愛ある義賊
娯楽活劇としては最高
私は昔からこういうストーリーが大好きで、『TAKEFIVE』が始まると知った時も放送を楽しみにしていました。小さい時に見た『ねずみ小僧』の影響か、悪い事とは分かっていても困っている人の為にあえて罪を侵すという設定になぜか弱いんです。それに、最初からこのドラマは謎が散りばめられていて、そういう意味でも面白いドラマでした。かつては父親と一緒にTAkEFIVEの一員だった帆村正義。彼のキャラクターがまた良かったです。あれだけクールなのに、エチルアルコールだけでも酔っ払う下戸なのにジャズバーを経営しているというのも面白かったですし、彼と女刑事である笹原瑠衣との関係も注目でした。途中で仲間に加わった晴登が瑠衣にいろいろモーションかけた時には、「正義、頑張れっ。若い男に負けるなっ」と応援していました。更には刑事なのにTAKEFIVEに加入する岩月の存在も忘れられません。「なんでもキチンとこなしたいタチなんで」という彼のポリシーは分かりますが、歩幅75センチで歩くなんて、彼はそんな生活で疲れないのでしょうか?あそこまで几帳面で潔癖性だとかなり生きづらいだろうな。と、見る度に思います。しかし、物語は後半になってくるとだんだんとシリアスになってきます。偽物のTAKEFIVEが現れたりとどんどん盛り上がってきます。本当に瑠衣の父親の死と正義の父親である野上まことは関係あるのか?そもそもどうしてホームレスの女はそこまで「ルクレツィアの肖像」にこだわるのか。と、思って見ていたら最後はかなり期待とは違いました。荒れだけ必死に探した「ルクレツイアの肖像」がまさかの贋作だったとは。それもホームレスの女(小堀杏子)が描いた物。って何だそのオチ。という感じでした。もっとすごい理由があったんだと見ていただけに落胆してしまいました。引っ張るだけ引っ張った後のこの展開はキツいです。おまけに野上も、瑠衣の父親も、更には偽TAKEFIVEのリーダーである後藤も全て刑事の増田が犯人というのも無理があります。しかし、単なる娯楽活劇として見るなら、このドラマはかなり良く出来ていると思います。
知らなかった
配役もこのドラマはかなり豪華でした。帆村正義役の唐沢寿明さんは正直こういう役が似合わないと思ったんですが、ドラマが始まるとかなりのハマり役でした。あんなに身軽な方とは知りませんでした。ただ、瑠衣役の松雪泰子さんは背が高い方なので、抱き上げるシーンは苦労しただろうなと思います。岩月役の稲垣吾郎さんは、まさにああいうイメージだと思います。ご本人もおそらくああいう生活をしているような気がするぐらい完璧でした。ただ、南役に六角さんを起用したのはいかがなものでしょう。私は六角さんの自然体な演技が好きなんですが、指紋採取をしたり盗聴器をつけたりという姿を見ていると、どうしても『相棒』の米沢さんを思い出してしまうんです。『相棒』の大ファンでもある私としてはすごく複雑な気持ちになってしまうんです。だって刑事と義賊って正反対ですよね?しかし、このドラマの最大の謎な人はバー「SWINGTIME」のバーテンダーです。一言も喋らず、ただもくもくと仕事をこなす彼が気になって仕方がありませんでした。駿河太郎という名前を聞いた事もありませんでしたし、一体誰なんだろう。と、思っていると。何と、笑福亭鶴瓶さんの息子さんというじゃありませんかっ。驚きました。お父様とは全く似ていない顔立ちなんですね。鶴瓶さんにこんな格好良い息子さんが居るとは知りませんでした。更にJUJUさんが実は正義の妹という設定にも驚きました。だって全然そんな素振りなかったじゃないですかっ。てっきりバーの雇われシンガーだと思っていたので、これもかなり驚きました。
テーマソング
このドラマのタイトルと同じ名前である「TAKEFIVE」というジャズの名曲は私も大好きです。力強いドラムの音からスタートするこの曲は、オシャレなジャズバーにはピッタリです。この曲が最初に録音されたのは1959年の事でした。ポール・デスモンド作曲でデイブ・ブルーベック・カルテットが演奏したこの曲は、ジャズの中でもかなりの定番曲です。当時、5拍子のジャズ曲は存在したらしいのですが、アメリカで初めて主流となった曲だそうです。どこかけだるい雰囲気が漂い、酒やタバコといった大人の世界を表現するにはこの曲は外せません。今まで数多くの映画やドラマでも使用された為か、この曲を聴くと、なぜだか「懐かしい」という気持ちにさせてくれるのです。今回のドラマでもこの曲は重要なシーンで使用され、全体的にオシャレな印象を与えてくれます。歌っているJUJUさんの声もセクシーでこの曲にかなり合っていました。60年近くも前に作られたというのに、全く古さを感じないというのはすごい事なんだと改めて思いました。
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