ハーメルが魔王だと序盤で明かされる?では真のどんでん返しは? - ハーメルンのバイオリン弾きの感想

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ハーメルンのバイオリン弾き

5.005.00
画力
4.00
ストーリー
4.00
キャラクター
4.50
設定
5.00
演出
3.50
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ハーメルが魔王だと序盤で明かされる?では真のどんでん返しは?

5.05.0
画力
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.5
設定
5.0
演出
3.5

目次

ハーメルは魔王!というのが最初で最後?

ハーメルンのバイオリン弾きは、善と悪の戦いを描いた漫画と言えますね。ハーメルという少年は、はちゃめちゃです。だけど、優しくて正義感があるおバカさん。なのに、ページを進めていくと、ハーメルにツノが生えていることがわかるんですよね!ハーメルは、魔王の子だった!というところも、かなりスゴイ設定でしたね。その後は本当の悪である父を倒す旅を、仲間たちと繰り広げる!でもやっぱハーメルも魔王の子だから、暴力的なところも実際にありますよね。自分の中にある善と悪の葛藤、というところなんかもテーマかもしれません。最近は、こんな感じで、「どんでん返し」が序盤で来る漫画も多いですね。でも、ハーメルンのバイオリン弾きはちょっと古い漫画です。普通なら、主人公のハーメルが魔王の子だった!衝撃の事実、明かされる!っていうのが、最後のほうで繰り広げられるはず。なのに、この作品は、ストーリーが始まってから、ほぼすぐに、彼の正体が暴露されていますよね?でも……物語って、短くても長くても、必ず最後には、最大のどんでん返しっていうのがあるはずなんです。それを超える衝撃の事実や、意外な方向に進んでしまうものって、ハーメルンのバイオリン弾きではどこになるんでしょうか?でも、思い返してみても、まったく思い当たらない!どんでん返しのない漫画なんてないと思うのですが?

衝撃の事実はこれ?リュートの正体なのか?

リュートがフルートの兄だったという事実あたりは、多少は第2弾のどんでん返しっぽいですよね。でも、これも中盤で明かされたどんでん返しですよね。起承転結という言葉があるように、物語のどんでん返しって、後半にあることが多いはず。後半にあった衝撃の展開っていうと?やっぱり思い当たらないのです……。つまり、この漫画には「どんでん返しが存在していない」としか思えないんですね。

どんでん返しはあったけど、平和ボケすぎた?

でも、よーく考えてみると、どんでん返しはやはりあったと思うこともできます。ただ、おそらくあったけど目立たなかった……ということなんですよね。そもそも、「主人公が魔王の子だった」という衝撃の展開を超える衝撃さがインパクトありすぎ。それでも、この漫画のどんでん返しにあたる部分は絶対にあるはずなんですよね。ハーメルンが少年漫画である限り。でも、どう考えても、魔王だったという事実を超える展開が、最後のほうにもなかったように思うんですよね。今までの展開がひっくり返されるような話も、なかったですよね?ただ、どんでん返しはあったけど、平和すぎたんじゃないかと。魔王の子だったハーメルが、優しいフルールや、いがみあっていたけど親友だったライエルたちと、魔王を倒してしまう。魔王の子だったという残酷な設定を持ってきた割には、平和解決で終わってしまったわけです。これって、作者も葛藤したんじゃないかなと。ハーメルンのバイオリン弾きは、実はアニメにもなっていたんですが、アレの結末を見て思ったことがあるんですよね。アニメ版はけっこう悲劇的な結末で終わっています。アニメ会社は、あんまりハッピーエンドにはしなかったんですね。だから、物語のプロである人たちも、ファンの誰もが、多少は原作の漫画も残酷な終わり方をすると思っていたはずです。期待していた人もいたでしょう。主人公が魔王だった!という残酷な出だしから始まったのに、最後は、仲間の裏切りも何事もなく、すべてが平和になって終わってしまっています。これって、もしかして、作者自身も考えていなかったことなのではないでしょうか?考えていたとしても、テーマが善と悪の戦いなはずなので、どんでん返しをするとしたら、悪が勝つ展開にしなければならなかったわけです。でも、少年漫画でバッドエンドをやってしまうと、一部のファンがガッカリしてしまう……。だから、ハッピーエンドにするしかなかったのかも?残酷な展開で始まり、王道で終わらせる。それがどんでん返しとしか言いようがないですね。むしろ、最後になっても衝撃を与えない!残酷な展開をする割には、まさしく最後は裏切りのない物語として完結しているんですよね。人間にいじめられて、裏切られてきたハーメルやその母親の話。このあたりも、作者はかなり深く描いています。私としては、この漫画のテーマは、善と悪の戦いだと思っていたのですが。でも、がんばってきたハーメルたちをバッドエンドにしてしまう。これって、どんでん返ししやすいはず。でも、こうやってストーリーの展開を裏切ることで、読者は確かに一時的に面白いとは思うでしょう。でも、それは一時的な期待だけであって、みんなで幸せになりました!という展開を読者って、やっぱり人は望んでいるわけですよね。もしかしたら、主人公が魔王だった!というどんでん返しを序盤に持ってきてしまったせいで、さらに衝撃的すぎるどんでん返しをすることができなくなってしまったのでは?と私は考えています。人を救う立場の人物が魔王の子だった、という悲惨なインパクトをくつがえすには、さらに悲惨な展開が必要なはずです。バッドエンドにするしかない……。ただ、いくつか終盤でも、小さな謎は解き明かされていますけど、巨大な衝撃さはなかったと感じますね。作者の考えるどんでん返しをちゃんと描いていたとしても、インパクトが足りなくて、伝わってはこなかったですね。それだけ、いい人が魔王の子だったという展開が、面白すぎたのですかね。

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