クロワッサンが食べたくなる - クロワッサンで朝食をの感想

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クロワッサンで朝食を

5.005.00
映像
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脚本
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キャスト
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音楽
5.00
演出
5.00
感想数
1
観た人
1

クロワッサンが食べたくなる

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

『クロワッサンで朝食を』

なんとも美味しそうな作品名である。『ティファニーで朝食を』を思い出させる。

コメディ風の作品かと思いきや、全く違う。

母の死をきっかけに、憧れのパリでの家政婦の仕事をはじめるアンヌ。

そこで出会うフリーダ。フリーダはワガママなおばあさんに見えるが、観ているうちにフリーダの印象が少しずつ変化する。

フリーダはステファンに店を持たせた。

しかし、ステファンは 店を持たせてくれたことに感謝はしているが、フリーダのワガママぶりを邪魔に感じてしまっている。

フリーダは、ステファンを驚かすためにステファンのカフェに行く。

そこでの2人の会話に心が痛む。

フリーダ「会えてうれしい?」

ステファン「もちろんうれしいよ」

フリーダ「忙しいの?」

ステファン「僕にも人生がある。悪いが、君を中心には回らない。」「分かるか?」

ステファンの気持ちはもちろん分かる。フリーダの気持ちも分かる。

親と子のなんとも言えない関係を描いているように感じた。

この場面から、フリーダが抱えている孤独を知った。確かにワガママなのだけれど、フリーダを突き放すことはできない。

甘やかすことがいいか、悪いかなんてことは、さっぱりわからない。

しかし、自分の甘えに答えてくれたときに 相手に対しての 壁のようなものが壊れることもある。

小さい子が、親にたくさん甘えるように、大人になってからも誰かに甘えたい。その気持ちには共感した。

ジャンヌ・モローさん演じるフリーダ

フリーダのファッション、メイク。

上品で、見習いたい。

フリーダが、アンヌに自分のコートをあげる場面がある。その場面に、フリーダの心の一面があわられていて、ちょっぴり嬉しくなる。

アンヌも、きっと嬉しかったんじゃないかな。

フリーダがアンヌに自分のことを話すシーン

このシーンが印象に残っている。

母や兄について語るのだが、演技をしているように見えない。日本語ではなく、外国語だから ということもあるとは思うが、過去のことを語るシーンで、観ている側に想像させる事ができるのはすごいことである。

まっすぐに見つめる瞳、落ち着いた息づかい、まぶたを閉じる瞬間、言葉と言葉の間合い。

素晴らしい女優さんだなと感じた。

演出・脚本について

車の音、夜、車の中で窓の外を見つめる女性。物語はこのシーンから、始まった。

この作品のコピーは、

『はじめてのパリ、もうひとつの人生に出逢う』

明るめの作品かと思っていたため、冒頭から、意外であった。

パリの美しい風景を観ることができると予想していた。ただのパリの風景ではなくて、アンヌの気持ちの変化での、2種類のパリを観ることができた。映画が可能にする事は、こういう事かと感じた。自分が見てる風景ではなくて、登場人物が見ている風景を見ることができるということである。

フリーダのことをまだまだ知らない頃、ただのわがままなおばあさんに見えていた頃、エッフェル塔は重たいものだった。しかし、物語の最後の方、やはりフリーダにお別れを言いに行こうと決意した時のエッフェル塔は、爽やかで美しいエッフェル塔であった。

脚本について、ベットの上のフリーダにステファンが寄り添うシーンがいいなと思った。

フリーダがステファンの体をさわり、ステファンが「何をしているんだ」と聞く。

フリーダは「想い出よ」と答える。日本語的に、思い出と想い出があるが、個人的には、「想い出」の方がしっくりくる。「思い出」は、意識的でなくても思い出してしまうこと。「想い出」は、自ら呼び起こすように想い出すこと。

フリーダに感情移入してしまった。

最後の場面で、アンヌはフリーダの家政婦を続けることになった。

フリーダは変わらずわがままであるし、アンヌはどういうことを考えたのかが気になった。

もう戻らないと選択することも、戻ると選択することも、できる。

その2つの選択肢の中で、アンヌは戻る選択をした。

複雑な気持ちを思い出した。情で一緒にいるのは、いいことではないのかもしれない。

相手を気の毒だと思って一緒にいるのは、いいことではないのかもしれない。

アンヌは、フリーダのことを気の毒だとは思っていないだろう。しかし、私がアンヌだったら、フリーダの家政婦に戻る選択はしない。

フリーダの孤独も、アンヌに対する気持ちも伝わってきた。ステファンが、フリーダを少し邪魔だと感じるように、それではいけないと葛藤をしているように、フリーダも葛藤しているんじゃないかな。周囲に甘えたい。死ぬ気なんんてそうそう無いけれど、死にたい。アンヌにもステファンにもわがままを言っているけど、アンヌのこともステファンのことも大好きなこと。

日常に抱える親に対しての複雑な気持ちと重なった。感謝はしているけれど、自分の人生に口出しして欲しくないということ。親は親で、甘えたい気持ちがあるということ。この作品で、そのことを客観的に見ることができた。孤独に対するイメージがまた1つ増えた。

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