懐かしいお話のその後を考える - ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!の感想

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ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!

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懐かしいお話のその後を考える

5.05.0
映像
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ストーリー
4.5
キャラクター
4.5
声優
4.5
音楽
5.0

目次

夢がとても身近である事をアニメを通して伝えるウォルトディズニーの信念

ウォルトディズニーが送るオーストラリアの大自然を舞台とした長編アニメは、その作成スタッフの登場動物一つ一つが個性的かつリアルに描かれてる事がまず目を引く印象である

主な登場人物(動物?)の少年と2匹のネズミ。子供たちが身近に感じられる親近感あるキャラクターだが、主人公の少年コーディはお父さんをなくしているという設定がまた子供たちにまず「両親がいて当たり前じゃないんだよ」と教えている。

少し複雑な設定も、シリアスになり過ぎず、逆風を乗り越えて瞳を輝かせるコーディのような存在を、見ている子供たちはきっと夢を見ているようにあこがれの存在となるでしょう。

まず、現実的に見て動物がしゃべることなどありえないのに、なぜかこのアニメを見ていると、「今目の前に現実として存在する動物たちはどのように感じているのだろう。世界をどのように感じているのだろう」と想像を膨らませる。

それこそがディズニーが望む、子供たちへ「夢の創造を膨らませる好奇心を生む」という最高のプレゼントになるのかもしれない。

夢は身近にある、自分次第でたくさん膨らむ。他の作品も含めてそう語りかけているように感じる。

それが特に感じられるのは、本作品が当時観光地としても注目されていた「オーストラリア」が舞台でるのが大きな要因ではないであろうか。

ちょうどアメリカで本編が公開されたのが1990年。その頃の日本は、ちょうど海外旅行への需要がピークを迎える足掛かりの時期で、各観光地への興味が湧いていた時期でもある。特にこのころは日本の国民所得水準が高まり、日本との時差が少なく、自然が多い地域性も人気を呼んだことが功を成して特に注目が集まった国でもあった。

同時に、民放では子供教育を目的とした自然ドラマが放送されると、オーストラリアの豊かな大自然が舞台となる事も度々あった。

それはそれで、子供たちもみて楽しいだろうが、この作品の手にかかるとたちまち魔法にかかったように親近感が湧いてきて子供たちはあっという間に夢の世界を垣間見ることになる。

当の私もそうであったが、まるで一緒に冒険をしているかのような、観終わった後にそんな気分にさせてしまう。それがウォルトディズニーの持っている魔法であった。

リアルにも負けない自然描写と疾走感あるアニメーション

本作品の大きな目玉である「大自然と野生動物」は、キャラクターと重要な登場動物たちでタッチがしっかり分かれて描かれている。

今回注目のゴールデンイーグルに関しては翼の一つ一つ、また、本来持っている瞳の輝きや力強さ、そして観察力が逃していないのが、野生の動物たちにうつる「母性・優しさ」をしっかりとみている側へ伝わるように描かれている。

例えば、動物番組で、リアルな鷲が映し出されたとしよう。感性がまだ育ち切っていない子供たちにとっては、黄色い物が碧く見えたり、黒い物がゴールドに見えたりする現象がある。

それが、アニメーションでしっかりとある程度の色の形を見る事で、その鷲の瞳の構造や、どこに瞳孔があるのか。瞳が潤うと優しいまなざしをしているように感じるのか。

自然と考える力が身に付くようになる。

ディズニーの世界観を崩さずに、背景描写が細かい。あたしがお気に入りのシーンは、少年コーディがゴールデンイーグルの背中に乗って空を駆けていくいくシーンだ。

本当であればそんな夢のような出来事でもあるが、アニメを見る事でしか得られない貴重な経験にもなる。

なぜなら、本当のリアルの世界であれば、少年コーディと一緒にゴールデンイーグルを救いに行ったネズミのビアンカや、バーナードは、あっという間に捕食されているからだ。笑

子供の時に見た映画という事もあるが、現実を知るのはこのアニメを見てからでも遅くは無いと思う。

しかし、捕食上の関係でみたら敵同士の動物も、キャラクター上ではコミュニケーションをとれるようなお話になっており、「人間同士でも分かり合える」と語りかけられているように感じていた。

アニメーションに負けない音楽

大自然をテーマに、また大きな深いテーマの為、演出する音楽がとてもいい仕事をしている。

今回登場するゴールデンイーグルのマラフーテは、セリフこそないけれども、音楽がよくアシストしては心が通じた瞬間を見ている側まで包み込むように奏でてくれる。

いまでも番組の効果音に出てくると分かるほど、印象的なメロディがある。

大自然ならではの問題定義

今回の悪役は『密猟者』になる。

よりリアルで親近感のあるアニメーションで、やはり悪役というポジションは見る側には明確に「悪い」と映る。

今回の主な訴えについては、大自然の素晴らしさ。密猟者という存在がある事実。密猟がある事実を受け止め、それに対して「No」と言える勇気を持つ事。動物たちの間にもある家族愛を知る事。

特に子供向けに訴える事は、アニメを通してとすると非常にシリアスな内容となる為、

そのバランスを考える事に非常に気を遣っていたのではないであろうか。

そもそもウォルトディズニーの作品の多くはファンタジスタな面が多く、やはり長編アニメを作成するにあたってもそういったコンセプトの元に投資をした方が会社の利益の為でもあるのだ。

しかしあえてそれを、訴える事の重要性に重きをおき、この作品を世に出したことで一つ、世界の未来に対して「危険信号」を出したのではないかと推測する。

現に、この作品が世に出されてから20年以上が経ったが、環境破壊も相成って温暖化、密猟による絶滅危惧種の現存の命が後になかなかつながらない事。

多くの問題が着目されているにも関わらず、結局消滅の連鎖は人間が行っていた過度な密猟、森林伐採などが原因とされていることすら気づいていない世界市民もいる。

気付く事が出来ないのだ。例えば、子供の頃からアニメーションを閲覧する事制限するご家庭もあるが、私はこういった訴求している内容を親がしっかりと把握し、子供たちにプレゼントがてら一緒に観覧した後に、考える力を後押ししてやることが大事ではないかと思う。

現に、見返りよりも、後世を生きる子供たちの頭の片隅にあって、覚えていてほしい。

ある時に考えてほしいと願って作られたこの作品が、全世界からしたらほんの一握りだったとしても、正義を訴えるコーディのような勇敢さと、自然や動物すらもいつくしめる心を持ち、たくさんの人々とその心を分かち合う事が出来れば、きっと世界はもう少し元気を取り戻すことが出来るのかもしれないと思う。

たった1つの長編のアニメではあるが、数あるウォルトディズニーのアニメの中でも、とりわけ異彩を放つ、子供たちに見てほしい一本である。

夢の持ち方は幾通りもあり、同じ人間がこの世にいないように、考え方も捉え方もそれぞれである。

しかし、世界の実情に目を向けなければいけないのは、この地球に生きている以上は義務である。

あの時の記憶と今の環境状況をみつめること

パワースポットを見に行くために、観光目的、色々な理由で片づけられる前に、大人になった今、改めてこの長編アニメを見て何を感じるのか。

このアニメが公開されてしばらくしてから、夏の五輪シドニーオリンピックが開催されて、更にオーストラリアの大自然が着目を浴びている。

輝かしい表舞台を見つめると同時に、オーストラリアが抱えている問題や、自然の本当の裏舞台をよくみてみる必要もある。

このアニメを毎日のように、ビデオデッキが壊れるまで見ていた幼い日の事を思い出している。

見て見ぬふりはできないぞ、と、いま思い出したアニメのキャラクター全員にくぎを刺されている気分だ。

はたして、このアニメーションを見ていた全員が同じ考えにいたるかどうかはわからないが、楽しいお話の裏側を見てみる事が、大人になった今、必要とされてくるのだろう。

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