ストーリーやテーマは秀逸なんだよな・・・
女性の監察医をテーマに据えて漫画にするというのは非常に秀逸だと思う。死体×女性×解剖。このアンバランスな組み合わせがあるおかげでドラマとして放送された際にも文字通りきらきら光る作品となっていた。一つ一つの話に秘められた解剖という不気味さと主演の深津絵里の演技の絶妙なバランスで放送当時から人気作となり、複数回に渡る長編スペシャルが放映されるなどこの作品自体が持つ面白みによって今でも記憶に残る良いドラマである。しかし、原作の漫画の方はお世辞にもドラマほど上出来とは言えないだろう。何と言っても絵に癖がありすぎる。読み手にとってあまりに癖が強い絵では疲れが出てしまう。内容が素晴らしいのに独特の絵の雰囲気によって読み込もうにもいささか抵抗が走ってしまった方も多いだろう。郷田マモラの作品は非常に社会に対してのメッセージ性があり、ストーリーのチョイスや話の展開の進め方が秀逸なだけにこの絵のタッチが非常に残念だ。同じ内容でも原作と作画を分けることでより読者に馴染みの良い作品に仕上がったはずだ。また、話の結末があまりに後味が悪いこともいただけない。悲しさとその切なさ・不条理さを売りにしている目的なのかもしれないが、読み終わった後のなんとも言えない疲れは正直受け入れるのに抵抗がある。読み進めて抱いたストレスが昇華されるような話をもう少し加えることで広く馴染みの良い物語になれたはずだ。
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