どんなに凶暴でも女の子やね - 純愛特攻隊長！の感想

ラブコメディーの真骨頂

凶暴な女の子だけど、恋だってするんです！好きになったのも不良の男の子。でも不良男子だって実は優しくて弟想いなんです！よくあるわ～…ギャップに弱いのが人だよね。暴力に打って出る子は、実は心が繊細で純粋なんだよねっていう勝手なイメージもありますけどね。そう思いたいというか。不良は人から避けられる・だけど心がすさんだ原因のほうを見てあげたい、なんか女の子ってそういう庇護欲が少なからずありますよね。そして溺れる…ただ、この物語は純愛ということで、あまり毒も多くないですから、目に優しい物語だなーと思います。

全体的に、とにかくごちゃごちゃーっと忙しいですね。ギャグ要素も多めで、女の子も容赦なくぶっ飛び、殴られ、変顔する。全力で恋に挑み、全力で空回り、失敗しても全力で仲直り！特攻隊長の名の通り、すべてにおいて全力な高校生たちが繰り広げるラブコメディーを見ていると、若いな～って微笑ましい気持ちになります。平田も千笑も、いい子で、友達もいい子で。素直でかわいいなと思いますね。ただ絵がね…どこか体つきがな～…受け付けない。平田はとりあえずバンダナおろしたほうがかっこいいです。そしてお父さんが元悪役レスラーで娘を監禁って怖すぎる。学校にも行かせずに閉じ込めるのはちょっとね…鉄格子の部屋だし、ぞわっとしました。イラストがギャグ系だから幸いでした。そうじゃなかったら虐待描写と言われてもしょうがない。

横恋慕がとにかくたくさん

千笑と平田たちが、とにかくいろんな人たちに愛されているので。全体のお話はお互いのやきもちで忙しいです。千笑が取られそうかと思いきや、平田が取られそうになり、またまた千笑が…と繰り返していき、結局は仲直りをしていきます。瑞希みたいな強い人が好き（男女問わず）っていう男の子とか、平田好きすぎて…っていうおかしい子もいたけど、乗り越えていっていました。そのため立花優弥編で別れちゃったときは、それなりに悲しい思いをしましたよ…いろいろ大きく騒いだとしても結局大丈夫なんだろうと思っていたので、お互いに好きなのに疑いをかけざるを得なくさせられていく、その罠の周到さ、悲しかったけど、話的にはよくできていたように思います。そして優弥が髪を切って本気で千笑に告白するのもかっこよくて。最大のピンチだった…危うく優弥でいいじゃないかと言いそうになった…

千笑が正義感のあまりにすぐ手が出てしまう子だし、平田もけんかっ早くて目つきの悪い子なので、当初は最初から最後までお互いの絆を深めるのにどう苦労するのかを描いていくのかなーって予想していました。しかし、千笑は案外とスタイルが良くて、料理上手な一面もあるし、テニス部で女の子らしくがんばっている。そして平田も弟想いで、バイト一生懸命やってお金稼いで、お友達も大切にするし、ケンカは買うが売ることはほとんどない。いいところしかないじゃないか…そりゃーこれだけ魅力があったらたくさんの人に好かれるわ。横恋慕の渦にのまれても仕方ないですね。

繁の歪んだ友情

殺人的な美少年という設定の優弥。本当のところを言うと、髪がロングの男の人はどうにも生理的に受け付けないため、嫌だったのですが、純愛特攻隊長の中で一番のピンチともいえるのがこの優弥編だったので、一生懸命読みましたよ。しかも、優弥自身は案外と寂しかっただけの男の子で、裏で糸を引いていたのは友達の繁という…ダークな展開・今までのギャグにない展開がちょっぴりハラハラ展開で、楽しいところでした。繁は小学校でいじめられたけど、いつも優弥が守ってくれていた。優弥は強くて優しい。だけど、自分とは違う生き物のように感じている。僕にとって優弥はまぶしすぎる。それが、優弥の繁に初めて見せてくれたウィークポイント・女の人への不信感。それを見て、繁は本当の意味で、優弥を近くに感じたんですよね。日々感じざるを得ないカースト制の中で、自分とはかけ離れていると思っていた優弥が自分の高さところまで降りてきてくれたように感じられたのでしょう。そこから繁の優弥に対する歪んだ友情が生まれていきます。ずっと歪んでいてほしい。僕と友達でいてほしい。そして優弥の美貌を活かしたカップルを別れさせる趣味を楽しむという…うん、腐ってるね。まさか純愛と言っておきながらこんなディープな展開を作るなんてさ。小中学生には刺激強めだったように思います。こちらとしてはようやくおもしろさが出たか、という気分でしたが。もちろん、髪を切ってからの優弥は、本当にイケメンでした。何回言うんだと思われそうですが、やはり男子は短髪でないとね。

一番気になるのは由香里と大野

平田と千笑を横に置いといて、気になるのは由香里と大野なんですよ。大野がかっこいいんですもん。だってアイルランド人と日本人のハーフですよ？金髪にピアス、灰グリーン色の瞳。クールで男女問わずの塩対応。恋愛はめんどくさいものと思っている…なんておいしいやつ。ここからどんなふうに変わってくれるんだろうかとワクワクしながら読みましたよ！由香里が告白不発でも、最後にきっとどんでん返ししてくれるんだろう…って待ってたのに…くっつきませんでした。というか、由香里の想いに気づいたのが13巻。そこから付き合う雰囲気も醸し出さずお流れに。あー…もっとラブラブする大野と由香里の姿を見せてほしかった。

由香里の良さはまだまだ語り切れてないと思うんです。千笑の友達として、ズバッと意見するしっかり者。だけどギャグ要員としての機能も十分に高く、汎用性の高いキャラクター。黒髪美人のはずなのに、がめついところがあってそう見えない。もったいないよね。しかも、平田と千笑のみならず、大野と由香里の間にすら横恋慕がちらっと…それ、もうちょっと広げてくれてもよかったのに…不完全燃焼が否めません。

最終回が謎

最終回をいったいどう終わらせるのだろう…？って思っていたら、まさかのそのままいつも通りのエンド。え？こんな日常で終わり？高校2年生のまま、ゴールの見えないまま終わり？せめてさ、なんか区切りつけさせてくれないと、消化不良起こすんですけど…そう思っていたら、まさか続編ができてたんですというオチ…そうですか。だから大野と由香里の関係も中途半端で終了したんですね。最初から続編まで描くのが決まっていたんですかね…また買わなきゃないじゃないか。もうちょっと最終回らしく、いい感じに飾ってもらいたかったなーと残念な気持ちです。

平田と千笑の関係性も思いのほか煮え切らない気がして。ラブラブだけど、もっとラブラブしてくれてもよかったよ？それは次回作までのお楽しみってことなんですかね。常に特攻らしく怒涛に過ぎていくので、おしとやかなデートとか、たまには静かに過ごせる休日とか、見たかったな～かわいい千笑と由香里を見たかったな～…真鶴なんて、実は必要だったの？って思ってしまったよ。優弥編でもう本気モードは見終わった感があるので、別にいらなかった。このあたり、そろそろ終わりかなーって思っていたし、個人的にはどちらかと言えば遊佐法男の悪役レスラーぶり・そして迷惑すぎる武勇伝、妻の美沙子さんとのラブラブな話をもっと聞きたかった～…

最後までドタバタ劇を繰り広げて過ぎ去っていったこの物語。次の展開をいったいどの方向にもっていくのか気になるところではありますが、それなりに楽しめる作品でしたね。