きゅんとして、凛として、あの頃を思う - ぼくらの勇気 未満都市 MIMAN CITYの感想

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ぼくらの勇気 未満都市 MIMAN CITY

4.504.50
映像
4.00
脚本
3.50
キャスト
3.50
音楽
3.50
演出
4.50
感想数
1
観た人
5

きゅんとして、凛として、あの頃を思う

4.54.5
映像
4.0
脚本
3.5
キャスト
3.5
音楽
3.5
演出
4.5

目次

あの頃。キンキキッズが全盛期だったころ

今でこそメディア露出も少なくなり、ジャニーズの中でも「若手」からは遠い存在となったキンキキッズ。このドラマが放映されていたころ、キンキキッズは10代の女の子たちが最も憧れる存在だった。あの頃、私はこのドラマに出てくる少年・少女たち同様に10代の思春期真っ盛りで、言葉にできない漠然とした不安や、大人という存在自体への反発心に、大いに共感しながらドラマを観ていたことを思い出す。放送翌日には、クラスで必ずと言っていいほどドラマのことが話題にのぼったし、国民的ヒット作といっても間違いないくらい、多くの人の記憶に残るドラマだった。先日、このドラマが20年ぶりにリターン編として放映される事をきっかけに、改めて見返してみた。やっぱり恰好いい、そして面白い。単に売り出し中のアイドルを起用した話題作、ということだけでない、クリエイターの”気迫”を感じた。そうか、この作品はあの堤監督の若手時代の作品だったのか。今の地上波放送では考えられないような映像表現、登場人物の置かれる環境設定も含めて、当時の日本のエンターテインメントがいかに挑戦的で、実験的だったのかをまざまざと見せつけられた気がした。

あの頃。その後起きる震災を予見していたかのような・・・

見返してみて感じたこと。作者は、今を、その先の日本を予見していたのだろうか?

確かにこのドラマは阪神淡路大震災の後に制作された作品で、多少なりとも、未曽有の「震災」という誰も予期し得ぬ事態から想起して制作されたのではないか?と推察する。にしてもだ。

その後、日本は東日本大震災を経験することになり、そこで生活する人々だけでなく、多くの人の心に痛みを残した。私は、あの東日本大震災のとき、TVで繰り返し繰り返し放送された、日常が壊れてしまったような、そんな”穴”をドラマの中に観た。このドラマはあくまでもフィクション。だけれども、限りなく、起こり得る非日常に近いフィクションなのだと感じさせられた。

ドラマの中で、相変わらず既得権益は変わらず、弱者は報われず、自然災害なんかでもない、人の手による人災で、多くの命が失われる。それは、ドラマの中のフィクションの世界だけでなく、現実の世界でも起きていること。20年前と変わらずに。

もう10代ではなく、未来ある子どもを育てる世代となった私は、ドラマを見て愕然としたのだ。あの頃から、人は何かを学んで進歩してきたのだろうか?

あの頃。思春期は今も昔も変わらないとして

このドラマは、10代ど真ん中の思春期と、大人になってからでは感じ方、観方が全く異なる作品のひとつだと思う。思春期の頃は、大人への反発や、子どもの世界の中での小さな諍い・恋愛や友情にまつわるエピソードに思いが及んだ。登場人物が直面するシチュエーションはあくまでもフィクションで、現実には起こり得ないものとして。大人になった今はまた感じ方が違う。いざ、現実の世界でこれに近しい事態が起こったら?ドラマと同じような対応を、体制側は取るのでは?そのとき、一市民の自分はどう対処する?真っ先に守るべきものは何?

そんなことを、作り手側からの問いとして感じずにはいられない作品だ。

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