思春期の行き場のない感情
『理由なき反抗』は若くして死んでしまったジェームズ・ディーンの代表作とも言えるでしょう。
アメリカのティーンエイジャー。思春期の少年少女の、行き場のない、言葉には表し難い感情を見事に表現している作品だと思いました。そして、ジェームズ・ディーンの演技は主題にぴったりと当てはまり、この映画が名作と言われるのにも一役かっています。
ジェームズ・ディーンが演じる主人公は言うなれば富裕層のお坊ちゃま。年頃なのか悪いことに少し憧れを抱いているように見えます。親の溺愛ぶりに嫌気がさし、不良ぶるけど本当の不良にはなれない。何かを訴えようとしても何を訴えたいのかも分からないし、訴える術も知らない。大人は皆わかってくれない、わかってくれるのは自分と同じこの感覚を持った仲間だけ。境遇は違えど私達も思春期の時期にはこういう感情を持っていたと思います。
そして、それを象徴的に表現しているのが最後のシーン。大事な友人をあともう少しで救えるはずだったのに大人に殺されてしまう。その時の主人公の叫びが正にこの映画の主題であると思います。
最後はハッピーエンドではないですが、主人公のその叫びは少なくとも一番身近にいる両親にちゃんと伝わります。この後彼等がどうなったのかはわかりませんが、誰しもが、大人になるにつれて忘れてしまったこんな感情を抱いていた時期があったのだと気付かされる作品だと思います。
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