半人半妖こそ最も人間味があるのではないか
「私の身体の半分しかないその小さな少女は…銀色の瞳からも涙を流せることを私に教えてくれた…」私はこのテレサの言葉こそがCLAYMOREのテーマを表していると考えています。そのテーマは『愛情』です。銀眼の魔女と恐れられている彼女たちには一般人は深く関わろうとしません。そのため一般人に、冷酷、残虐、半人半妖、などのレッテルをクレイモアたちは貼られて生き続けてきました。心理学的に人はレッテルを貼られて、長い間指摘され続けるとそのレッテルこそが自分なんだと誤認しはじめるのです。だからこそ、クレアにとって自分に対して興味を持ち、人として接してくれたラキという存在はクレアの価値観、世界観をひっくり返し、そして愛情深い人間に変えていったのです。加えて、男女の関係にも発展していくのは…人間ならではなのかとも推測します。
また、テレサ討伐の任務を振り返ったイレーネは「お前と一緒にいる幸せそうなテレサを見たとき、私の内に広がる感情は羨望だった」と言っていました。私はクレイモアの誰もが愛情深い人間なのだろうか。心の奥底に人に対する、優しさや愛情が隠れいるだけではないのか。疑問に持ちながら読み進めていくうちに、私はクレイモアのみんなが人間より人間らしい、他人から貰った愛情を自分ではない愛する人に対して愛情を注げる女性たちなんだと確信しています。
最後に、発行された当時から現代までの時代背景から考察します。私はCLAYMOREを通して、幼児虐待や育児放棄などの子育てに関して、愛情というテーマを作者は訴えていると感じました。どんな事をしても我が子は可愛い。だけど、自分に対して自信が持てない(ナンバー最下位の実力の主人公)、ダメな母親とレッテルを貼られる(冷酷、残虐などのレッテル)、その不安感や苛立ちから虐待や育児放棄に繋がっていくのです。しかし、些細なことがきっかけで愛情を理解します。もうどうしようもないダメだ、と思いながらも子どもを抱きしめたときに、自分が抱きしめてるのではなく、自分は子どもに抱きしめられていることを理解するのです。
人間は愛情を注ぎ、注がれ、そして愛情深い優しい人間になっていくんだと私は考えています。CLAYMOREは愛情こそが人間に与えられた宝物であることを証明してくれる作品だと考察します。
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