犬と猫の嫉妬から生まれた攻防戦 - キャッツ&ドッグスの感想

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犬と猫の嫉妬から生まれた攻防戦

3.53.5
映像
3.0
脚本
3.0
キャスト
4.0
音楽
3.0
演出
3.5

目次

世界観の壮大さに一周回って尊敬。

私は小学生の時に犬を飼っていました。だからといって犬派というわけではないのですが、犬が主役の映画ということでお小遣いの少ない子供のころに見栄を張って友達と観に行った記憶があります。親や兄たちからは映画館で見るのは勿体ないとさんざん言われ、意地で観に行ったように思います。それでも私は犬が好きだからと。蓋を開けてみてみれば、友人も私も二人して口を開けたまま放心状態でした。これをお金を出して観に来た私たちはきっと間抜けに見えただろうと思います。あの巨大スクリーンを贅沢に使うような大迫力の内容だったかと問われると、私は即答で否と答えます。それほど馬鹿らしくて、呆れるほどくだらないB級作品でした。しかし、内容は世界征服をたくらむ猫組織と地球防衛を任務とする犬組織の戦いなのですが、それが007のような、ミッションインポッシブルのようなアクション映画のごとくカッコよく描かれているんです。しかし、犬と猫です。もふもふの癒し全開の装いをしています。これでは深刻さも真面目さも底をついて、ただただ可愛らしさを堪能しようと考えをシフトチェンジせざるを得ず、観終わってから、友人をこの映画に誘ってしまったことを謝罪しました。ちなみに、友人は猫派だったので、本当に微妙な表情を浮かべていたのを覚えています。ただ、ここまで真剣に犬と猫を動かして映画をひとつ完成させてお金をとっていることと、最後まで貫いた世界観には脱帽です。深々とお辞儀をしたい気持ちです。

犬アレルギーがポイント

犬アレルギーをこの世からなくすために自らを検体にして研究を進めるブロディ―教授を守るために、子犬のビーグル犬は派遣されてきました。とてつもなく可愛らしいです。悶絶するほどこのビーグル犬は可愛いです。この映画の核を担っている犬アレルギーですが、アレルギーの方には深刻なことだと思うのですが、しかし、その犬アレルギー云々で大規模な攻防戦をするということが当時の私にはきちんと理解できず、今改めて観返して知りました。何が原因でこんなに争っているのだろうとリアルタイムで観ているときは不思議でした。猫は犬アレルギーが蔓延してしまえば、犬に変わって猫が人間たちの膝の上を征服できるとたくらんでいるんですね。とても猫目線で適役なのに憎めません。確かに、幸せそうに暮らす犬を見つければいいなあと羨ましく思うでしょう。しかし、それは犬でも一緒ではないのだろうかとふと思いました。野良犬はあまり見かけませんが、野良猫の方が多いからか、猫組織はひん曲がった思考回路になってしまったのでしょう。なんとも可愛らしい。

ハイテク機器を肉球で操作

私はそこまで機械が得意ではありません。説明書を読むのも苦手なので、難しいことはいっさいできません。しかし、あの犬猫たちは小さな脳みそでいろいろな物事を知っていて、考え、そして、手ではなく前足で器用に機械を動かしています。指は広がらずに主に足の裏の大きな肉球でボタン操作をしているのだと思うのですが、それを裏側を除くように想像するとたまりません。あのざらっとした独特の肌触りと、ゴムまではいかない弾力と、それを駆使して機器を操作しているなんて、観ていてうずうずしてしまいました。カンフー猫の襲来の時にビーグルのルーは戦うのですが、それはそんなに萌えず、猫の動き自体はありえないと思うのですが、ルーはこれくらいならCGではなくても動くだろうなと思いました。予想もしない、想像だにしない動きをするとお腹の中をくすぐられるような、うずうず感がわいてきます。ルーが可愛いです。とにかく可愛いです。ハイテクと言えば、本部へ行くために緊急ボタンを押してロケットに乗り込むのですが、そのありえなさとCG丸出し感が当時はとてつもなく恥ずかしくなり、もういい加減にしてくれと思ったのを覚えています。いくら可愛い犬猫でも、そこまでオーバーな演出に私自身ついていけず、友人を誘った張本人ということでそのセンスを疑われそうで、とても恥ずかしい思いをしました。今見ればおお!と過剰演出も受け入れられるのですが、子供のころはだめでした。犬組織はハイテク機器を肉球で操作している様子までで留めてほしかったです。

クリスマスシーズンの映画

猫の親玉のご主人様はクリスマスツリーや雪だるまなどの飾りを作っている会社の社長でした。その社長はもう老衰で猫が腹話術のように話しているのですが、それがもうなんだか私の中の猫の好感度を急降下させる要因になり、理不尽に犬を飼っている社員を首にするのも、鼻がぺしゃんこでぶさ可愛いのにもったいない!と悔しくなりました。結局は猫も愛してほしくてたまらないだけで、それで必死に対犬に燃えていたんだなと。クリスマスという家族で過ごすイベント前に何としてでも犬から飼い主を得ようと必死だったのかなあと少し寂しくなりました。しかし、猫組織は人間に飼ってもらいたくてそうしているわけではなく、人間が支配している世界の主導権を握りたくて、まずは人間に多く飼われている犬を滅しようと企んでいるんですよね。ということは、ルーは人間は家族だと言っていますが、猫にとっては支配する予定の存在としてしか見ていないんですよね。それを今理解して、ちょっとショックです。

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