愛くるしいわんぱくベベール - わんぱく旋風の感想

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愛くるしいわんぱくベベール

3.73.7
映像
3.5
脚本
3.2
キャスト
4.0
音楽
3.9
演出
3.5

目次

わんぱくシリーズ物の第2作

まだテレビがモノクロだったあの頃…。古き良き時代のフランスで誕生したイヴ・ローベル監督による1962年製作の名作映画「わんぱく旋風」。 

この作品には、前作品である1961年製作の「わんぱく戦争」があるのはご存知だろうか。 

「わんぱく旋風」といえば、主人公の男の子ベベールを演じているアントワーヌ・ラルチーグのまん丸としたお目目にきょとんとした表情がどこか愛らしくとてもキュートだ。そんな彼は、前作の「わんぱく戦争」でも同様準主役のジュビス坊やことプチ・ジュビスを演じている。

実はこのプチ・ジュビスという役名は、当時のフランスで前作の「わんぱく戦争」が人気を呼んだこともありアントワーヌ・ラルチーグが芸名として使用し続編「わんぱく旋風」に主役で再登場したという裏話もある。 

戦争ごっこからスラップスティック・コメディへ


前作の「わんぱく戦争」では、舞台となる南仏のジュビス坊やを含め数十人といる子供たちが村の対立からくる戦争ごっこで大いに活躍し、はっちゃけてくれた。そのはっちゃけぶりは、わんぱくを通り越し、もはや悪ガキという言い方の方がしっくりくるだろう。フランスを代表する悪ガキ映画にもできそうだ。 

しかし、続編「わんぱく旋風」では主役ベベールが誰よりもスポットライトを浴び、活躍することとなる。その次に活躍するのが、ベベールの兄である長男のチーノであろう。

そんな、長男チーノは能天気な性格で思春期真っ只中の少年である。年齢については、映画で見る限り長男チーノが高校生、弟ベベールは小学生くらいだと思われる。結構年が離れてる兄弟だ。それをいいことに、長男チーノは弟ベベールをダシに使うことがしばしば見られた。 

ある日、ベベールは家族でパリにお買い物に来た。そんな中、長男チーノは街ゆく女性に声をかけてナンパをしている。よく、フランスの男たちはナンパが上手だというが彼はそれほど上手くナンパをしているようには見えなかった。それもその筈、親から弟ベベールの子守役を言い渡されているからだ。 

わんぱくで好奇心旺盛なベベールから目を離すと、そばからいなくなりそれはもう大変。デパートでは目を離した隙に有料の写真撮影で自撮りし、その会計を長男チーノが自腹で支払わされた。

レストランでは子供の想像力というものなのだろうか、ベベールがお客の犬と会話を交わしている最中、犬の発言が気に障り、わんぱくな性格なだけに犬に手を出そうと近寄ろうとした際、間違えて店の人とぶつかってグラスを割ってしまったり…

このような例のシーンから、ベベールは非常に手がかかる子というのがわかる。だが、そもそもこの失敗は長男チーノがナンパに夢中で弟ベベールをきちんと見張っていないからだとも言える。 子守というものは責任がつく。

後に、このナンパのやりすぎが長男チーノ自身を苦しめる事になるのだが、もはやこれは自業自得だ。 

そう、ここからが本番であろう。偶然街の通りで出会った友達に誘われて、またナンパを始める長男チーノはナンパした女性二人と汽車に乗り合わせる。もちろんこの時弟も一緒だ。車両は別々に乗ったがそれがいけなかった。なんと、その汽車は車両が分裂するようになっていたのだ。 

汽車が、ガタンゴトンと走り始める。今まで歩きっぱなしだったベベール、汽車の中でウトウトしてるうちについうっかり寝てしまった。 

この時のベベールの寝顔には、隣に座っていた女性の袋からこっそり盗み食いしたであろう果物の食べ残しが口の周りについている。

その頃、長男チーノの乗った車両はというと…弟ベベールの車両とは別方向に向かおうとしていた。 

弟がいない…いや、乗車したときは後ろにあったはずの車両がなくなっていることに気づいた長男チーノはナンパをやめ、駅の係員に車両がどこに行ったのか聞き出した。

車両が何処へ向かうのかがわかった長男チーノは、すぐさま弟ベベールの向かう駅に自転車を飛ばして追いかけた。 

やっぱり彼にとってナンパより弟は大事だったということが分かる。

どこか憎めないわんぱくベベール 

外は日が暮れもう夜になっていた。長男チーノが弟ベベールを探し回っている間、弟ベベールはというと…駅の係員に拾われ世話を焼かしていた。わんぱくなベベールは係員の言うことなんか上の空。駅に止まっている汽車のモノマネをしたり線路にカートスケールを落としたりと、迷子になっているにも関わらず楽しそうにしているのだ。

汽車のモノマネをするベベールの姿は、思わず子供らしいなぁ~と微笑ましくなってしまうシーンだった。

また、他人の果物を盗み食いした自分勝手なベベールだが、彼のむにゃむにゃと幸せそうな寝顔をみると憎めなくなる。

駅の係員と空室で一晩過ごすやりとりは、ベベールが家族以外の人でも構わず手を焼かす場面が描かれており、わがままを言っている彼の姿がみれる。でも、やっぱりそのわがままさが彼なのであって無邪気で悪戯を繰り返すわんぱくなベベールは、やはりどこか憎めない。

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