日本版と少し違うライアーゲーム
ライアーゲームはテレビショーに
韓国版のライアーゲームと日本の原作マンガやドラマのライアーゲームとの一番の違いは、ライアーゲームをテレビショーとして設定した事だと思います。
私はこの改編は良かったと思います。
原作でも、ドラマでも、物語は終盤になるにつれ、プレイヤー同士の闘いから、プレイヤーとライアーゲームの事務局との闘いにシフトしていきます。
しかし、最終回を迎えた原作でも、結局ライアーゲーム事務局とは何だったのか?はついに明かされず、モヤモヤの残る終わり方となってしまいました。
結局設定を回収できないのであれば、最初からテレビ番組という設定の方が、見る側も違和感なく視聴できると思いました。
また、今までのライアーゲームでは、敗者は巨額の負債を負うことになりますが、その後どんな人生を送るのかが全然描写されてこなかったので、いまいち危機感がありませんでした。
例えば同じようにマネーゲームをする「賭博黙示録カイジ」であれば、敗者は焼けた鉄板の上で土下座させられたり、地下帝国で強制労働をさせられたりするので、観ている側も「絶対に負けられない戦い」としてゲームを認識します。
ライアーゲームはそのあたりが描かれていないので、登場人物が「負けたー!終わりだー!」みたいになっても、「悔しそうだなあ」くらいにしか思えませんでした。
しかし、ライアーゲーム事務局というよく分からない組織内の話から、テレビ番組が資金を貸し出してのマネーゲームとしたことで、いまいち危機感伝わってこなくても、「テレビ番組の中の事だからね」と思えるような気がしました。
もっとも、韓国版では敗者が借金の取り立て屋に内臓を売られそうになったり、行方不明になったりするなど、結構怖いことになっているので、危機感はしっかり演出されているのかなと思いました。
ゲームの中身は大体一緒です
日本版と韓国版のライアーゲームでは、他にも設定がいくつも変えられています。しかし、肝心のゲームの流れはほとんど変わらないのが、ちょっと残念に感じました。
日本版ではわりとゲームのシーンは、テンプレート的に進んでいきます。
神崎ナオが騙される。→騙した奴が、すごい調子に乗って種明かしする。→騙される方がバカなんだよ!みたいなセリフで罵倒する→秋山が実は裏の裏をかいて逆転。敵は絶望。
みたいな流れを、ひたすらハイテンションで繰り返している印象です。
それがネタ的でもあり、視聴者は予定調和として楽しんでいたと思います。
韓国版では、そうした日本版の演出をバッサリ切っていました。
日本版では、調子に乗ったフクナガの高笑いで3分くらい尺を取っていそうですが、韓国版ではそうした過剰な演出、顔芸はありませんでした。
なので、マンガ的だった日本版のライアーゲームに比べ、リアルにマネーゲームをしている感じを視聴者に伝えたいのかな、と思いました。
私も第1話を見たときは、アメリカのサバイバルゲームのような展開になるのかなとワクワクしました。
しかし、ゲームが始まってからは、結局そこまでの緊迫感を感じることは出来ませんでした。
「頭脳ゲームをやっている感」は伝わってくるのですが、「ここで騙して騙されたのか!」と見ていてびっくり出来なかったです。
(最も、日本版のライアーゲームを先に観てしまっていたからかもしれませんが)
この一つの原因として、登場人物が沢山いるのに、全然個性が無いことが挙げられると思います。
登場人物が10人以上いるのに、ナオや秋山、フクナガの三人以外はテンプレート的なキャラクターで、騙そうとする時も騙される時も、大体同じ反応を示します。また、団体行動が求められる際には、ナオや秋山の言うことに右から左で完全なる駒と化してしまいます。
なので、群像劇を期待しても、全然そうはなっていきません。
これは日本版でも、韓国版でも一緒です。
このモブキャラクターの中で、台風の目のような人物がいれば、物語としてもっと面白いのにと残念に感じました。
韓国版でもその部分を改編することができないのであれば、むしろ日本のマンガ的な演出で良かったのでは?と思いました。
画も地味、話も地味だと、だらだらと話が進行していってしまっている気がしました。
韓国版のフクナガは女性
ライアーゲームの名キャラクター「フクナガ」は、韓国版では「ジェイミー」という女性として登場します。
そもそもフクナガは、原作マンガでは女装(ゲイ)という設定、日本版ドラマでは女装が得意な小悪党として登場します。
日本版ドラマでは、演じる鈴木浩介さんの全力の演技が話題を呼び、人気を博したフクナガというキャラクターですが、ジェイミーは顔芸がなかったですね。
日本のドラマでのフクナガは、敵に回すと怖いけど、味方につけるといい仕事をしてくれる「強キャラ感」があり、そこに鈴木さんの顔芸も加わって、ドラマをとても面白くしてくれていました。
ジェイミーがそこまでの狂言回しではなく、ただのキツイ人みたいになっているのが残念でした。
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