名作アニメの決定版だけど…ケンシロウが面白すぎる
時代背景や設定・登場キャラクターが熱く盛り上げる
「199X年、地球は核の炎に包まれた」というナレーションから始まる物語は、今もなお、色あせず語り尽くされる名作ですよね。経済効果も計り知れないのではないでしょうか。週刊ジャンプの連載漫画を原作とするこの作品は、アニメ化され、数多くの劇場版になり発表されました。セガやファミコン、メガドライブ、そしてプレイステーション、セガサターンなどゲーム化も数多くされました。またパチンコ業界にも参入して、初代パチスロ機である「パチスロ北斗の拳」は100万台の出荷・設置がされた台としてギネスブックにも掲載されました。
これだけの魅力に溢れたコンテンツも珍しいのではないでしょうか。
また登場するキャラクターも敵役は「悪そのもの」という分かりやすい構図で描かれており、観ていてスカッとさせてくれます。登場する敵役や、味方、ライバルなどの登場人物が非常に個性的なのも特徴的だと思います。ひと癖もふた癖もあるキャラクターなのが魅力的です。
毎回毎回死んでいくキャラクターなど観ていると、よくここまで特徴的なキャラクター設定をされることに、原作者の発案・アイデアが凄いことに驚かされます。終始、物語は大筋はあるものの、基本的な展開はワンパターンで構成されており、ここまで魅力的に描けることに才能のキラメキを感じさせてくれます。
同じ原作者で制作されている「花の慶次」においても、時代劇もので、歴史になぞったものにもかかわらずキャラクターの個性を強く打ち出すことによって魅力的に描く手法は継承されています。これは紛れもなく、原作者の才能ですよね。一発屋ではないことが、それを証明しているように思います。
セリフの発想が凄すぎる!
また個性的なキャラクターから打ち出されるセリフが魅力的なのも、キャラクターという土台があるからこそ打ち出せるものだと思います。これは練り込んで考えに考え抜いて発案されたセリフではないように思えるんです。こういった発想の裏側にあるのが、セリフそのものの「面白さ」だと考えています。
「お前はもう死んでいる」
北斗の拳を代表する名セリフですが、内容そのものが矛盾しています。死んでいるものにこんな言葉は掛けませんし、まだ生きている相手に告げることが、このセリフの変に矛盾している面白みだと思うのです。
また強敵であり親友でもあるシンがケンシロウの恋人、ユリアを奪っていくシーンにも名言が隠れています。
「俺を愛していると言ってみろ」
後にも先にも、そして他のアニメや映画、漫画の中でもこんなセリフがあった覚えがありません。逆にもし有るようであれば、この作品の影響を受けていることが否めないと思うのです。場面から出てくるセリフ、そして展開が印象的で、今でも歴史に残る名場面だと思うのです。普通に奪っていけば良いものの、その後に追い打ちをかける物言いは「酷い」ことを通り越す感情になりますね。
またケンシロウの親友でもある南斗水鳥拳レイの一般的にも有名な名言に触れさせて下さい。
「てめぇらの血は何色だー!!」
人間であれば赤色なのは間違いないことですし、これは一般常識で子どもでも知っているレベルのことだと思います。しかし悪行の限りを尽くし、同じ人間だと思えないことへの比喩表現なのでしょう。血液の色という一般常識を、敢えて問うている、このセリフは非常に印象深く残ってしまいますね。
非常によくまとまった内容!
劇場版の素晴らしいのは、必要以上に時間をかけることなく見通せるところだと思います。良い意味で総集編となっているので、場面の前後に違和感がなく、見通せるのが良いところではないでしょうか。シンとの闘い、牙一族の討伐、そしてジャギ成敗、ラオウ登場とテンポが良く、ストーリーのあらすじを追うことができるのがいいです。
しかし北斗の拳の一番良い部分は、悪人をやっつけ、村人を助けてながら旅をしていく場面に他ならないと考えています。
悪人に対して、非情に徹するケンシロウの面白さ、そして善人・悪人との対応のギャップがこの作品のギャグ要素でもっとも笑える部分だと思います。その部分がほとんどカットされていますので、入口部分にしかならず、実はこの作品の魅力の半分ほどしか伝えきれていないことを強く訴えたいです。
アニメや原作漫画のどの部分がカットされているのか、探りながら観ると、このコンテンツの面白さを100%引き出して楽しめるというのが私自身の持論です。
※追記
一度は埋もれかけた名曲!
劇場版「北斗の拳」の挿入歌である「HEART OF MADNESS」や、主題歌「PURPLE EYES」はなかなかスポットが当たることがないような気がします。しかし、アニメ主題歌である「愛をとりもどせ」「SILENT SURVIVOR」に負けないくらいの名曲です。どうしても劇場版の知名度が低いこともあって、アニメ主題歌の影になりがちなのが悲しいです。
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