真実から生まれたドラマ - キイナ-不可能犯罪捜査官-の感想

理解が深まるドラマレビューサイト

ドラマレビュー数 1,147件

キイナ-不可能犯罪捜査官-

3.503.50
映像
3.50
脚本
3.00
キャスト
3.60
音楽
3.30
演出
3.30
感想数
1
観た人
2

真実から生まれたドラマ

3.53.5
映像
3.5
脚本
3.0
キャスト
3.6
音楽
3.3
演出
3.3

目次

キャッチコピーは「このドラマは”真実”から生まれた」!

このドラマは、同局の番組である「特命リサーチ200X」や「ザ!世界仰天ニュース」などで取り扱われている、心霊現象やオカルトの類に分類されるであろう事件や事故がベースになっている。

『真実は小説より奇なり』・・・時に、人智の範囲を超える出来事が起こる。人はそれを時に「奇跡」と呼ぶこともあるのかもしれない。

心霊やオカルトといった、理屈では説明のつけようのない現象に関しては、人は年を重ねるごとに信じられなくなり、経験すること自体が難しくなってくることが多い。

しかし、子どものような鋭い感性を持ち合わせていると、時にその「ありえない経験」をする機会に恵まれることもあり、決して奇跡とよばれる出来事は身近にはない訳ではないことを思い知らされる。

心霊現象・オカルトVS人間の持つ超能力

ドラマの中に出てくる理屈では説明できない心霊やオカルトの類の現象を、どう理解・解釈していくのがよいのか?

本作品の主人公・春瀬キイナ(菅野美穂)は警視庁捜査一課・強行犯係・特別班に所属している人間であるが、『瞬間記憶能力』という、見たものを一瞬にして完璧に記憶してしまう、発達障害の一種であるサヴァン症候群の能力の一つを持ち合わせている。

彼女は毎回、膨大な量の文献や資料を読み漁り、一つ一つの現象を論理的に解釈・理解可能かを懸命に探っていく。

心霊・オカルトといった怪奇な現象、非常識な現象に対して対抗できるのは、やはり人間の中でも常識離れした能力を持ち、正常と異常の境に位置する特殊な存在であるのかもしれない。

彼女は発達障害に特有ともいえる、時に「変人」とうたわれるなどの個性的な性格を思わせる部分も、ドラマの中では見どころの一つともいえる。

脳みそを非常に使うが故にエネルギー消費の大きく必要になるのか、彼女はいつもチョコレートが詰まった箱を持ち歩くほどの甘党で、格好も刑事らしからぬ色使いの恰好であったり、血液占いという信ぴょう性の低いものをついつい信じてしまう女性らしい一面も併せ持つ。ずば抜けた推理力を持ち合わせており、こめかみに人差し指を当てて記憶を呼び覚まそうとする癖や、「とか?」「かも?」という口癖がある。瞬間記憶能力を速読で行った際に、キイナが脳をフル回転した結果故にか眠ってしまうという毎回のエピソードもこのドラマの見どころでもあろう。

怪奇現象は脳が起こす一種の錯覚ともいわれる説もあり、発達障害の脳の活性の仕方は定型発達の人のそれと違うということも踏まえて考えると、脳の働きと非常に密接に関係しているという意味では両者は非常に似通った現象が起きているといえるだろう。

奇跡的ともいえる現象はなぜ起きるのか?

人類が誕生し、人類の歴史が始まってから現在まで科学技術は非常に進歩をとげているが、いまだ奇跡と呼べる現象を全て解明するに至ってはいない。現にヴァチカンなどの奇跡調査官により、調査が毎年のように行われていることを鑑みると、奇跡の解明は一筋縄ではいかぬものであることは明白といえよう。

そもそも奇跡とはなぜ起こるのか?

『奇跡』とは、多様な偶然的な出来事が重なり、そこに人の意思が介在した時、起こり得るものといえるかもしれない。

奇跡的な事件や事故はあくまできっかけの一つであり、そこから事件・事故に関わるさまざまな人たちの思いが紐解かれていき、彼ら・彼女らの求める『真実』が見えてくるというのが本作品の醍醐味といえよう。

奇跡が起こるのには、そこに何らかの意味がある・・・そこに奇跡が起こった必然があり、必ず意味のあることなのではないか、とそう考えてしまう程の説得力がこの作品にはあるように感じた。

まるでその衝撃は、映画『シックス・センス』でブルース・ウィルス演じる小児精神科医のマルコムが、実は生者ではなく死者だったという、その事実を知った時のものに似ている。

シックス・センスでは、死者は①自分が見たいものしか見えない、②お互いには見えない、③自分が死んでいることに気づかないという条件があったが、死者が見えるといった奇跡が目の前で起こるというのは、そこに何らかの死者の意図が関係しており、それを解明しようとすることに非常に意義があるのかもしれないだろう。

「この世に偶然などない。あるのは必然だけ」という、CLAMP作品の一つである『ホリック』作中で主人公・壱原侑子が述べる名台詞も、「奇跡が起こるには意味がある」という考え方を裏づけている言葉のひとつともいえよう。

本作品でも、生者に見えない死者が起こしたのではないかと思われる事件や事故を、キイナが論理的にかつ独自に解釈を行い、死者の関係者との間での繋がりを再度行うといった、重要な役割を担っている。キイナは刑事として情報を集めて捜査を行いながら、様々な人と人の繋がりと、そこから見えてくる死者や生者の求める真実を見出すという、一種の水先案内人や代弁者となっているのではないかと思われる。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

キイナ-不可能犯罪捜査官-を観た人はこんなドラマも観ています

キイナ-不可能犯罪捜査官-が好きな人におすすめのドラマ

ページの先頭へ