ゲーム好きなら楽しめる
まったり観られます。
この作品の印象は、「地味だけど面白い」です。
ドラマの内容は、主人公の礼治と親友の木戸の思い出を、当時流行したゲームと共に回想していく流れです。
二人の出会い、そして別れのストーリーはありきたりなもので、特にひねった所もありません。
やっぱりゲームのアーカイブが見所なんだなと思いました。
思い出のゲームの映像に、おまけでドラマが付いているような印象です。
なので、全くゲームに興味がない人には、このドラマは面白くないんじゃないかな、と思いました。
個人的には、それでも俳優さんの安定感のある演技で、安心して観ることができたし、深夜にまったり観られるので好きでしたが、どうしても続きが気になるとか、独創性のあるストーリーではないので、途中退場する視聴者もいるのではないかと思いました。
私個人的としては、ベタベタな展開でも楽しめるので、最後まで楽しく視聴しました。
ゲームはとても上手いけれど友人のいない木戸が、明るい礼治や美人の高野と友人になっていくストーリーは、マンガやドラマで嫌というほど使われているのでしょうが、それでも面白いと思えました。
また、後半に格闘ゲームブームが起きてからのゲームセンターのバブルや、その後の衰退していく様は、自分もこの当時小学生だった懐かしさが甦るようで、胸がきゅんとしてしまいました。
最後の現代でのストーリーでも、自分の会社のデータのロックを、木戸が「ゼビウス」にしているのも切なくなります。木戸が最初に礼治と友達になるきっかけとなったゲームですからね。
派手な演出や突飛なストーリーはありませんが、懐かしい気持ちにさせてくれますし、最後はハッピーエンドに温かい気持ちなる作品でした。
なぜ野々村はキッドをハメたのか
中では、木戸のビジネスパートナーであった野々村が、礼治のゲームセンター買収に積極的に関わっていたことが、後に判明します。
しかし、なぜそんなことをしたのか、理由は特に語られていません。
思えば会社が成長していた20代の頃から、野々村は木戸に対して「そんな所に行くな」と反対しています。
そして挙げ句の果てに、そのゲームセンターそのものを潰してしまいます。
野々村に関しては、本編では詳細に語られていませんが、その行動の裏には、木戸への嫉妬心と執着心があるように思えます。
野々村には天才ゲーマーで、次世代のカリスマプログラマーになった木戸への嫉妬心がずっとあったのかもしれません。
木戸にずっと勝ちたいと思っていたのか…しかし、結局最後まで野々村は木戸に勝つことは出来ませんでした。
汚ない手を使って木戸のノートを手に入れてさえ勝つことは出来なかったのです。
また野々村と木戸は、大学時代は友人関係でしたが、一番の親友にもなれませんでした。
ゲームに関しての腕前や知識は、二人とも同じくらいで話も合ったかもしれません。
しかし、結局木戸がずっと信頼し、一番の親友としていたのは、それほどゲーム好きでもない礼治だったのです。
何度邪魔をしても、結局友情には勝つことは出来なかった。
そこがいいラストだったなと思います。
ファンになりました
キャストはあまりパッとしないというか、知っていたのは田中圭さんと佐藤二郎さんだけで、浜田謙太さんと波瑠さんはこのドラマで知りました。
でもこのドラマでメインの役者さんはみんな好きになりました。
主演の田中圭さんは、他の作品では脇役が多く、「よくテレビでは観るけど名前は知らない」という感じでした。
しかし、高校生から40代まで演じるにあたり、高校生の時にはそれにふさわしいバカっぽさを、40代ではすっかりくたびれた中年感を見事に演じ分けており、驚かされました。
礼治は木戸や高野がそれぞれに自分の道を決めていくのに対して、ずっと「自分は何がしたいんだろう」と焦っているキャラクターです。
結局実家のゲームセンターを継ぐのですが、家庭用ゲーム機に押されて経営は悪化、妻との関係も冷えきっているという、辛い境遇にいます。
その青春期からの中年期の礼治は、役者は一人なのに確実に歳を取っているように見え、演技力の高さを感じました。
一つだけ文句があるとしたら、中年の礼治の私服。あんならくだシャツ、おじいちゃんしか着ないんじゃないでしょうか。
お金がないのを表現しているんでしょうが…ちょっと無理があります。しかも奥さんまで全身肌色。それはちょっとやりすぎです…。
木戸役の浜田さんも、話し方といい、佇まいといい、昔のオタク感があって良かったです。
不器用だけど一生懸命な木戸がだんだん可愛くみえてきました。
波瑠さんも透明感があって良かったです。
波瑠さんは、このドラマ放映の数年後に、民放各局で主演、準主役を勤めるなどの活躍を見せており、テレビで見る度に「こんな深夜枠のドラマに出ていたんだなあ」と思ってしまいます。
これを機に、チェックする役者さんが増えたドラマです。
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