夢追う2人。可愛い年下男子の恋心
演劇界の現実と理想
安田章大演じる天童、麻生久美子演じるみち代。脚本家志望の共通点から出逢う2人の対照的な性格やすこしづつ近づく2人の真意や、脚本に関する熱心さと苦悩が垣間見られる、とても感情豊かな面が沢山見られる映画。脚本家が個々に感じるプレッシャーと個性の表し方がとても新鮮に感じられました。
天童とみち代の出逢い
脚本家(シナリオライター)志望の2人出逢ったきっかけはスクール。志望と志は十分なはずなのに1度もまともに書いた事が無い天童は、実績がないのにも関わらずかなり上から目線のダメ出し。自身の納得いくものを書きたい、日々そのしがらみと苦悩を抱えてきたからこそ、理想論や現実的な発言が多くなってしまう。いわゆる「経験不足なくせに、ただ生意気な奴」真意が表に出ないそんな天童と、みち代の対照的な性格が交わり、少しづつ互いを必要な存在と思い。言葉にトゲや誤解はあれど、2人の寄り添いが結果的に良い方向へ向く。
天童の生意気さとかわいさ
年下の天童。コメディー感も強いけど、かなり切実な思いと現実の厳しさと葛藤の中でも強がっていなければ夢を目指し続ける事ができない天童のけなげさがたまらない。映画とは言え、関西出身の安田章大の物優しい関西弁もシーンを際立たせていて、生意気な一面や男らしい決意の一面、かわいらしい笑顔にみち代が癒されるシーンをみていて、役ではなく実際の活動としての安田章大に近い物がある、違和感のない無理のないベストキャストチョイスだったと思う。「もし付き合ってって言ったら・・・どうする?」とシナリオの参考にする前提と称してさりげなくみち代への思いが出てしまい「ありえない」と言われた後も可愛らしくごまかす男性心が見られたシーンにはキュンとした。様々な感情や人との関わりが多かった映画ですが、なんと言っても、切ないラストシーンの「有名な脚本家になって田舎に帰った好きな女迎えに行くシナリオ書く!」と、夢と目の前の好きな女(みち代)を重ね合わせ告白した場面がなんとも心に響いた。こんなにも純粋に夢を追いかける天童やみち代の思いと、前の女性に対して親身になり思いを伝えたいのに、離れたくないのに、夢を追いかける彼女をそっと見守り応援するけなげな姿が、男性・女性問わず心を打ったのではないでしょうか。真の愛情を考えさせられた気がしました。実力社会で評価されなければ認めてもらえない脚本家の現実に重ね合わせ、恋愛としても結局は同じ夢を追う互いを尊重しあえる関係にほっこりしました。
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