独断と偏見!全11巻【さんかれあ】考察レビュー
さんかれあのテーマとあらすじ。話の展開。
作者は、はっとりみつる。掲載誌は別冊少年マガジン。出版社は講談社。
少年コミックのゾンビ恋愛マンガで、絵はたまにリアルな描写の可愛い系。
アニメ化もされたマンガで筆者は無料のマンガアプリの試し読みでハマリ看破した。
この漫画は通常のゾンビ漫画とは違い、ゾンビからの外傷により伝染していくのではなく、
死後の蘇生措置を行ったものがゾンビをして生き返る。
テーマはパニック系ではないことから生の強調、生への願望ではなく
生前の人への固着心から死してなお生へと転じようとする人間の欲、その代償を強く感じた。
■あらすじ
主人公は降谷千紘(ふるや・ちひろ)。ゾンビっ娘が大好きな男子高校生。愛犬(猫?)であるばーぶが不慮の事故で亡くなり、どうにか生き返そうと古い書物に書かれている秘薬【蘇生丸】の調合を繰り返し開発していた。
蘇生丸の調合先でもある秘密基地に愚痴を吐きに来ていたヒロインであるお嬢様女子高生・散華礼弥(さんか・れあ)があれよこれよとしているうちに飲んでゾンビ化してしまった。
そのさんかれあを人間に戻すために試行錯誤を繰り返していく。
主人公の考え方と気になった点
主人公であるちひろ。
生粋のゾンビ好きである。これは作品の筆者の事を表していると感じられた。
ゾンビ好きすぎてゾンビもの書きたいけどありふれたものを書きたくない。
最終巻のコメントでも書いている通りここまで長く連載するとは思っていなかったようなので
自分の趣味および書きたいものを書いてるうちにストーリーに味がでて行き、
結果読者が増えたように感じる。
気になった点として
ゾンビ系は基本食事もとらないし排泄もしない。
生命活動が停止しているため腐敗し、回復もせず朽ちて行くのはわかりますが
なぜ生前に愛着をもっていたものに顕著に捕食衝動が起こるのか。
理由が知りたく読み進めているうちに完結してしまった・・・。
でもまぁ・・朽ちていくゾンビとのラブコメ要素と謎のバトル要素は私の中2心をくすぐったので
楽しめましたけどね。
独断と偏見の深読みレビュー
あらすじから割とスピーディーに展開していくさんかれあ。
最初のゾンビを臭わせる演出からラブコメそしてバトル要素と展開していきましたが
そもそも蘇生丸の書物が秘密基地に放置されていて、その秘密基地でちひろが書物をみつけたのはなぜなのか。
蘇生丸はちひろのおじいちゃんが開発したのですが(さっくりネタバレしますが)
なんの前触れもなく普通にちひろが書物を思い出して調合してバーブを蘇生するあたりがちょっと
突拍子もなく感じます。
著者は書き始めよりも先の展開を重視して書き始めたのではないかと個人的に思います。
ゾンビは段階的にステージがあり、新鮮期、混濁期、終末期と段階を踏んでより
理性を失われていくのですが、ヒロインであるさんかれあは通常のゾンビ化とは異なり
生きているうちに蘇生丸を飲んでから死んで、ゾンビ化した特殊なケースです。
理由としては漫画では脳の損傷が少なく完全に死を迎える前に新鮮期に移行したからと言ったニュアンスでしたが後付け感を感じます。
他の蘇生丸を試したゾンビ達と比較して、色濃い異色ヒロイン感の演出には魅力を感じましたが
もっと早い段階で蘇生丸の特性と効力などの説明がほしかったですね。
かなり後半での説明だったため、終わりに近づいているなと直感的に感じてしまいました。
そして、テーマから見るエンディングの迎え方。
生前の人への強い固着心からの強いエゴによって蘇生された愛しき人の末路。
どれだけ愛した人でも生と死のルールを捻じ曲げることができない絶望感。そのあとの代償。
最終巻ではれあはちひろの心臓を食べることによって自我を取り戻しました。
大切な人を食べてしまったという絶望感と人道から外れたことによる悲観から
人里離れたところで静かに朽ちようとおもってたが一向に朽ちる事なく穏やかに暮らせています。
ハッピーエンドを迎える本作ですが
過去にどれだけ試しても完璧な蘇生をかなえることができなかったのに
愛する人を捕食したことで理性を取り戻し、穏やかになったのはなんでなのか?
愛する者への捕食衝動が強いのはなぜなのか?
自分のなりの考察だとこれが著者からのメッセージなように感じます。
現代ではやりたいことをやらずに働いて面白みもなく生きている人が多いと思います。
本当はこれがやりたい。あれがしたい。こうなりたい。
などの欲求があるにも関わらず、それを抑え生きていくうちに腐って後悔して生きていく。
この漫画は本当に愛するものほど欲求が深くなる。
そしてその心臓を捕食することによって普通では起こり得ない、自然のルールを捻じ曲げて蘇生できる。
つまりヒロインを自分に置き換えると【やりたいことをやれよ】
と実は前向きなメッセージを勝手に汲み取りました。
著者もゾンビものが大好きということから自分の好きな題材で
世の中に伝えたい、こうしたほうが人生楽しくなるよといった前向きなメッセージを
異色設定で読者を集めより多くの人へ感じてほしかったのではないかと思いました。
以上
独断と偏見で自由な深読み考察レビューでした。
閲覧有難うございました。
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