金田一少年の事件簿Neo
現代的要素を加えた現代版事件解決、学園ドラマ
山田涼介演じる金田一はじめと、川口春奈演じる七瀬美雪他、ミステリー研究部のメンバーらが様々な事件に遭遇していく物語。金田一は祖父である金田一耕助譲りの類まれなる頭脳で次々と難事件を解決する。今回のシリーズでは、成宮寛貴演じる高遠遙一が、全事件の中で重要人物として登場し、殺人プロデューサーとして陰で犯人を操り、金田一と対立していく場面もみどころ。これまでのシリーズにはなかった「ゲーム館殺人」ではゲームマスターなる犯人がクイズなどを利用して殺人を行う。ゲームをクリア出来なければ死ぬといった内容であるが、知恵の輪やクイズを利用してステージをクリアしていく部分などは、現代のリアル脱出ゲームを連想させる。「薔薇十字館殺人事件」では、漫画の世界のような登場人物設定(全員の名前に花にまつわる名が含まれているなど)をしている。この事件では金田一が高遠から彼のまだ見ぬ異母兄弟を守るために依頼をされるといった内容も斬新だった。真犯人と高遠との関係性や背景が描かれているところもこれまでにはないところである。現代的テーマと洗練された映像で、これまでと差別化が図れていると思う。今シリーズの中で最もおもしろいといえる作品は「金田一の決死行」ではないか。これは、初代から内容を少しずつ変えて描かれてきているものであるが、今回は催眠術師に催眠術をかけられたはじめが、剣持警部を刺殺し、ホテルのボーイとともに逃亡する、といったもの。もちろん真犯人は別におり、はじめを罠にかけて犯人にしたてていくのだ。トリック事体は分かりやすいものではあるが、犯人であるボーイの男の子が実は何十年も前に岩窟に取り残された男の子であったことが新鮮で驚かされた。また、逃亡中の金田一に剣持警部の死の真相を伝える研究部のメンバーの行動にもほっこりさせられた。卑劣な犯行ではあるものの、その犯人へ殺人を示唆した高遠への憤りを語るはじめの姿が印象的で心を打たれるものがあった。全てでなくても、この作品は見る価値のあるものだと思う。
殺人もの、事件ものが苦手な方でも楽しんで見られる作品
堂本剛が演じた初代金田一シリーズから、二代目、三代目と主役とキャストを変えて作られてきたが、ベースとなる事件の内容はほぼ同じ内容が多かった。初代は特に映像の作り方や内容に緊迫感や恐怖感を煽る印象が強く、苦手意識を持った人もいたと思う。個人的には作品が始まる際の鳥肌が立つようなおなじみの音楽、劇中のところどころで流れる効果音などが金田一少年の代名詞のように感じているため、今作品内でも意識して見ていたところである。今回のシリーズのキャストは平均年齢も低く、金田一はじめと七瀬美雪他研究部のメンバーなどとのとりとめのない会話や、はじめの茶目っ気ある人間性もいたるところで垣間見られるため、殺人事件ではあるが学園もののエンターテインメントとして娯楽化されているように感じる。賛否両論あるが、個人的には初代と比較するにはキャスト陣や時代背景、映像・音楽技術などが今と昔では違いがありすぎるため難しいように感じる。どこかアニメの実写版を見ているような気楽に楽しめる娯楽ドラマとしてはおもしろく、場所や時間帯などを問わずに誰でも親しんで見られる作品であるいえる。家族で何気なく見るには良い作品ではないかと思う。
初代登場人物と今シリーズとの比較
まず、初代では剣持警部役を古尾谷雅人が演じ、強面でありながらも優しい人柄が印象的で、はじめととても良い相棒関係を築いている部分も良かったが、今回はぐっさんこと山口智充が演じ、少しコメディ感と軽さが出てしまったように思う。その上、作品内でのはじめとの絡みも「金田一の決死行」以外はそこまで多くなく、初代ファンとしては少し残念であった。それであればむしろ名の知らないような脇役俳優くらいでも良かったかと。また、剣持警部と明智刑事とのやり取りも好きだったが、今作品では登場しなかったのも個人的には残念である。次に、初代ではともさかりえが演じた七瀬美雪。今回は川口春奈が演じているがキャラクター設定が少し変わっていた。もともと美雪は怖がりで女性らしい部分はありながらも芯の強い女性、といった描かれ方をされていたが、今回ふざけたはじめを嗜めるただ気の強い女性、といった要素が強いように感じた。そのため、ドラマ内での恋愛要素は少なく月9ドラマのような胸キュンものが好きな人にとっては物足らなかったように感じる。また、初代では最終回で人物背景が描かれていたミステリー研究部の真壁先輩に関しても、今回はただのおもしろい先輩として浅利陽介が演じており、連続して描かれる人間ドラマは少なかったように思う。総じて、初代登場人物より、深みはない登場人物ではあったが、短編で見るコメディタッチの事件ものとしては楽しんで見られるドラマであったと思う。
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