菩提樹を読んでみてください
大和和紀先生の作品というと、「はいからさんが通る」や「あさきゆめみし」が有名ですけど、大学の医学部を舞台にした「菩提樹」というマンガがあります。 中原麻美は幼少期に交通事故で両親を亡くし、立派な医者になることを条件に足長おじさんに育てられました。何不自由のない生活を送り、登場する友達もお金持ちばかり。読み始めてしばらくは飲み会や医学生たちが派手に遊び歩く場面が多く、少女マンガってこれだから嫌なんだよと思いながら読んでいました。生活や授業の厳しさが微塵も感じられないので、本格的な医療マンガではありません。でも、さすが大和先生です。私の期待を裏切りませんでした。
麻美を長年にわたって支えてきた足長おじさんが誰なのか、麻美は誰と恋に落ちるのか、私はどんどん引き込まれていきました。足長おじさんは神崎先生なのか、早坂先生なのか。麻美の愛する人は早坂先生なのか、森次君なのか。自分で想像しながら読んでいきました。足長おじさんは早坂先生だけど、結局は若い森次君と付き合うのだろうと予測してみました。大体あっていたけれどこのマンガの面白いところは読者の予想を裏切るどんでん返しがあることです。
麻美が愛した足長おじさんこと早坂先生は実は麻美の両親の交通事故の加害者でした。愛と両親を失った恨みとの両方の思いに苦しむ麻美。やがて早坂先生は亡くなり、森次君の事故を通して麻美は森次君への思いに気づきます。辛い恋を経験し、少女が菩提樹の木の下で人間として医師として成長していく姿を描いた素敵なマンガだと思います。
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