柔道アニメってめずらしいですよね!
オープニングテーマ曲が素晴らしい作品!
まずは優秀なアニメ作品に欠かせない要素なのが、オープニングテーマ曲だと思うのです。その例を挙げるなら、「シティーハンター」シリーズ、そして「タッチ」「機動戦士ガンダム」シリーズなど挙げられるのではないでしょうか。オープニング曲が優秀であることで、またアニメ作品そのものを印象付けてしまうもので、アニメ作品の認知を広げる役割があると思うのです。
「YAWARA」のオープニング曲もシーズンが変わるごとに変わりましたが、それも本当に良い曲なんです。「ミラクル・ガール」は初期のオープニング曲で有名ソングといえます。また2期目の「雨にキッスの花束を」、3期目の「負けるな女の子!」、4期目の「YOU AND I」も埋もれてる感じもしますが、本当に良い楽曲です。
主人公のヤワラちゃんが高校生という年齢から、物語がスタートしていきますが、初期のオープニング曲である「ミラクル・ガール!」は主人公のイメージそのものをうまく表現しているんじゃないでしょうか。メロディーなど、音楽の雰囲気までも、高校生であるヤワラちゃんの初々しさや若々しさとうまく合致していると思うのです。
そして、徐々に大人の雰囲気に2~3期とオープニング曲が変わることで、ヤワラちゃんの成長、大人になっていく様子をうまく演出・表現できているように思うのです。こうやってオープニング曲を変えることで、主人公の性格や状況を表現する手法ってなかなか見たことがないです。
狙ってそうしたのか、たまたま結果的にそうなったのか、分からない部分があります。しかし狙って仕掛けたことであれば、素晴らしい工夫ですね。
祖父と主人公の不思議な関係
私自身、原作の漫画は読んだことがありません。しかしアニメ作品を観るかぎり、ほぼ原作通りの進行なのだろうと思います。主人公ヤワラちゃんと祖父の滋悟郎は、物語を通して、ずっと喧嘩をしているイメージですね。しかし、祖父の滋悟郎の思惑通りになっていくのは、観ていて可哀そうな感じがしました。
ハキハキしていて活気的な主人公であるヤワラちゃんは、非常に好感がもてる女の子です。しかし祖父の滋悟郎は自分勝手で、気難しいお年寄りの典型といえる性格といえます。ヤワラちゃんが良い女の子であるがゆえに、滋悟郎の思惑通りに展開していく物語の面白さがあります。
恋敵でもあり柔道の好敵手であるライバル
ライバル役である本阿弥さやか(以下:サヤカと表記)もヤワラの祖父である滋悟郎と似た位置のポジションだったように思います。お互いの境遇や、環境にギャップがあり、また性格も真逆でありませんが、全然違うキャラクター性であることが物語の展開と、視聴者に感情移入をさせる工夫だったのではないでしょうか。
ただ、どこか間が抜けていて、悪役に徹しきれないキャラクターであることも特筆すべきなのかもしれません。たびたび、おいしいタイミングで抜ける差し歯は意外性抜群です。女性キャラクターで差し歯が抜けるキャラクターを他のアニメ作品で観たことがありません。
他にも続々と個性的な登場人物
この作品の中で、個性が一番弱いのは、主人公ヤワラちゃんといえるかもしれません。それだけ、他の登場人物も個性的に描かれています。風祭進之介は爽やかイケメンだけど、ヘタレなのが笑わせてくれます。しかも声優さんは、神谷明さんなので妙に「シティーハンター」冴羽獠とイメージが重なります。女性に手が早いということもあるかもしれませんが、冴羽獠にようにカッコ良い男前な一面はありません。キリッとした表情を見せるのは、見た目だけで、中身が伴っていないことが彼自身の面白い部分だと思います。
高校の柔道部主将の花園さんは、相当なブ男で、巨漢という見た目からも大きな特徴があります。口グセの「自分があまりにもふがいなく~」はお笑いでいう天丼効果になっており、面白いキャラクターです。
また富士子さんも良いキャラクターだったように思います。体が大きすぎて、バレーをすることを諦めてしまいましたが、柔道においても潜在能力が高いというところが意外性を感じて、応援したくなる存在でした。また性格は地味で、アニメの登場人物というより、身近にこういう人っている感じがハマッていたのも良い点だったように思います。性格は地味系なのに、彼女自身の物語に与える影響が強いというのも面白い展開でした。主人公ヤワラが柔道を辞めたときに、復帰させるために現役復帰した展開は感動しました。
振り返ってみると
この原作者は個性的なキャラクターをつくるのが、とても上手で、それ自体が「YAWARA」の大きな魅力になっているように思います。登場人物それぞれの存在感が大きいだけに、もしこの人物が居なかったらと考えると、その穴は大きいのではないでしょうか。
また案外と長くアニメが続いた、という印象を持ちます。ヤワラちゃんが高校卒業して終わりかな、と思っていたら、大学・社会人になるまでと話が続いたことがそう思わせるのでしょうね。当初はこんなに続くなんて、全く思っていませんでしたが、他の視聴者はどうなんでしょうか。そう考えると、この原作者はどこまで続けるのか、どこで終わるのか、最初の時点で想定していなかったように思うのです。どんな終わり方をするのか、ひょっとしたら、ずいぶん長い間悩んでいたのかもしれませんね。
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