生命の本質、それは勇気!
心の力をエネルギーに変えるアイテムたち
この作品のキーアイテムに「Gストーン」と「ゾンダーメタル」が登場するが、これらは特定の感情を糧にしてエネルギーを増大させる。前者は勇気を、後者は負の感情(マイナス思念)を増大させる。そしてどちらも、心を持つ者が持ってこそ意味がある。
持ち主が抱く感情などの良し悪しはともかくとして、感情、ひいては心の力をエネルギーに変える性質は、ある種の無限動力ともなりうる。
何故なら、心の力に限りなどないのだから。持ち主が心を持っている限り、無限に生み出される。
それをエネルギーに変換できるということは、Gストーンもゾンダーメタルも、心を持つ者が持つことで無限動力機関と化すのである。
GGGのオービットベースや勇者ロボたちの動力源としてGストーンが用いられていることからも、これが優秀な動力機関と化すということが分かるだろう。(オービットベースにあるものについては、内部に侵入しようとするゾンダーなどへの対策でもあるが)
戦艦クラスのものさえ動かせるほどの優秀な動力機関を搭載している勇者ロボたちもまた、よほどのことがなければエネルギー切れなどはしない……ハズなのだが、作中ではロボオイルを補給したり、牛山が氷竜と炎竜に「腹が減ったろう?」と言ったりと、万全ではないようである。
それはおそらく、Gストーンが外宇宙で作られたオーバーテクノロジーであり、100%活かしきる方法が確立されていないからだと思われる。ZX-06(頭脳原種)が呼び寄せた隕石を迎撃する際、超竜神と撃龍神の為にエネルギー補給船が用意されていることからも、Gストーンを利用しているウルテクエンジンだけでは補給なしで戦い続けるのは無理があると分かるだろう。
それらのことから、Gストーンは無限動力機関の中枢部となれる側面こそあるものの、本来の使い方とは違うのかもしれない。あくまでもエネルギー抽出機関であるというだけで、抽出できるエネルギー量が無制限だというだけなのだろう。
本質は、「もがきあがこうとする意思」=勇気に感応するという点。無限にエネルギーを放出するのは、その勇気を後押しする為の効果なのかもしれない。
意思だけでは越えられない壁でも、無限大のエネルギーを携えることができれば、きっと越えられる。
Gストーンを生み出した緑の星の指導者・カインは、三十連太陽系の民たちの中でもいち早く心の力に目をつけていたのだろう。
続編の「FINAL」では、Gストーンは「命の宝石」とも呼ばれている。
勇気というものは、生きようとする意思であるともいえる。
それに感応して無限のエネルギーをもたらすGストーンは、命ある者が生きようとし続ける限り、その思いに応えて力を生むのだ。つまり、命を守る力を生み出す神秘の宝石といえるワケだ。
はたして緑の星にガイや最強勇者ロボ軍団ほどの勇気の持ち主たちがいたのかどうかは定かではないが、この命の宝石が全宇宙の命を救う為の勝利の鍵となっているのは、間違いない。
負の感情もまた、生きている証
一方でゾンダーメタルは、ゾンダリアンや原種いわくマイナス思念と呼ばれる感情や心を糧としてエネルギーを生み出し、更に成長までする。ゾンダーメタルには生物的要素も多く含まれているからだ。
ゾンダーメタルを得た生物は、無限動力機関を内蔵しているも同然な機械生命体へと変貌し、勇者ロボたちをも苦しめる恐るべき敵となる。
ここで忘れないでおきたいのが、ゾンダーの成長を促しているのも心の力だという点だ。
怒りや憎しみ、悲しみといった負の感情もまた、心を持っているからこそ持つものである。心臓原種と対面した時にソルダートJが「貴様らがマイナス思念と呼ぶ負の感情こそ生きている証。それ無くして何の生命か!」と言っている通り、生きていれば必ず抱く感情なのだ。だが、強すぎれば心が押しつぶされてしまう。たとえばノイローゼという病気も、負の感情が原因といえる。
だからこそ、紫の星の民たちは、負の感情によるストレスを消去する為の、ある種の精神安定装置としてゾンダーメタルを作ったのだ。マスタープログラムの暴走で台無しになったが…。
肉体的・精神的問わず、痛みや衝撃を感じることがあれば、それに対する自分自身の反応を判断材料として「生きている」と実感できる。「死人に口なし」という言葉もあるように、心を持っていることによるあらゆる反応は、生きているからこそ得るものだ。
痛みを恐れるのも、ひとえに生きたいと思うからこそだ。だが、その恐れを心の奥にしまいこんで立ち向かっていく者たちがいる。それが勇者。
Gストーンを持つに相応しい、勇気ある者。生きる為にもがき、あがき続ける者。
恐れも痛みも、否定はせず受け入れ、その上で乗り越える。そんな彼らだからこそ、ゾンダーや原種を打ち倒すことができるのだ。
それは、Gストーンとゾンダーメタルが天敵同士である(双方のエネルギーは対消滅する関係にある)こと以外にも、未知なる脅威に果敢に立ち向かう勇気を持っているからこそだといえよう。
もし地球での戦いを紫の星の生き残りが見ていたら、どう思うのであろう。
(ポロネズとプリマーダの正体は明確には説明されていないが、ピッツァやペンチノンと同じく地球に来る前からいたことを考えると、三十連太陽系の民であると思われる)
合体もまた心の力!
本作の勇者ロボの目玉の1つに合体があるが、中でも竜型ビークルロボたちのシンメトリカルドッキングは特殊なようである。システム自体は複雑ではなさそうだが、合体する為に必要なシンパレート値を上げるには、心の力が必要だからだ。
超竜神の後継機といえる存在である撃龍神だが、その合体が初めて為せたのは、氷竜と炎竜を含めたGGGメンバーが中国に来てからのこと。
シンパレートとは超AI同士の同調率であり、超AIは心を持っている。
中国のヤン指令は当初、軍隊式教育を施すことで同調率を上げようとするも、それは間違いであった。心を持っている時点で、ただの機械ではないのだ。合体後の超AIの思考パターンがミックスされた状態なのも、その辺りの影響であろう(麗雄博士の想定の範囲内なのかは定かではない)。
超AIの同調率を上げるのに必要なのは、プログラムや機械的な教育ではなく、超AIの心を尊重することなのだろう。相手の心を尊重する教育は、自己学習型のAIに対しても良いものである。
それとは別に、今作の超AIロボットが立ち向かう相手は人間を取り込んだり人質にしたりする為、GGGの勇者たちは作戦を遂行する時に限らず、人命尊重をモットーとする。
一方で当初のヤン指令は敵の殲滅を最優先とする教育をしており、これは一歩間違えば事件に巻き込まれた人間の命を奪うことにもなりかねなかった。それは勇者としてあるまじき行為であり、瞬間出力ではガオガイガーをも上回る合体ビークルロボにそんなことをされては、超AIロボ開発の権威ともいえるGGGにとっては目も当てられない大惨事となりうる。
それ故、超AIが人命尊重を第一に行動するように学習できない内は、シンメトリカルドッキングができないようになっているとも考えられる。詳しいところは生みの親である麗雄博士のみぞ知るのだが、視聴者が考察するテーマの一つとなりうるだろう。
ちなみにヤン指令は、撃龍神が完成した件以降はGGGの考え方にも理解を示しているようである。
ゾンダーメタルなどを有する機械文明へのほぼ唯一の対抗手段といえるGストーンと同様、
超AIにとっても強い心の力は重要な要素となっている。シンメトリカルドッキングに限らず様々な場面で、強い心の力が勇者たちを、ひいては様々な命を救うのである。
心の力というものに興味を持っている人にはたまらない作品となっているのではないだろうか。
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