家族で読むのも楽しいッポイ！ - っポイ！の感想

青春ラブコメ風

最初は、主人公 ”天野 平” がクラスで気になった ”一之瀬 雛姫” の行動を誤解する所から始まる。

恋心よりも先に、何もしていない自分から逃げようとする彼女を目で追う”平くん”が面白い。

”平くん”は思い込みが激しい子。冷静な性格な幼馴染 ”万里くん”と二人でちょうどいい感じ。

話の途中で、”平くん”が女装したり可愛く笑ったりした時の描き方は綺麗。

女の子目線の話もあって、ヒロイン同士が同じ男の子を好きになる展開もある。

親友をとるか好きな男子をとるか悩む彼女たち。王道だけど、ドロドロしないで正々堂々報告しあって

好きな男子と距離を縮めていこうとする姿は「っポイ！」に出てくる女子の良い所。

キャラクターの設定が細かい

主人公 ”天野 平" と幼馴染の ”日下 万里”、冷静沈着で成績優秀・女子にも人気だけど、性格が少し捻くれてる。

二人の仲は、周りの人間が見ればすこぶるよく見えるが、実際は深入りしない二人。

何かあれば真っ先に相談したり心配もするけど、解決できるところは自分で進める決断力と行動力がいい。

”万里くん”の方が”平くん”への執着があるように感じる（同じ高校へ行かせるために発破かけたり）

怪我とか精神的に傷つけようものなら、笑顔で倍にして返ってきそうな感じがする。（腹黒系）

同じクラスの子達（カメラ・料理・部活・好きな子にチョッカイ出す・委員長）

学校の先生（宿題を出すのが好き・生徒で賭けるのが好き・熱血指導）の性格・趣味が細かくて、

主人公達以外の人でスポットライトが当たっても話が進んでいける様で、内容も面白くなる感じがする。　

（人数が増えるから覚えるのは根気が必要！！）

”平くん”達以外の家族や先輩たちのつながりも見所の一つ。

繋がった縁を大事にして、自分の目標の為に努力を惜しまない所が好き。

話しのテーマが中学生時代の独特な悩み

過去の作品「ZERO」の近代的・ＳＦ・戦争系の大人な内容から、ガラリと違った、

中学生の日常生活で起こる、恋愛・身内の話・勉強・進学・留年・友達同士の付き合い方などの話が中心。

些細な事でむきになってマラソンで１位を取ろうと全力疾走したり、バスケの試合中怪我をしても退場しないで無理してみたり、学園祭のステージが盛り上がりすぎてバク転決めてみたり、好きな子と帰りが一緒になってラッキー！！だったりな日常を話が全体の前半に繰り広げられてます。

後半になるにつれて主人公 ”平くん” だけで解決できなんじゃ・・・と思うような深く思い話も増えていきます。

（受験のストレス・学級問題・暴力事件・家庭崩壊のち虐待・引きこもり・いじめによる自殺願望など。）

他人の家族に深入りして危ない目にちょくちょく遭いますが、

それでも自分なりの考えを家族や友人に相談して、周りの人たちを止めて助けていく ”平くん”の姿は、とても素敵です。

傍観者にならない、なりきれない性格の "平くん" 。

素直で意見を曲げないで真剣に取り合ってくれる彼だからこそ、難しいシリアスな内容でも、少しずつ進んでいけるのではないかと思いました。

さらに想うのは、”平くん” の多少無茶をしても、意見や行動を信じてくれている両親がいることが、彼の行動力の源なのかなって思いました。（親に信じてもらえるのは、一番嬉しいことです）

「っポイ！」を読むと、いじめようとする側（悪役みたいな）の子も根本は良い子たちばかりなのが分かります。

子供が捻くれた性格になったり、心が病んでしまう原因は、両親の性格・接し方にも問題があるのだと・・・

話しかけられている感じがしました。

１巻の絵を見て素通りはやめよう

単行本１巻は、あらすじも書いてなく表紙の絵だけで判断してしまいがちだけど、中身は面白いんです。

少し男の子の表現は荒いけど、女の子のサラサラした髪や制服・私服・涙の線が細かく可愛いく綺麗。

また、話が進むにつれて背景の絵も細かくなり読み応えがある。

バスケの試合・学園祭・肝試し・学校内の陣取り合戦など行事が盛りだくさんで面白い。

短編の童話漫画も面白い

話の中心にいたキャラクターを童話の主人公にして話が進む短編もいい。

”平くん”も”万里くん”も女装してたり、脇役一コマだけだったり、源氏物語の着物姿は綺麗だし、

桃太郎に出てくる桃役を三バカトリオが演じてるのは笑えるし、ねずみの嫁入りのお話はギャグっぽくて

楽しい話がたくさん入ってます。

大人な恋愛もある

”平くん”達の学園生活がはしゃいでいる中、お父さん達の恋愛の話はロマンチック。

一途に相手を想うところは”平くん”たちと変わらない。

少し違うのは、初恋・片思いの甘酸っぱい恋愛じゃない、大人のしっとりとしたお話。

一致団結！！

作中の中で団結するシーンは沢山あるが、一番印象に残ってるのは

「卒業式」に中々来ない　”平くん”と”万里くん” のために担任の先生もが生徒の名前をゆっくり呼ぶという行為。

みんな二人が大好きで一緒に卒業したい気持ちが詰まってるのが良かったです。