カラスの親指って、そういう意味か - カラスの親指の感想

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カラスの親指

4.004.00
映像
3.83
脚本
4.67
キャスト
4.33
音楽
3.83
演出
4.00
感想数
3
観た人
3

カラスの親指って、そういう意味か

4.04.0
映像
4.0
脚本
5.0
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.0

目次

「カラスの親指」を視聴した感想です。 


ハラハラさせられる部分もあり、感動させられる場面もあり、「王道のエンターテイメント作品」だったな、という感想を持ちました。

しかし、騙し騙されるドキドキのエンターテイメントという感じではなかったです。
スピード感のあるサスペンスというよりは、後から種明かしのどんでん返しで、びっくりさせられる、そして感動させられる、という感じでした。

オチを知ってしまうと、「今から考えれば、そういえばあれも伏線だったのか」とハッとさせられるような伏線が、作品のあちこちに散りばめられており、もう一度頭から見てみたくなりました。

「カラスの親指」というタイトルや、「入川鉄巳」という名前が、すでに結末へのネタバレとなっていたのですね。
テツさんが「アナグラム」を好むことや、コンゲームを演じる劇団など、冒頭から結末を示唆する布石が見せられていたのは、にくい演出です。
劇団員の顔、みんな見たことがある!みたいな。

そういう伏線を回収していくのも、見ていて気持ちが良かったです。

恐らく結末を知ってから、もう一度見てみると、「ここはこういう意味だったのか」と違った見方ができるシーンが多いと思います。
そういった意味で、二度楽しめる作品だと思いました。

種明かしの面白さ!あなたは何度も騙される



この作品は、主人公の「タケさん」が、仲間の「テツさん」達と、詐欺をしていくストーリーとなっています。

作品は、二人が競馬場で馬券の換金に絡んだ詐欺をはたらくシーンからスタートします。
詐欺のシーンは種明かしのあるマジックのようで、騙される面白さがありました。

本丸の獲物である、闇金のヒミズからお金を奪うシーンでは、「裏切りがあったのかな?」と二転三転する展開で、ハラハラさせられました。

盗聴機の調査員に扮したタケさん達が、ヒミズの事務所に乗り込むのですが、そこに至るまでに、観客を「石屋貫太郎の裏切り」にミスリードさせる伏線があったと思います。
河合姉妹と貫太郎が買い物に出掛けたシーンで、「トイレを探すのに時間がかかった」と言って、一瞬居なくなった時間がありました。

その後に貫太郎が、本物の拳銃を取り出したので、「あっ、あの時に拳銃を買っていたんだ」と、勝手に納得してしまったのですが…まんまと騙されましたね!

その後貫太郎と揉み合ったまひろが、マンションから転落するという驚愕の展開で、度肝を抜かれましたが…これも芝居だったんですね。全く分からなかったです。
まひろとやひろが入れ換わっていたんですね。
マンションから派手な女が出てくるのですが、まひろだったとは。気づきませんでした。

この一連の騙しの行程が、全く読めませんでしたし、まんまと騙されました。
その後全てが芝居だった事が分かると、ほっとさせられました。

また、ヒミズが予定よりも早く帰ってきてしまったシーンでは、「どうなっちゃうんだろう」とハラハラしました。
これも予想の範囲内だったんですかね。

最後に河合姉妹が、実は母親を自殺に追い込んだ張本人であった、タケさんを許し再出発するラストも良かったと思います。
河合姉妹は「本当は全部知っていた」んですね。それにも皆騙されたと思います。

また、最後の30分で、テツさんの仕組んだ事が全て明るみに出ます。
その後、またタケさんとコンビになり、東北へ出掛けていく二人の後ろ姿で映画は終わります。
そのようにハッピーエンドで終わり、見終わった後に爽快感があって良かったです。

村上ショージさんの好演


主人公の「タケさん」を演じた阿部寛さんは、裏社会に精通しながら、かつての自分と同じような弱い立場の人間を捨て置けない、優しさのあるキャラクターを、男臭く演じていたと思います。

ヒミズと対峙した際の緊張感のある表情や、河合姉妹に時おり見せる、申し訳なさそうな表情が、とても自然で上手いと思いました。

タケさん自体が詐欺師で、いろいろな性格の人物になりきらなければいけないのですが、真面目な秘書や骨董マニアなど、それらしい人物にすっ、となれるのがすごいと思いました。


また、「テツさん」を演じた村上ショージさんは、芸人のイメージが強いですが、人の良さげな「テツさん」を自然に演じていたと思います。

テツさんは実は河合姉妹の蒸発した父で、タケさんとの出会いから、ヒミズを騙すところまで全てテツさんに仕組まれていた、というオチなのですが、それを知ってしまうと、そこまでのストーリーがまた違った見方になりますよね。

河合姉妹と一つ屋根の下で暮らすシーンでは、まひろと買い物に出掛けたり、食事をしたり、本当に楽しそうで、「これが最後の思いで作りだったのかな」と思うと、感慨深いものがあります。

まひろと出会った時から、テツさんは姉妹に優しく、肯定的でした。
そうした「父の顔」を持つテツさんに、村上さんのイメージはぴったりでした。
村上さんのお人柄が、役に出ているようで、見ていて優しい気持ちになりました。


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