不安なく最後までさらーっと読めてしまう優しいマンガ
目次
悪い人がいないからサスペンス的ドロドロが苦手な人に向いている
このお話では、とにかく悪い人がいません。蜂野くんがいましたけど、あまりいい働きしてませんでしたね。主要メンバーとヒロイン・そのお友達、すべてのお話がつまったストーリー展開なんですが、みんな真面目で良い子ばかりです。
学校で光り輝いている人気者グループのリーダー・夕暮(ゆうぐれ)くん。そしてまだ恋を知らなかった凛咲(りさ)との恋のお話。まだ中学2年生だしね、恋を知らないっていうのもあるよね。人気があっても男子とばっかりつるんでるイケメンっていますから、これはあながち間違ってないです。早くも第1巻でめでたく付き合うことができるんですけど、個人的に一番の驚きは校長先生だよね…校長先生が遊んでくれる学校ってなんてすばらしい!って思ってしまいました。学校大好きになりそう。そして決して校長先生を馬鹿にしていない夕暮グループの性格の良さ。中学生相手にちゃんと謝罪ができる校長先生。威厳はないけど絶対子どもの目線に立った優しい人間でしょうよ。物語の中でもちょいちょいお友達として校長先生が出てくるんだけど、私はそんな校長先生の生活をもっと見たかったくらいです。夕暮くんと凛咲が1巻からおめでとうってなってだいぶ安心しちゃったので。まさか8巻くらいになって武智くんがじわじわくるとは思っていませんでした。武智くんもまったく悪いところがなく、どっちかというと影があるから母性くすぐられるのはもしかしたらこっちなんじゃないかとも思いますね。
輝いてるとか何か壁を壊すみたいな表現をまずもってくる
一番よかったのが1巻だと思うんです。なんか噂だと、本来3巻くらいで納める予定の物語をのばしたらしいじゃないですか。だから1巻でいい表現がわんさかと出きっている感も否めません。まず、凛咲と夕暮くんの出会いのシーン。これよかったなー…恋を知らない・自分も知ってみたいけれどどこか遠いところにあるもの。そう思っていた凛咲の目の前でガラスが割れて、そこから夕暮くんが出てくるっていう…まさにタイムリーに壁をやぶって会いに来てくれた、運命みたいな出会い方でした。これ作ったの校長先生ですけどね。だから大好きだ(笑)。そしてベランダのくだり。ベランダに出ているのは恋を知っている・人を知っている・人気者の人たち。自分はそこへ行ってもいいのだろうか。でも行ってみたいと思っている。そしてテープを破って出ていく。スタートラインに立つって感じでいい門出でした。これまた詩的表現っぽいですね。ただ、凛咲がそこまで深く考えてるのはだいぶファンタジー。そんなに考えられる中学校2年生いたら怖い。
題名のもとになっているキラキラと輝く描写も随所に出てくるわけですが、これはちょっと…なんか…あまり共感できないところでした。え、主題を否定している気が…しないですよ、ちゃんといいマンガだと思っているんです。ガラスが目の前で割られて飛び散って、キラキラしている…まさに流れ星みたいにすごい衝撃で現れて、夕暮くんが自分の心を完全にもってっちゃったみたいだ…みたいな話だと思うんですが、好きな人が輝いて見える・景色が変わって見えるっていうのはよくある話で、だいぶ安全圏設定。これがね~時が経つと見えなくなるんだわ。と、夢のないことを考えてしまう私です。逆を言えば、きらきらーふわふわー…っていう気持ちになりたいときに読みたくなる話です。
武智くんと夕暮くんの関係性の良さ
安定の親友同士。すごく似ているので良いのです。やっぱり忌み嫌う三角関係よりも、みんな大好きで苦しいってほうが萌えるよね。4巻まで幸せいいねーって感じで、5巻でようやくこの男同士の過去のお話に入り、6巻で勃発するわけなんですけど、共感度高かったのは、視力が両目1.5あるのに伊達メガネをかけているという武智の言葉。
レンズが汚れて視界が曇ってちょうどいいよ。
うん、まさに。視力がいい人じゃないと分からない感覚かもしれないけれど、目がいい人がメガネをつけると本当にストレスなんですよね。視界が狭すぎてイライラするくらい。そうやってレンズつけて見えないようにしている俺って悲劇のヒーローみたいな…見事なダメ男でしたね。本来なら、そのメガネ取っ払って…っていう話もあってもよかったのかもしれないですけど、もはやトレードマークってことで。
きっと夕暮くんのことだって相当まぶしかっただろうな~いい人すぎてね。だけどその人の近くにいて、自分もそうでありたいと憧れたからこそ、仲良くつるんできたんだと思うんですよね。相手を利用してとかではなくて、自分ためにそこにいるというか、尊敬しまくっているというか。男の友情ってやつは女と違ってわかりやすく正直で、キレイに見えちゃうから謎です。流れ星レンズだとゆっことかも相当いい子で悪い女子が出てこないんですが、やっぱり男の子どうしのほうが萌える。応援したくなります。
凛咲の純粋設定は本当の世界では見たくない
凛咲の正直さ、賢さ、あざとくない優しさは、女の子の理想そのもの。かわいすぎて女子にも男子にもモテてしまう見た目と人間性です。しかしリアルな世界においてはきっといない…というかいたらまず汚れた目で観察してしまいそう…絶対家ではふんぞり返っていそう、というかそうであってほしいみたいに願うのがリアルの女たち…。相手を落として自分をのし上げたいという欲望です。まぁ、だからこそ凛咲みたいな女の子になりたいよねってなるんですが。すさんだときに読み返して心を正したいって感じです。
武智くんからの告白を断るときの態度はね、良かったと思います。模範解答にしたいと勝手に考えています。こんな状況起こりえないけど。私としては、やっぱり夕暮くんの断り方がかっこよくてとてもよかったです。
ごめん、諦めて
うわー言われたい。というか自分が言ってみたい。そんなセリフでした。武智くんも夕暮くんが最高の友達で、最大の理解者で、本当に憧れている人だから、そんな感じで言われたら許してしまうと思います。いや、許してしまうって獲ろうというか、欲しいと思ってしまったのは武智くんのほうですけど…
ザ・ハッピーエンド
最後の最後まで、揺るがない二人の恋が描かれていました。付き合っていく中での困難やすれ違いみたいなのが少なくて、お互いがすごく大人で。不安なこととか困ったことをちゃんと相談しあえる素敵な二人だったと思います。はじめからこんな人格者同士が付き合うってなかなかないと思うんですけど、そういうふうに相手のことだったり自分のことを考えられるほうがうまくいくってことを伝えてくれている気がしました。余計なこと、ごちゃごちゃしたことは置いといて、まず大切なことは何なのかをちゃんとわかっているのが、夕暮くんと凛咲でしたね。いつもは、主人公・ヒーローがダメ男すぎて、たいてい当て馬を応援したくなるのですが、このストーリーの中では疑いようがなく夕暮くんがドンピシャで文句がありませんでした。
7年後もちょろっとありましたが、そこでも二人は大人の決断をちゃんと選んでいるし、やっぱり人格者だわーと思いました。お互いの道を見ながら、二人の先もちゃんと見ていて、それが当たり前に描けていける関係性っていうのがいいんですよね。恋人から次へ進むってそういうことだなと感じました。
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