感情はえっ、この人たちもしかしてやる気無いの?困ったな、であろう。

しかしこれは杞憂に終わる。

程なくボスタングに遭遇し、船長がボスタング攻撃を指示したからだ。

この時点で彼女は任務を完遂した。

しかし、同時に彼女は自分が大きな失敗を犯したと気付いていた。この船にはあの怪獣を撃退する武装が無いではないか!

彼女の目的は地球永住であり、地球人への警告はその手段、まして戦闘は任務の範囲ではない。それなのに、自分自身が命の危機にさらされている!

何という不条理!

ここから彼女は生存を優先し、エンジン停止を提案する。

どうすることもできない彼女を、乗員の一人が宇宙人ならやっつける方法を示せ、と責める。

これに対して彼女は「出航前に私の警告を聞いてもらえなかったのが残念です」と答える。

実際に彼女にしてみれば知ったことではないのだ。

私はただ地球で安穏と暮らしたかっただけ、怪獣退治は被害を受ける地球人の責任で勝手にやってほしい。

ようやく救援隊の戦闘機が来た時、彼女の晴れやかな表情になる。

ああ、これで無事地球で暮らせる、と安心する彼女。

陸地に戻った彼女はこれまでにない穏やかな表情をしている。

「あなたの隣の方、その人も宇宙人かもしれませんよ」

この時、彼女は最高の笑顔を見せる。

おそらくルパーツ星は環境が悪く、彼女たちの暮らしも劣悪だったに違いない。

それに引き換え地球は美しく住みやすい。

その上自分たちが大挙して押しかけていることに気付いてすらいない。

彼女たちがやっていることは実は侵略である。

しかし地球人たちはその事実に気付ていない。なんて脇が甘い種族なんだろう!

ここでなら自由に楽しくやっていけそうだ。

最後の笑みはそんな意味なのだと思う。

 

ちなみにゼミ=一条貴世美役の女優は水木恵子、あまり他の作品には出ておらず名前で検索してもほぼ本作しか出てこない。

残念な気がするが実際よりも本作の印象が強かったのかもしれない。 

事件に巻き込まれた彼氏を想う女性の二例 「変身」と「ぺギラは来た!」

ウルトラQでは怪事件に巻き込まれた男性とその人を想う女性の話が二編ある。

「変身」と「ぺギラは来た!」だ。

この二人の女性が対照的なので考察しよう。

まず「変身」のあや子について。

この回は愛について直球で語っている。

エンディングナレーションで石坂浩二が「もしもあなたの恋人がアンバランスゾーンに堕ちた時、それでもあなたの愛は変わらないと言えるでしょうか?」と問いかける通り、変わり果てた姿になった恋人を愛の力で取り戻す、というのが主題だ。

しかし、わたしはクライマックスでのあや子の言葉で、どうしても納得いかないところがある。

巨人化した恋人の眼前に危険を顧みず近寄り、訴えかけるシーン、彼女は次のように叫ぶ。

「お願いよ、山へ帰って、もうこれ以上私を苦しめないで」

え?愛を語るんじゃなくて自己保身?

由利子たちには彼を見捨てて逃げた事を悔やんでいたのに、ごめんなさいの一言も無いんかい! と突っ込みたくなるセリフで、どちらかと言えば愛情とは逆のセリフに思えてならない。

もし私が脚本家であれば以下のような趣旨で書くと思う。

「お願いよ、私の事を思い出して、元の優しい浩二さんに戻って」あるいは

「あなたがどんな姿になっても私の愛は変わらないわ」などだろうか。

 

調べてみるとこの回の脚本は北沢杏子という女性、テレビドラマも多数手がけているが、フェミニズム活動家としても知られている。

そうか男女平等を主張する立場からみると愛情云々よりも私に迷惑かけないでよね、が優先なのか…と、ちょっと違う意味の恐怖を感じてしまう。

とは言え、一の谷博士が発明した熱原子X線で恋人が元の姿に戻り、ハッピーエンディングとなる。巨人だったら迷惑だから遠くに行ってて欲しいけど、だけど人間に戻った途端に抱きしめ合う対象に復帰するという展開に、私は感情移入できない。

 

これでぐったりしてしまった男性は「ぺギラが来た!」の久原洋子隊員の美しいぱっちりした目で心を和ませてほしい。(上記のあや子より洋子の方が美しいとか書くとフェミニストの方々にお叱りを受けるだろうか)

彼女は無念の死を遂げた婚約者の事を調べるために、わざわざ南極越冬隊に志願して実際に現場までやって来る。

真相を調べたところで彼はもう死んでおり、この話にハッピーエンドは無い。

彼女は巨大怪獣ぺギラに遭遇しても、感情に走ることなく冷静に物事を分析し、ペギミンHを作り出してぺギラを追い払い、念願であった恋人の供養を行う。

婚約者の行方不明を1年間無視して、世間には喧嘩別れしたと偽って普通に暮らしていた「変身」のあや子とは大違いである。

まして「変身」の現場は蓼科高原、東京からわずか200kmの日帰り圏内、14000km離れた南極の昭和基地までたどり着こうとする洋子の執念とは比較にもなるまい。

もちろんあや子にも言い分はあるだろう。

結婚直前に私を放置して蝶を追いかけて行った挙句、巨人になるってどういう事よ! みんなにリア充アピールしてた私の立場を考えてよ! というところか。

 

結局、「変身」のテーマは愛情ではないのかもしれない。思えば「蝶」というのは美しい女のメタファーとも考えられる。

これを踏まえると前述したエンディングナレーションは次のようなものが適当だったかもしれない。

「男性のみなさん。愛する女性がいる時は絶対に他の事に興味を持ってはいけません。怪事件は科学の力で解決できますが、女性の怒りに科学は及ばないのですから」 

第9話「クモ男爵」の今日子

この回のゲストは若林映子、国内のみならず海外でも活躍した有名女優だ。

なんと007にボンドガールとして出演している。

黒髪が美しくエキゾチック、糸を頭上にかけられるシーンがイロイロそそる気はするがそれは置いておこう。

クモ男爵の伝説に娘が登場するので、それを意識したキャスティングだったのだろう。

役柄的には普通の女性で、影もなく過去もなく糸を掛けられる以外ひどい目にも合わず、残念と言えば残念である

美しいだけでなく演技も上手いので、もっと重要な役にしても良かったのではないか。

たらればだが、クモが彼女を娘と思いこんでいる、という演出を入れても面白かったかもしれない。

可哀そうだが竹原と葉山はクモに襲われて殺されてしまうが、なぜか今日子は殺さない。

糸で動けなくした後、眼前まで迫って来るけどじっと顔を覗き込む、とかどうだろう。

万城目に「死んだ娘と勘違いしているんじゃないか?」とか言わせておいて、しかし画面上は恐怖におののく美女と醜悪なクモの顔がひとコマに収まっているという恐怖映像。

万城目や一平の攻撃で体が燃え上がりつつも、ひたすら今日子に執着、ひぃぃっーと叫びながら逃げる今日子のスカートの裾が破れていたりすると尚良いかもしれない。

 

余談だがweb上では彼女の名が「恭子」と表記されている記事も散見される。

番組中のキャストを見ればわかるかと思ったが若林映子と表示されているのみで役柄名は表記されていない。ここではWikipediaを信用して「今日子」という表記を採用した。

やっぱり江戸川由利子無くして本作は語れない

第1話「ゴメスを倒せ」で初登場、全28話中26本に登場する本作の堂々たるヒロイン、江戸川由利子。

万城目淳を慕っており、時に可愛らしく、時には凛々しく、怪事件と向き合う。

記者という立場もあって、カジュアルなスタイルが多いが、取材などでめかし込んだ姿も美しい。髪型も何度か変化しており、出るたびに我々を楽しませてくれる。

彼女に関してはweb上に既に多くの記事や考察があるので、私が好きな江戸川由利子ベスト3シーンを挙げよう。

ベスト3:第13話「ガラダマ」

この回は髪をおろしていて姿も可愛いが、何と言っても話への関与が素晴らしい。

ガラモンに直接対峙するのは万城目、一の谷博士、一平らだが、由利子はガラモンの電子頭脳がある東京にいた。

科学者たちに次々と提案し、彼女は結局推理のみでガラモンを機能停止に追い込んだのだから、シリーズ中で最高の活躍であろう。

ベスト2:第17話「1/8計画」

夢ネタなので基本ストーリーは陳腐ではあるが、完全に由利子が主役の回なので彼女を語るには外せない。

天真爛漫で仕事熱心な由利子だが、28話「あけてくれ」でも日常がストレスフルであることを語っている彼女。ラッシュの人並みに押されて倒れた時に見た夢なせいか、かなり被害妄想的な話だ。

人間を1/8サイズに小さくすれば、土地や渋滞に関する問題が解決、という着眼点はまさにウルトラQならではだが、縮小された由利子が世間では死んだことにされており、万城目が彼女の遺影を片付けてしまおうと言い出すシーンはあまりにも悲しい。

現実の日々で彼女なりに押しているのにはっきりしない万城目への不満と不安が露見したのだろうか?

一転して彼女を救出しに来る展開はやはり彼女の願望だろうが、この切り替わりが夢っぽい演出とも言える。

しかし救出に来た万城目と一平を目の当たりにすると、自分はもう違う世界の人間になってしまった、としり込みしてしまう。

シチュエーションとしては前述した「変身」の逆パターン、変わり果てた自分が日常に戻れるか、という問いかけだ。

ここで夢が覚めるのだが、彼女はそれが夢だったと気付いておらず、万城目たちが日常を捨てて異世界側の住人になったと思っている。

夢オチ、しかもそれが覚めたことに気付かない、という一見コミカルな展開に見えるが、考えてみると深い。

元の社会側から異世界に移動してしまった自分を見られた時は、もう向こう側の人とは付き合えないと思うが、その人たちがこちら側に来てしまえばむしろ安心する、というのは意外と現実社会でもよくあることかもしれない。

番外1:第23話「南海の怒り」

由利子はあまり重要な役を負わないが、探検服が凛々しい。

大ダコ・スダールを退治した後、島に残る雄三に、なぜか最後の瞬間に見せるウインクもキュートだ。

番外2:第19話「2020年の挑戦」

この回は髪型がベリーショートでナイスである。

公衆電話からたくさんの小銭が出て来た時の由利子のしぐさが昭和のコミカルシーンという感じで可愛いらしい。(小銭は何かの伏線かと思ったが特に何もなかった…)

クライマックスで危機が去った後再会する万城目と由利子がほほえましいが、抱き合って喜ぶシーンまで描かずコミカルに逃げるのはこの時代的照れなのだろうか。

ベスト1:第28話「あけてくれ」

栄えあるベスト1はストーリーではなく数分のワンシーン。

一平を置きざりにして、万城目を車に押し込み、発進をせがむ由利子。

この後、「二人きりのドライブって素敵♪」「帰らないもん。帰らないわよ、私」「あなたとわたしだけの世界」とラブラブワードを連発する彼女が本作最高のシーンだ、と私は思う。

時々奇妙に積極的な彼女だが、今回ほど攻めている回は他にない。

こんなの一生のうちに一回聞けるかどうかくらいの有難い言葉だ。

最終回にふさわしいヒロインっぷりである。

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