画期的な少女漫画。
何と男子校が舞台!
これまで47年生きてきて、少女漫画をずっと読み続けてきましたが、こんな題材は初めてです。(ちなみに私は少年漫画は好んで読んだ事はありません。)少女漫画なのに、名門進学男子校が舞台。しかも、とんでもない、一日にフェリーが本土と二度しか行き来しないような僻地にあるのです。男子校なので、主人公も男子で、周りもみんな男子ばっかりです。この状態でどうやって恋愛ものを描くのだろう???と読む前は興味深々でした。でも、面白いのが、読み始めると、何の違和感もなく、少女漫画なのです。笑。どうしてなのだろう?女子は元々出身の女子や元カノ、家族、あとは学校のオープンデーにやってくる生徒のお姉さんくらい。たった一人学校に女性の保険の先生がいますが、彼女は生徒の一人と物語のわりと初め頃にくっつきます。圧倒的に女子の登場が少ない上に、主人公の元カノはすでに亡くなっていて、回想場面と幽霊でしか出てこない。そうそう、1人、乙女系の男子がいるのですが、彼は彼というべきか、彼女というべきか・・・。笑。それなのに、こんなに面白い少女漫画は読んで事がありません。何故か?
結局は男子陣がめちゃくちゃイケメン揃い。
もしかして、少女漫画でも、イケメンがやまほど登場すれば、女子がいなくっても、恋愛無くっても、面白いものなのかもしれない・・・と思ったりしましたが、やはりそれだけではやはり面白く無いでしょう。面白さはやはりこの作者の和泉かねよし先生の力量でしょうね。とにかく、男子ばっかりなんですが、その男子のキャラの描き分けが実にしっかりしていて、みんなそれぞれが凄く魅力的に描かれているのが圧巻です。乙女系男子が一人入っている事でさらに面白い。コミカルな部分が本当に多くて、沢山笑わせてもらいます。勿論、シリアスな場面もしっかり見せてますし、純愛の部分も描かれていますし、泣かせる部分も多々です。でも、全体的に凄くエンターテインメント性が強くて、とにかく面白いのです。こんなに男子が一杯出てくる少女漫画は珍しいですが、こんなに男子を赤裸々に男子目線で描かれた少女漫画に、こんなに共感しながら読むというのもあまり無い経験です。男子目線で描かれているのに、何か、ああ、分かるな・・・というのは、男子目線でありながら、作者が女性だからでしょうか?男性が、男子が読んだらどう思うのだろう?とそこにも興味があります。
カッコいい男子と普通の女子がくっつく。
この設定の少女漫画で、なんと王道の展開です。この漫画一カッコいい男子神木くんは、身長180cm超え、頭は名門進学校だけにとても良く、ルックスは生ける王子様で、性格はさっぱり、剣道は有段者です。こんな男がいるか!?と思うのですが、この超イケメンのカッコいい神木君が中身が何となく変ってる部分があるせいか、普通の王道的要素が無いのが面白いです。この変わってる部分というのが、男子から見てカッコいい男子の要素でしょう。自分が完璧な容姿や頭やあれこれを持っていても、それが実は大した事じゃないと分かっているごく普通の神経を持ち合わせているところ。女子の上っ面に騙されない感じ。これが実に嫌味無く描かれていて凄く良いです。その神木くんとくっつくのが、普通の女子の宮路さんですが、彼女もこれまた普通ながら、一風変わった面白い女子。一風変わってるものの、彼女のコンプレックスはほぼ、この地球の女子の大多数が持っているであろう部分で、実に微妙なところの女子っぽさが描かれていて、唯一、この漫画で普通の部分を持ち合わせている人で、少女漫画というカテゴリーに花を添えています。とはいえ、ちなみにこの二人、主役じゃないんですけど。笑。
一番の読みどころは・・・。
ズバリ、この漫画の一番の読みどころは、後半クライマックスです。主人公のマキと超・美少女の仮カノジョの鷹野エリカのカップル。神木と鷹野エリカの地元友達の宮路さんのカップル。この二カップルの間で、突如いきなり勃発する浮気疑惑で漫画の最後はドーンとショックがやってきます。この展開が凄かった。コミカルタッチでずっときてたのが、ここで一気にドロドロかつローラーコースター状態になるのです。正直、読んでて、「えー!!!」と声を上げた位です。浮気は誤解・・・であったような、無いような、誤解であったという設定のようですが、超・氷の美少女の鷹野エリカが神木クンに寄り添う姿は、うーん・・・これは真っ黒けでは・・・と、思えてしまう感じで、でも、鷹野エリカが主人公のカワイイ系だけど格闘家のマキくんの事が好きなのは間違いないし、家庭の事情があれこれ絡んでいるとはいえ、この描き方が何とも微妙で、考え、考えしながら、読ませられた感じです。好きな人の前ではあくまで素直になれない感じが、また、少女漫画の一端でもありますしね。結局、マキくんは、好きだった彼女にフラれ、その次に好きになった彼女には留学されてしまう主人公で、両方とも物凄い美少女である事以外はあまり報われないまま終わるのも、変わった漫画だなと思う反面、それでも最後までとことん読ませるなと感心しました。
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