甘い毎日を見せてくれてごちそうさまでした - キスよりも早くの感想

飽きのこない甘い刺激

16歳の文乃と4歳の鉄兵。とても純情で、素敵な兄弟です。両親を事故で亡くした後、親戚の中でたらい回しにされた二人。これからどうしていこうか？という時に一馬が救世主として現れます。もともと一馬は新任として赴任してきたとき、文乃に助けられたことがあった。だから、彼女の境遇を心配していた…という流れでしたね。ただ家に置いてあげようってわけじゃなかったでしょう。もうその時に惚れていたとしか思えない…じゃあ結婚して養ってくれるの？！という文乃の提案も、すんなり受け入れますよ、そりゃーね。

秘密の同居がスタートし、学校での顔、家での顔、両方をお互いが知っていく。すっ飛ばした結婚までの過程も、共同生活の中で順番にクリアしていき、本当の家庭を築いていく。高校卒業まではみだらなことはしない、という約束（一馬の我慢…）になっており、それが物足りないかなーと思っていたのですが、逆にドキドキさせるものがありました。あーそうか、キスするまでがこんなに楽しく心躍るものなんだなと、気づかせてくれましたね。合間に登場する、ガラス越し、マスク越し、手のひら越し…全部素敵…！逆にそそる！

大人としてリードし、ドSでいきいきしている一馬さんが、慌てて一生懸命に行動する姿もギャップ萌でしたね。メガネとコンタクトを行き来するのもメガネフェチにはたまりませんし、元ヤンという要素もまた強引さ・男らしさをみせてくれて、もう最強なんじゃないかって言うキャラでした。

延々と焦らされかわいくなっていく文乃

「おかえり」のたびにコスプレでお出迎えしなければならないという特殊なルール。まずそこがかわいそうでした。しかし、どんどん様になっていく…ドSの一馬に手を出されそうな出されなそうな…結婚したんだし、家においてもらうからにはご奉仕しなければ…そんな文乃の純情がかわいらしい。家族の温かさを教えてくれた一馬。すごく感謝してるのに、素直になれない。私にできることって何だろう…一人で考えてきたから、一人で解決するのが当たり前だと思ってた。それが、大切な人ができて、それじゃだめなんだと教えてもらった。ただ養ってもらって、代わりに手を出されるわけでもないのに、何を彼にあげたらここに居ていいと許されるだろう…。まじめに考えちゃってる文乃がもうかわいくてかわいくて。なんて性格のいい子なんだ！と思ってしまいます。

そして、どんどん一馬を好きになっていく。大切だと言われて、自分もとっくに大好きで、でもどこか遠い気がしてしまう。度重なるトラブルを前に、一緒になって立ち向かってくれる存在。だけど彼の事を何も知らない気がする。なんでも知りたいのに、恥ずかしい。文乃さん…萌！普段は正義感にあふれ、間違っている奴は叩きのめすという性格の文乃。しかし、実際にはとっても美人でスタイルもよく、陰でモテまくっているという…愛されキャラです。女子を守って戦うことが多いので、女子からの尊敬のまなざしも受けていますね。うらやましい…

ナイスな鉄平くん

物語を読みだした当初は、まぁまだ鉄兵が4歳ですから、前も後ろもわからないし、姉についていくしかないって感じだろうと考えていました。しかし、物語の中での鉄兵の役割はものすごい大きいです。文乃が迷った時、一馬が迷った時、余計な考えに惑わされずに大事なことを簡単な言葉で表現してくれる…賢者でした。（笑）辛い時には笑顔一つで癒してくれる、悩むときには諭してくれる、楽しいときはその時間を一生懸命共有してくれる。なんて天才なんだろう。飴玉落として文乃の家出の後を追わせるとか、無理でしょ。綺麗すぎるでしょう。「ぶんちゃ」と呼ぶのがせめてもの子供らしさです。一馬に躊躇なく抱きつけるのも、子どもの特権ですね～文乃にそれくらいの勇気があったら一馬はもっと早くに落ちていたことでしょう。

鉄兵くんが成長したらどんなことになるんだろうか。末恐ろしい…と！思っていたら最終巻で10年後が登場しました！さすが、読者のことをわかってらっしゃる！案の定、かっこいい感じになってましたね～悟りを通り越して、ちょうどいい感じの青年になってました。彼女とこのままうまくいってくれたらただただ嬉しいです。今までお姉ちゃんと一馬の幸せを願って生きてきたと思うし、それを見てきた分、きっと鉄兵くんならうまくやってくれると思うんです。やはり、小さい子の状況判断能力って計り知れないところがあるし、反面教師としていろいろと参考にしてくれたらいいですね。

負けてるやつほど応援したくなる

横恋慕が一馬の弟、翔馬でした。馬繋がり…先生とのラブといえば、三角関係の相手はやっぱり同級生。ジェネレーションギャップを超えて愛を育めるか？というのは年の差カップルの永遠のテーマです。あらゆる物語で、どちらかというと同級生は大人の魅力の前に敗北してしまうので、ついつい応援したくなります。もっとがっつりとつかんでくれと。翔馬もその一人でした。実にお似合いだった。しかも、最終巻までちゃんとした告白はないという焦らしっぷりに、自分としても焦りがちらほら。大どんでん返しの真っ暗なオチがやってくるのかしらとそわそわものでした。結局は、二人の愛の強さを見せつけられただけでしたけどね。翔馬の告白のシーンで

僕は君が好きなんだよ！

って顔ドアップで叫びながら、顔は全部真っ赤になっているという…余裕のない一生懸命な姿に心揺れました。自分のことでいっぱいになってくれる。女性にとってこれほど嬉しいことってないと思うので、付き合ってくれ！と思わずにはいられなかったです…

翔馬はかわいいです。ウエディングドレス姿の文乃のケータイ写真を見て…涙を流している…もうこれが最高のシーンでした。異論ないと思います。好きだったんだね。愛しいね。男の涙は、胸がぎゅーっとなる。メグが相手なのは、ちょっと嫌だったなーなんか派手カップルになってしまうのは文乃との対比みたいで。もちろん、文乃も美人で派手にもなれるんだけどね、純情路線がね…君には合っているよ。

アフターストーリーまでごちそうさま

10年後、鉄兵くんのお話、文乃＆一馬のラブラブと子ども、翔馬とメグなど、いろんな姿をみせてくれて、うれしかったです。全体として、教師と生徒、社会人と高校生という間柄ならではのトラブルがやってきますが、1つ1つ乗り越えて愛が深まっていく物語。一馬先生のドSはちょっと優しいドSなので、そっち系が好みの人にはおそらく物足りないかもしれません。ドSといいながら、かわいいいじめって感じですから。帰れる場所がある、待ってくれている人がいる。そんな当たり前のことを当たり前じゃなく考えて、何よりも大切にできる。こんな家族になりたいなーって思わせてくれました。一馬のほうが最初に文乃を知り、恋をしていたんだなーって思うと、それも理想的。人間として素敵な人なら、年齢関係なく好きになったりするんだなって。自分が高校生だったときなんて部活か勉強しかなくて、恋も同級生への片想い…先生は先生で、男になんて見てなかったなー…そういう目線があったらもっと目が肥えて、いい出会いがあったのかもしれません。

しかし10年経ったらもう一馬先生30も後半に…なんとなく、結婚ってゴールにとられがちだけど、家族のかたちのスタートだから、これからもがんばっていってもらいたいなーって思いました。幸せなストーリーの数々、ごちそうさまでした。