麻雀漫画「天牌」から学ぶ、人生との向き合い方。 - 天牌 麻雀飛竜伝説の感想

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天牌 麻雀飛竜伝説

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麻雀漫画「天牌」から学ぶ、人生との向き合い方。

2.82.8
画力
4.0
ストーリー
3.0
キャラクター
4.0
設定
2.5
演出
2.5

目次

普通の社会から足を踏み外し、麻雀打ちとして生きていく覚悟をする主人公

この漫画は一言で言って「私の人生のバイブル」だ。

非常に独り善がりな表現であるが、この作品の男達の生き様を見ているとそう思わずにはいられないのだ。

物語の始まりでは主人公の沖本瞬は大学生。留年も数年繰り返しており、同級生は皆社会人として会社勤めをしている。

そんな中、同級生と同窓会麻雀を売った後に沖本は麻雀打ちとして生きていく決意をするのである。

この段階で私は「この漫画は枠に囚われる事が無い男の生き様が描かれるストーリーになる」と思い、熱中して読み続ける事になる。

何故なら私はこの「天牌」という漫画を初めて読んだ当時、フリーターでとにかく自分がやりたいことで飯を食って行こうと夢を見ていた青年だったからだ。

要は都合よく自分と沖本をリンクさせたわけである。

恋をしていた大学生の女の子にフラれて消沈していた心を、この作品を読むことによって元気づけていた頃が懐かしく思う。

沖本瞬が街中で自分の学生証を破り捨てるシーンがあるのだが、私はこれを今でも「枠に囚われ続ける大人達へのアンチテーゼ」だと思っている。

そして「やりたいことで生きていくのは相応の覚悟がいる」というメッセージも込められているのではないだろうか?

それは沖本瞬をはじめ、これから現れる様々なキャラクターの名言にて現れていると言っていい。

何しろこの作品に出てくる人間は9割が自分達の思うがままに生き、思うがままに闘っているからだ。

そして成功をする人物もいれば、埋没していく人物もいる。

その人間としての弱肉強食の世界、厳しさを教えてくれることだろう。

もし自分の夢を実現させて、自分のやりたいことで飯を食って行きたいと思っている青年がいれば私はこの漫画をいの一番にオススメする。

この作品を熟読して、覚悟をあらたに夢に向かって欲しい。

師匠の黒沢義明、そして仲間達とライバル達の生き様と死に様

沖本瞬の麻雀での生き様も去ることながら、この作品での名言量産機は沖本の師匠である黒沢義明である。

以下は黒沢義明の名言となっている言葉の私なりの考察だ。

「麻雀ってのはどれだけ牌に魂を注ぎ込めるかだっ!」

幾ら不利な状況になろうと不屈の精神で立ち向かい続ける渾身の精神を表す一言。

「麻雀は必ず強い奴が勝つゲーム。しかし勝負の差なんて常に51対49に過ぎないってことを忘れるな」

どれだけ強くても勝負は紙一重であるということか。どれだけ強くなっても力を抜いてはいけない。

ただこれだけの発言が出来る感覚は相当の人生の苦渋を味わって強くなった人間で無いと言えない言葉だと私は思う。

その裏付けとなるエピソードは黒沢義明がメインとなる「天牌 外伝」にて記されているが、それはまた別のお話でする事としよう。

黒沢義明門下生と言える立ち位置の東大生の伊藤芳一、黒沢のお引きの谷口隆、ライバルとなる影村遼達を取り巻くストーリー展開も必見である。

墜落しても再び登る人間もいれば、そのまま死んでいく人間もいる。

ただ死んでいった人物の殆どは全身全霊で勝負に挑んだ人間の死に様である。

自分の人生はどうなのか、そこまで全力で生きていけているのかと自問自答しながら読むことをオススメする。

一番の見所は黒沢義明、最後の麻雀。

黒沢義明は不治の病(?)で余命が残り少なくなる。

黒沢は黒龍会の三國の仲介により、様々な雀士と対峙する。

その命が尽きるまで…。

黒沢、最後の麻雀の相手は弟子である沖本。

この作品の中でもっとも息が詰まる麻雀はこの黒沢最後の対局だと私は思う。

この中での沖本が私の中で最も印象に残っている。

4人の対局者の中で沖本が一番格下であった。

そして全体を通して最も不利な展開となったのが沖本である。

しかしその中で師匠の黒沢へ何か残せないかと全身全霊で挑み続けるのだ。

いくら振り込もうが、何度ダウンしても立ち上がるボクサーの様に。

師匠の心にに何か自分の力の証を残せる様に。

この対局を機に沖本は全国各地でその実力を開花させ、猛進撃を巻き起こす事になる。

沖本は黒沢がいなくなった後も師の教えを胸に抱き続けている。

その中でこんな言葉がある。

「常に麻雀を教わる気持ちを持てと」

この言葉はどれほどの実力があっても常に謙虚さを持てと言うことではないだろうか?

そして物事に対して常に真摯に向き合えということではないだろうか?

これは普通の会社に勤め、普通の仕事をしている我々にも言えることではないか?

世の中には様々な物事全てに真摯に向き合う姿勢を持っている人間はどれだけいるのだろうか?自分自身が成功する人生なのか、そうでない人生なのかはわからないが結果はどうであれ自分も物事に真摯に向き合える人間でありたいと思わされる言葉であった。

この人物達の麻雀への姿勢は、人生そのものに対する姿勢である。

この作品に出てくる登場人物は全員が「麻雀=人生」だと思って生きている。

人生の路頭に迷った人にこそ読んで欲しい作品だ。

人生への向き合い方のヒントになるのではないだろうか?

そういった観点で一度読んでみて欲しい。

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