パラレルワールドと現実世界
パラレルワールドだらけの話を読み解く
「ひぐらしのなく頃に 誓」ですが、前作と比較するひとはすごく多いのではないでしょうか?
わたしも比較したうちのひとりで、前作に比べるとかなり「良くなった」。キャストなどもパワーアップしたこともあると思います。しかし、相変わらず、「ひぐらしのなく頃に」シリーズを完全に熟知しているひとでないと、ストーリーを一回で理解するのは少し難しいかなというのが最初の感想でした。
もともとすごい数のパラレルワールドの繰り返しのストーリーなので、アニメから観ているわたしも、どれが現実でどれが妄想(被害妄想、誇大妄想)なのかたまにわからなくなります。そもそも、この「ひぐらしのなく頃に」シリーズ、完璧に理解しているひとは作者だけなのでは?なんて考えたりします。
「ひぐらしのなく頃に 誓」は、「罪滅ぼし編」をメインにしたストーリー展開で友人関係の修復を描いた作品となっています。前作では、圭一が喉を掻き毟って死ぬという、ひぐらしのなく頃らしい展開でした。今回のラストシーンでは、レナと圭一の乱闘シーン、その後雛見沢村は毒ガスによってなかったものにされます。結局、政府側は雛見沢症候群のこともすべて把握した上で、計画的に無きものにしたかったのかなと思いました。
雛見沢症候群と政府の関係性
雛見沢症候群は、人間に寄生する寄生虫が起こす発作のようなものという設定ですが、いまいちピンとこないですよね。発症する原因のひとつとして、過度のストレスが挙げられています。そして登場人物は全員が全員、つらい過去を持っている。だから次々と発症してしまう。客観的に見ると、ちいさな村に起こった悲劇、とでも言えるでしょう。しかし、これがもともと政府に計画されていたとしたら?ふとラストシーンで村が崩壊したときに、そんなことを考えてしまいました。
これはあくまで個人的な憶測にしか過ぎませんが、仮にこれが政府がすべて計画したものだとします。そもそも雛見沢症候群は人為的に仕組まれたウイルス(寄生虫)だった。なぜここで雛見沢という地を選んだのかというと、人口も少なく、民家自体も少ない村なら「なかったもの」にすることは簡単ですよね。ここでの舞台がたとえば東京の渋谷、新宿など人口の多い場所だった場合、すべての人間を抹消することは不可能に近いし、何よりメディアが黙っていないですよね。そんなことを加味して、雛見沢を舞台にするという選択肢は、政府側からすればある意味「正しい選択」だったのかもしれません。
では、なぜ「雛見沢症候群」を発症させたのか?
今後、日本政府が国内外で何かしようと企んでいたのでは?もちろん確実に手を汚さず、全滅させられるだけの効力が必要となります。そうした意味でも、ウイルス(寄生虫)の使用は説明がつくなと考えたのです。圭一をはじめ、雛見沢に住んでいた人々を実験台に使ったのです。ラストシーンのラスト、雛見沢の村が抹消された時、「少年1人だけ以外みんな死んだ」というエピソードがありますが、これが事実なのであれば、この少年も雛見沢症候群にもちろん感染しているはずなので、政府が人為的に残したという見解ができます。なぜ残したのか?先に述べた見解のまま話を進めていくと、少年はワクチン材料にされる予定だったのでは?と考えました。雛見沢症候群の効力は、ひとを自殺に追い込むだけのものがあることは明確になった、あとは、念のためのワクチンが必要となる。そう考えるとすべてが結びつくような気がします。
作者の伝えたかったこと
「ひぐらしのなく頃に 誓」は、結局のところ政府の陰謀の話だったのではないかとも思えてきます。そう考えてみると、とても現実味のある映画だなと思います。実際にわたしのような人は「生かされて」いるようなものです。政府だとか、そういう業界に携わることはきっとないだろうなと考えるからです。
違う視点からみると、圭一やレナのように雛見沢症候群を発症させてしまうのはとても人間らしいことなのかもしれません。わたしたちが生きている現実世界でも、ちょっとした被害妄想なんて日常茶飯事ですよね。生活していれば、ストレスも溜まります。そんな風に考えると、雛見沢症候群なんて本当は現実世界にも存在するのかもしれませんね。作者は、昨今の現実世界に対してこんな思いをもしかすると持っているのかもしれません。とくに最近は、いじめ、パワハラなど社会問題にもなっていて、ストレス社会とも言われる世の中です。映画を通して、そんなことを伝えたかったのでしょうか。その証拠に、「ひぐらしのなく頃に 誓」は前作より、はるかに残虐なシーンや、原作のセリフなどが入れこまれています。ひとつのセリフにしてもすごくリアルなんですよね、俳優さんが演技するので。生身の人間ですから。
アニメ、ゲームはどれだけ人間に寄せて描いていても所詮はアニメ、ゲーム。それを実写化することで妙なリアルを体感できる。
もしかすると、今後の日本を伝えたかった映画なのかな?なんて考えてしまいます。作者の思いを映画からすべてを汲みとるのは難しいですね。
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