キスは甘いチョコの香り、女の子は大好きな設定! - ミモザでサラダの感想

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ミモザでサラダ

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画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
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キスは甘いチョコの香り、女の子は大好きな設定!

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画力
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
3.0

目次

カイルとの距離の縮め方

大富豪なんだけど、家族がいなくて命を狙われる。お金もちではないけど、家族がいて命は狙われない。どちらがいいのだろうと考えたときに、人それぞれではあるけど、多くの人が命は狙われないほうを選ぶのではないでしょうか。ミモザはおじいさんがいなくなってから、孤独な身の上になってしまった。そのなかで屋敷とロボット、カイルだけが残されたものとなると、カイルに懐いてしまうのも仕方がないと思います。子どもって本当に信じてしまうものなのです。ディズニーランドの着ぐるみが生きている動物であると、結構信じているものなのです。あのとき、ロボットです。と言われて、ミモザは疑います。違うでしょとちゃんと反論しています。彼が決定的にロボットだと思ったのは、チョコレートとアルコールだけしか食べない。みんな屋敷のものにもロボットみたいだねと言われてから、信じてしまったのかもしれません。ロボットだから、嘘を言わない。ロボットだからと気を許してしまったのかもしれません。おじいさんの言葉が「人の心は移ろいやすいもの。人間はダメだ。人間を信じちゃいけない。ミモザ、お前の両親は毒を盛られて死んだのだよ」12歳の多感な頃の女の子がそれを言われて、大きなお屋敷にひとり残されたところを想像してしまうとつらいです。誰も信用できなくて、食事も喉を通らない。食事に毒が入っているかもしれない。友人がメールをくれても、人の心は移ろいやすいと思い、返事も返せない。夜もしっかりと眠れない。そんな状況をしっかりと描いてあります。その状況をいち早くカイルは察して、家政婦のマーサにこっそりと伝えます。そして、またそれが少しずつカイルとの距離を縮めていくきっかけになる。ロボットなので、心を許してしまっている様子がかわいらしくて12歳の女の子を伸び伸びと描いてあります。

森生先生の魅力と言えば、女の子です!小さな女の子を描かせたら、ダントツにうまい。笑い顔と泣き顔が特にいいです。メロメロになってしまうほどにかわいいです。リース・クロケット、男性だと思ってみると、男性なのですが、女性だと思ってみるとちゃんと女性にも見えます。中性的に見えるようにきちんと描かれています。「多大な無礼をお詫びします。リース・クロケット」とカイルが言ったとき、きちんとお詫びするなら、ミスターをつけないといけないのに、どうしてだろう?と思っていました。それは、彼は彼女だったということが後で種明かしされています。「もし、今僕とキミが争ったら・・・ミモザはどちらにつくだろうね・・・?」それも種明かしと同時にミモザが抱き着いてきた人がカイルだったので、俺の方を選んだでしょというのをニヤッとした笑いで現されています。 それがすごいですね。ミモザがカイルを選んだことで、リースは退散せざるを得ない状況。ここだけの登場の予定だったにしても登場させたら、なかなか退場させにくいのにすごい手腕だなと思いました。

カイルがどんな風にミモザを大事に思っているのか

カイルはミモザのことを「まだ子供だ」と言いながら、生活を共にするということは、この距離感を縮めることなんだなと思いました。ミモザと一緒に食事をして「博士に頼まれたの!カイルは頭脳は機械でも体は人間だからって、チョコレート以外の物もちゃんと食べてっ」と心配されたり、隣で寝顔を見られたりする日々がカイルの心をもチョコレートみたいに溶かしていきました。隣で眠っている人がいると、人ってどうしてあんなに長いこと時間を忘れて眠ることができるのだろうといつも不思議に思っていました。それがカイルの身にも起こります。幼児も隣で親がぐっすり寝ていると、一緒になって眠りますが、起きていると途中で目が覚めて泣き出します。ミモザをスイスの寄宿舎に入れたいということをエヴァンスから聞きます。そのときの驚き、自分が動揺しているのに驚いているのではないかと思うほどに目を見開いています。「私の側から離れないでね」というミモザに「いつでもミモザ様のお側に」と言いながら、もう手放すことを考えていたのだなと。カイルの手がミモザの頬に触れ、涙をぬぐい、愛おしそうに手のひらでミモザの小さな頬を包み込みます。そして、ゆっくりと親指がミモザの唇を撫でる。ミモザは心地よくて目を閉じていますが、周りから見ると、愛おしくて離したくない様子がわかります。それを言葉ではなく、言葉と裏腹な仕草が伝えています。

ロボットから人になる瞬間

「・・・ロボットの行動に矛盾はない!感情がないから好きも嫌いもない!その内、お前の矛盾に彼女は気づくぞ?」「自分が心を許していたカイルはロボットではなく、金で雇われ自分を騙していた赤の他人―」カイルが赤い血を流したときにロボットではないと、気がついていて、長い長いオトナのキスに憧れていたミモザ。それをカイルと別れるときにキスされたときにわかっていたのではないかなと思います。ビデオレターが届いたときに見た彼女の姿にカイルは電流が走ります。恋しているのがそれだけで伝わってきます。でも、彼女は雲の上の人。自分に手が届くはずがないとして、自分から手を離します。その離した手をつなぐことに決めたのは、ミモザの行動がなかったら、カイルはあのままあの生まれた場所で過ごしていたかもしれません。ミモザが動いたことによって、カイルも動いた。カイルの笑顔が見れたとき、ロボットが人になった瞬間かもしれません。ロボットのような人、カイルの心をミモザの無邪気な心が解放していったお話はとても素敵でした。森生先生から、最後にメッセージがあり「あなたのお気に入りの一冊になります様に」とあります。お気に入りの一冊になりました!とメッセージを伝えたいです。

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