とっつきやすいスピンオフギャグ - 寸劇の巨人の感想

進撃の巨人のスピンオフギャグ漫画

全編4コマ方式で描かれた「進撃の巨人」のギャグ漫画です。進撃の巨人のギャグに特化したスピンオフ漫画は他に「巨人中学校」がありますが、あちらはいわゆる学園パロディで、こちらは原作の世界観と同じものです。

時期としては訓練兵団時代のものが多く、時々調査兵団入りしてからのもある、という感じだと思います。なにぶん調査兵団に入ってからは息つく暇もないほど皆が忙しいのはご承知の通りなので、ほのぼの日常をやるには訓練兵団時代しかないもの仕方ないことです。

調査兵団の大人たちの日常話もたまにありましたがその辺りは原作でまったくと言っていいほど描かれていないので、原作と同一の世界観であるスピンオフではあまり自由にできなかったのではと。

すっきりした絵柄と分かりやすい内容

作者の個性を出しながらも少ない線で原作キャラクターの特徴を上手にとらえた見やすい絵に、比較的子どもでも楽しめるのではないかと思う単純明快なギャグでサクサク読めるのではないでしょうか。

作者の方がもともと進撃のちょっときわどい感じの二次創作をされていたので、こちらでもややその趣味が見え隠れせんでもなかったですが、気にするほどのことでもなかったと思います。

ライナーが執拗にバナナを差し入れされたり原作世界観から大胆に離れた小ネタをちょっとずつ挟んでくるのもクスッとできるポイントだったのではないでしょうか。

つらい原作の息抜きに

単行本化される前は漫画アプリで1話ずつの配信だったので、原作漫画のつらい展開の息抜きだったり「こんな日々もあったのかな…」と遠い目をしてみたり程よい塩梅で供給される安息の場所だったのではないでしょうか。

単行本は全2巻と巻数としては少ないですが、4コマ漫画であることを考えれば十分なボリュームでしょう。

時折混ざる現代パロディも「あのキャラならそんな感じだろうな…」といった風にさほど原作イメージから逸脱しないキャラクター描写は上手だと思います。

最後まで「らしさ」を通し、きれいに終わったのも単行本を迷わず買えたポイントです。引き伸ばし感やネタ切れ感のない、「待ってくださいよまだ原作がつらいので息抜きをくださいよ」と思わせるくらいの長さでスパッと終了したというのもスピンオフ漫画としてとても良い終わり方だったと思います。

でも、原作の話が大きく動いて新キャラも増えた今、また新作が読みたいのも正直なところです。