筋肉隆々の巨大な魔物というイメージを覆す
アニメ企画立案における考察
原作コミックからWEBアニメとなった短編アニメ作品で、アニメ化された目的も明確に打ち出されている作品と言えます。
まずは、インターネットのフリー百科事典「Wikpedia」の記載事項に注目します。
2013年3月12日(さいぷーの日)より配信された約2分のWEBアニメ。4月からはニコニコチャンネルでも配信されている。全12話。
1話・2話のみ火曜日配信、3話以降は週刊ヤングジャンプ発売日である木曜日に配信。
(参照元:Wikpedia)
上記のことから、アニメ作品自体の営利目的は薄いと考えられるのではないでしょうか。
まず、2分全12話と、全てを観通しても30分も要さない程度で観終えてしまうアニメです。OVAとして、製品化されて販売されているわけではありません。また、毎週1話ずつ、インターネット上で公開されていたようです。そもそも、1話は2分で構成されていますので、無料配信だったのではないでしょうか。無料じゃなかったと考えてみても、2分の短編アニメであることから、価格設定も抑えられたものであることは容易に想像できます。
そのことから、WEBアニメ作品での売上は多くなかったことが容易に想像できるのです。
また、企画実行当初においても、売上が伸びず、稼げるものはないことは、簡単に想定できたことなのではないでしょうか。
それでは、WEBアニメとして制作された目的は何だったのでしょうか。
それは、原作コミックの販売を伸ばすことにあったと考えられます。アニメ本編を最後まで観ると、毎話のエンディングの最後に、原作コミックの価格まで掲示されて好評販売中も表示が成されます。
すなわち、原作コミックの購入を促されているのです。
面白いと感じた視聴者を、原作コミックに誘導していることを明確に表されていると考えられます。
コンテンツ企画の考察
「サイクロプス」という言葉から想像するに、一つ目で筋肉隆々の巨大な魔物を思い浮かべるのではないでしょうか。
一般的には、特に「ドラゴンクエスト」シリーズに登場する「サイクロプス」を想像する方が多いのではないでしょうか。また、「ドラゴンクエスト」シリーズの「サイクロプス」ではなくても、不気味であり、巨大な印象をもつことが多いと考えられます。
しかし、イメージを覆して、美少女のキャラクターデザインをされているのが当作品です。
言い換えれば、「サイクロプス」という魔物の存在を、擬人化しているコンテンツといえます。
そして、そのアイデアが、コンテンツ企画の出発点だったのだと考えられるのです。
「サイクロプス」という魔物を擬人化したとき、「ゲゲゲの鬼太郎」のように、片目を髪で隠すというキャラクターデザインを考えたのだと推測されます。また、女性キャラクターでありながら、身長は高く、胸も大きい人物像を思い描いたのだと考えられるのです。そして、アニメ本編における物語のネタは、全て「さいぷ~」を中心に構成され、他の脇役が主人公になる話はありません。
それだけ、主人公「さいぷ~」の、主人公たる主張の強い内容といえるのです。
そのことから、主人公「さいぷ~」というキャラクターの魅力に依存している内容と考えることができます。逆説的に考えれば、「さいぷ~」に魅力が薄ければ、アニメ本編の面白さに欠けてしまいます。
それだけ、主人公の主張が強いコンテンツだからこそ、企画立案の出発点は、「サイクロプス」という魔物を擬人化するというアイデアから生まれているのだと考えられるのです。主張の強い主人公は、そのことの表れだと受け止めることができるのです。
実在人物に当てはめて考察
主人公「さいぷ~」を、「高身長」「恵まれた身体」と2つの条件を当てはめた時、実在人物に置き換えるとしたら、女子バレーのプロ選手が合致するのではないでしょうか。
片目を隠したヘアースタイルは、さすがに該当する人物が思い付きません。
ただ、「さいぷ~」の天然なキャラクター性、さらに、アイドル性を考えるなら、女子バレー界のエースである木村沙織さんと共通する部分は多いのではないでしょうか。現実社会においても、木村沙織さんは人気の高い選手で、ファンも多いと伺っております。そんな木村沙織さんの魅力と、当作品の主人公「さいぷ~」は同じファン層を狙ったキャラクターだと考えられるのです。
そして、振り返って考えてみると、外見における「さいぷ~」の特徴といえる片目な部分は、アニメの内容に活かされていないと考えられます。
「さいぷ~」の外見面での魅力は、高身長と大きな胸だといえます。男性キャラクターより、高身長という設定の女性キャラクターは希少ですので、存在価値は高いものと考えられます。
さらに、内面においては、天然でほのぼのとしたキャラクター性だと考えられます。
しかし、最大の特徴である片目であることは、本編で触れられることもありません。そして、最大の特徴ともいえる設定が活かされることがないのです。
そう考えると、謎に包んでおいて明かさない不思議要素も、原作者が意図的に狙った「さいぷ~」という主人公の魅力と考えることもできるのでしょうか。
あまりにマニアック過ぎて、個人的な見解としては、少し理解できない領域ですけど(笑
強烈なお兄ちゃん子である点
「サイクロプス」という観点から直に結びつかないのが、「お兄ちゃん子」「ブラコン」という設定と考えられます。
しかし、身近な存在として、「異性であること」「年上であること」を計算式に出すと導かれる答えは、「お兄ちゃん」と考えられます。年上の兄より大きな妹の存在は、主人公「さいぷ~」の存在を、更に大きく映すことでしょう。
兄の存在は、「さいぷ~」の身体の大きさを強調するものと考えることができます。
そして、現実社会においての「お兄ちゃん子」「ブラコン」という存在は、幼い頃に限られているのではないでしょうか。高校生になってまで、「お兄ちゃん子」「ブラコン」であることが、現実社会では希少な事例だと考えられます。
現実に妹をもった兄という方であれば、こんな設定は存在しないと切り捨てるでしょう。
しかし、現実に妹という存在がない男性からすれば、夢のような設定だと考えられるのではないでしょうか。現実を知らないから、リアリティーを持たないのです。そのことから、この作品の設定を、素直に受け入れることができるのではないでしょうか。
そして、現実社会において、妹をもった兄という立場の男性は少数派だと考えられます。
だからこそ、一緒に暮らす妹という立場で、本編の兄の姿に男性視聴者が自身の姿を重ねた時、夢のシチュエーションであると考えられるのです。
妹という存在の現実を知らない男性視聴者が、本編に感情移入することで、夢のシチュエーションを感じることができるコンテンツだと言えるのではないでしょうか。物語やネタに笑わせる要素があるとか、当作品が打ち出しているのは、そういうことではないと考えられます。
想像の中で、夢のシチュエーションを味わって悶えることこそ、視聴者として、このコンテンツの最大の楽しみ方だと考えられるのです。
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