独断と偏見の名言集
2016年1月10日、ロッカー、シンガーソングライター、俳優などで活躍したデヴィッド・ボウイが亡くなりましたね。才能と魅力に溢れた大スターでした。本当に寂しいです。彼の存在を知った映画が、この「ラビリンス 魔王の迷宮」でした。彼扮する魔王ジャレスは、ハマりました。計画当初は、マイケル・ジャクソンがキャスティングされる予定だったみたいですが、それはそれでどうなってたんでしょうか。
デヴィッド・ボウイが、楽曲提供していて、歌い出すシーンが幾つかありますが、マイケル・ジャクソンだったら凄いキレのある、「踊る魔王」が誕生してたかもしれませんね(笑)
さて、子供の頃に、当時VHSで観た時は、キャストがほぼマペットというポップさで楽しんだものですが、大人になってから観たら、「結構深い」映画になっていました。
では、この対象年齢不明の名作に散りばめられた、名言をこの場をお借りしてもう一度思い出してみたいと思います。考察は私の自己流解釈です。ご容赦ください。
ラビリンス 魔王の迷宮 名言集 ~独断と偏見の解釈~
見た目より遠く、時間はない。
(by ジャレス)
迷路に入る前に、ジャレスはサラに引き返すよう勧めました。真理に至る道は長く、困難を極めるが、人生はそれには短過ぎるのかもしれません。
それでも、獲得しなければならないものが、あるのも真実でしょう。
見落としてるんだ。抜け道だらけだよ。
(by ケムシ)
迷路に入ってすぐ、果てしなく真っ直ぐ続く道に途方に暮れていたサラ。そこに、小さな可愛いケムシが話し掛けて来て言います。
自分が思っていたのと違う道、本当の自分。いろんな可能性が世界のあちこちに散りばめられているとでもいうよです。確かに、独断と偏見だけで損をしたり、道を誤ることもあります。肝に命じたいケムシの名言です。
耳を貸すな。嘘の警告だ。正しい道には必ずこいつらがいる。
(by ホグル)
サラはホグルに、自分が着けていたブレスレットを上げる代わり、お城の近くまで案内して欲しいと頼みます。そうやって、地下の世界へ足を踏み入れた二人の前に、しゃべる岩の壁達が「先に進むべからず」と警告してくるシーンです。
自分の気持ちに従おうとする時、誰しも多少なりと不安になることがあると思います。自分の決断が正しいのか?そして、人の言葉に惑わされ勝ちになったりします。結局、責任を取るのは自分なのですが。
重大な決断ならそうなるのも当然です。しかし、散々悩み、調査し、決死の思いで決行に踏み切った事柄であれば、後は信じた道を突き進むのみ。結果は誰にも分かりませんが、迷った時に勇気をくれる名言です。
何に比べて不公平なのだ?
(by ジャレス)
サラの口癖「不公平よ!」に対してジャレスが放った言葉。自分だけが不当な扱いを受けていると信じている彼女に、それが思い込みだと気づかせてくれた、ありがたい皮肉です。
英語では「It's not fair(不公平だ!)」、日本語では、ちょっと言葉変わりますが、「さいあく~」みたいな感じでしょうか。無意識に使ってる時がありますが、そんな時こそ自分で突っ込みたいです!「何と比べてさいあく~なのだ?」と(笑)
迷っているように思っても、実のところ迷っていない。
(by ワイズ=マン)
道に迷ったサラが、賢者に助言を求めます。
賢者のこの言葉、受けとる側によっては意味不明です。一緒にいたホグルは、「何も教えてくれてない!」とわめいていますが、サラには何か得るものがあったのでしょう。
私は、自分で迷走してると感じた時、よく思い出します。迷ってるのも道のひとつです。その時は意味が分からなくても、無駄ではないことも多くあります。ただ、それを本当に無駄にしない為に、甘んじないよう危機感は持っておきたいものですが。
許してあげる。
(by サラ)
物語終盤、裏切って行方が分からなくなっていたホグルが、一行に襲いかかるマシンの兵士から守ってくれます。彼に仲間が駆け寄ると、「許してもらおうなんて気はないぜ。軽蔑するがいい。どうせ、わしは臆病者さ。友達なんか要らない。」と、拒絶してしまいます。
しかし、サラは「許してあげる。」と告げるのです。
素直じゃない、臆病な、弱い彼を認めることで、心ひとつになり、目的に達するための推進力を得たサラ一行は、魔王のお膝元ゴブリンシティへと乗り込むのです。
ラビリンスとサラ
サラは、ちょっと中二病っぽい多感な時期の少女ですね。おそらく、両親が離婚したか、母親が亡くなったかで、継母と父親、そして異母弟のトビーと暮らしています。
弟に、自分の居場所を奪われたように感じたり、誰も自分の話を聞いてくれないと憤って、自分の殻に閉じ籠ろうとする時、その拠り所になるのが自分だけの夢の世界(マイワールド)です。
彼女の部屋には、ラビリンスの住人が溢れんばかりに置かれています。
ラビリンスは、彼女の世界そのものなのですね。
ジャレスの正体
ジャレスは、彼女のマイワールドであるラビリンスに君臨する魔王ですから、彼自身もサラの分身と考えられます。
サラが簡単に攻略出来ない、広大で複雑な迷路の中心に構え、ゴブリン達に武装させて何重にもお蚕包みに守られた魔王様。彼は策略で彼女を城に近付けないよう手を下しますが、危害を加えたりしません。
サラを愛するが故に、全てやったことなので当然かもしれませんが、最後に彼女と直接対峙した時、非常に弱々しい態度を取っています。
こうした流れから、彼は彼女の一番センシティヴな幼心なのではないでしょうか?と推測しました。
「輝く陽光がなければ 君の鼓動を聞かずには もはや私は生きていられない 君の心の中では」と挿入歌“Within you”に歌われています。
大人になるために切り捨てられていく心の化身がジャレスであり、彼の愛はサラ自身への自己愛でもあるように感じます。
しかし、本当に大切な人のために、我を忘れて行動したことで、彼女の愛はジャレスの手には入らなくなり、サラ自身も自己への執着を離れることが出来たのではないでしょうか?
また、ダメなおっさんホグルのことも許していました。彼もまた彼女の中に住んでいる人ですので、ダメな自分も全部受け入れた結果、内向して歪んだ自己愛と決別できたのかもしれません。
超妄想深読みしてますが、あくまで個人の見解です。誰もが必ず通る道が、人間の心の中にはあると思います。みんな違ったラビリンスを持っている。そんな風に考えたら、ちょっと楽しいです(^∇^)
おしまいに・・・
何気なく観ても、ジェニファー・コネリーは綺麗だし、デヴィッド・ボウイは魅力的だし、全部CGじゃないモンスター達は、今や表彰物で、飽きることはないと思いますが、よく見てみると、観る度に新しい発見がある作品って、やっぱり名作なんじゃないかと思います。作り手の愛や、熱いメッセージを感じられる映画でした。
長文お付き合いいただき、ありがとうございました。
皆さまの心に残る何かがあれば幸いです。
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