好きな人は大好きな作品 - 王ドロボウJINGの感想

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王ドロボウJING

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画力
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キャラクター
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感想数
1
読んだ人
1

好きな人は大好きな作品

3.03.0
画力
5.0
ストーリー
3.0
キャラクター
3.0
設定
3.0
演出
3.5

目次

子供には難しすぎるのではないか?

連載初期の1~5巻(新装版の巻数でお話しします)くらいまでは、まだ子供目線を意識しているというか、まだ子供の読者が、中身を読んでも理解できると思うんです。

ただ6~7巻はちょっとどうなのかな。難しすぎるのではないかな、と思います。

6巻は新興宗教がテーマですし、7巻はヒロインのお父さんが芸術と共に死んでしまうので…。

元々アメコミっぽい絵柄とか、セリフの言葉遊びとか、おしゃれで大人っぽいマンガだと思うのですが、まだ連載初期はコミカルな場面を入れたりして、子供が読んでも分かるようにしていると思うんですよね。

しかし、連載後期は読者不在というか、どこに向けて描いているのか分からない印象です。

マンガ自体が読者に向けてメッセージを放っているとか、面白くしようという気持ちがあればいいんですが、やっぱり6~7巻に関しては、ずっと暗い感じで、子供の読者に対して描こうとしていないのが伝わって来るんですよね。

ナイフで刺したりするシーンもあって、リアル過ぎます。

ジンも5巻までは少年義賊みたいな明るさがあるのですが、それ以降はコミカルな演出が無くなってしまい、作品の暗い印象に拍車をかけるようです。

このマンガはコミックボンボンで連載されていたのですが、同じく掲載されていたのは、「サイボーグクロちゃん」とか「メダロット」とかなので、本当に小学生向けのマンガ雑誌なんですよね。

なので、こういう内容で子供が読んで面白いと思うのかな?と疑問に思ってしまいました。

読者厳選される感じ

私個人はすごくこのシリーズが好きで、全巻とも味わいのあるいい作品と思っています。絵もストーリーも、セリフも演出も、とてもよく考えられていて、上手だなあと思っています。

ただ、ストーリーや演出など、読者を厳選してしまうというか、やはり「ワンピース」のように、皆が分かりやすく面白いと思える内容ではないなと思います。

まず演出やストーリーが結構難しいというか、取っつきにくい感じなんですよね。例えば4巻の第七監獄編だと、刑務所の中で、なんの予告もなくいきなり夢と現実がごちゃごちゃになってしまいます。

背景がいきなりジョルジュ・キリコになったりして、この時点でもう訳が分からないですし、読者は置いてけぼりです。

その後も夢の中の遊園地で遊んだりと、規則性のなくストーリーが進んでいき、「何を見せられているんだろう?」と思ってしまいます。

テーマも種族の消滅と重めです。

話自体はいい話ですし、最後も爽快感のあるラストなのですが、果たして最後までついてこられた読者はどれくらいいるのでしょうか。

また、「アマルコルド編」では、森の精霊が女の子をさらうという話なのですが、その正体や目的は一切不明。アジト?も正体不明。いきなり卵から孵って武器化するキールなど、一切読者に説明なく進んでいくので、「ああ、そういうものなんですね」と読み手が受け入れるしかない状態となっています。

それを面白いと思うか、全然意味が分からないと感じてドロップアウトしてしまうかは人それぞれだと思います。

私は読んでいて、もう少し説明がほしいと感じたので、星3つにしました。

おしゃれなマンガ

本当に絵が上手いと思います。カラー原稿はもちろん、中身もとても美しいです。アメコミのような演出や描き文字もカッコいいですし、コマ割りもメリハリがあって読みやすく、マンガとしてもうまくまとまっている印象です。

背景も詳しく書き込まれていますが、遊び心があっていいです。

やっぱりファンタジーマンガは背景に世界観をどれだけ書き込めるか、詰め込めるかが面白さを裏付けすると思うので、楽しくごちゃごちゃ描いている感じはすごく好きです。

また、セリフの言葉遊びもいいですね。作品に絡めて、最後はきれいにオチまでもっていけるように構成されていて、そのおかげでどの巻も読後感がいいです。そういう演出が大人っぽくてお洒落ですね。

映画や小説、絵本に由来するセリフや演出もあるので(時計仕掛けのオレンジにちなんで、時計仕掛けのブドウを収穫するなど)、わかる人にはたまらないのかなと思います。

主人公のジンもクールでカッコいいですね。

何でもできる万能系の主人公ですが、昨今流行っている「やれやれ系主人公」のような、いやらしい感じが全然ありません。

こういう「ダメじゃない」主人公をうまく描くのは結構難しいと思うんですよね。キールを踏み台にしてジンを格上げしているとか、そういうことでもないので、不思議な魅力がありますね。

ジンに関しては説明不足な感じですらありますよね。どこから来たのか、何歳なのか、キールロワイヤルって何なの?とか…。全然説明されないことが、むしろいいのかな。

ジンは続編の「KING OF BANDIT JING」とほとんど性格が変わらないので、やっぱり大人向けのキャラクター、大人向けのマンガだったんだなと思います。

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