おしゃれな雰囲気に浸りたい人が読む - ハートカクテルの感想

Heart Cocktail ハートカクテルというショートアニメにもなったグラフィックデザイン的コミック

とにかくこの絵画を鑑賞したくて読んでいるっていう感じがいつもします。イラストの線と塗りの部分がはっきりとしていて絵としてはシンプルで見やすい、でもどこか読者の想像力が介入する隙間や余地のある不思議な絵柄というか、でも完成はされていますのでクオリティは高いですよね。子供とかほとんど出て来なくて主人公もスーツの似合ういい男風というか、女性のキャラクターもそんな主人公に見合ったオシャレな大人の女性ですし。カクテル飲んでる時のほろほろした大人の味わいを味わいたい人が読むコミックかなと思います。まさに雰囲気に「酔いたい」って読者の為のですね。

H原作者と書くよりコミックライターって書いた方がしっくりくる

一見アメリカンかヨーロピアン系のファッション雑誌か何かのグラフィックを思わせる表紙などを描かれる作者の「わたせせいぞう」氏はこのコミックのネーム（ふきだしの中のセリフの部分）を全て直筆で書かれているんですよね。いえ、文字はなかなかきれいで読みやすいですよ、ただタイプされた文字などと違って落書き感があるっていうか遊び感覚がしますよね。でも本作には実に良く合っていると思います。本当にマンガっていうよりイラストレ―ターの描くイラストなんですよ、だから直筆の温かみとかでイメージをキープしたかったのかなと思ってたりします。

わたせせいぞう先生の使用しているボキャブラリー

絵柄も西洋な感じですが先生が作中で使っている単語もちょっと違うかなと思いました。例えばアパートを「アパートメント」とか食べ物のピザを「ピッツァ」とか英語をそのままカタカタにしたものが多いんですよね。でもたまにカタカナ表記が普段見かけるタイプのものじゃなかったりして、不思議だしちょっとびっくりする時がありました。なんでかなあと、わたせ氏は海外経験の豊富な旅のベテランみたいな人物なのかなあと思っていましたら過去に外国語を語学学校みたいな所か大学かで教えていらっしゃったようですね。なるほどでした。それで絵柄もネームも浮世絵離れしてたのかと。（あえて浮世絵と言ってみた）このマンガだったら本棚にデコレーションとしておいておけるななどと思っていたら本当にいつまでも置き物なっているのに今さらながら気付かされましたよ。（中身ももちろん熟読した後ですがね）