バンパイアマウンテン
試練の旅の始まり
ダレンとクリスプリーはバンパイアマウンテンを目指して旅に出ることになった。旅のお供にリトルピープルを二人連れて始まった長い道のりの旅はクリスプリーによると「弱いバンパイアを振るい落とすためのもの」だという。目的地までは遠く険しい道のりではあるがバンパイア特有の高速移動(フリット)を使うことも禁止されており、まさに試練の旅だといえる。バンパイアは人間よりも野生生物に考え方が似ていると感じる。生き残るためには強くならなければならない。そのためにあえて自らに様々な試練を課す。ライオンの親は自分の子供を谷に突き落とすというが、それと同じで、バンパイアの世界に弱いものは必要なく自分の身は自分で守り強く生きなければならないということがこの旅そのものに戒められていると思う。
凶暴なクマとの戦い
旅の途中でダレンはバンパニーズというバンパイアとは別の闇の生き物の血を飲んだクマと遭遇。運悪くクリスプリーとガブナーは偵察に出かけているときに強暴なクマが襲いかかってきたのだ。ダレンは死に物狂いで戦い何とかクマを倒すことができた。リトルピープルや狼の協力があったとはいえ、クリスプリー達のような完全なバンパイアの力を借りずに倒した。ダレン自身、戦い終わってから恐怖がどっと押し寄せてきた。死の恐怖にさらされた時はたいてい足がすくみ動けなくなる。それでも戦わなければ確実に死ぬということをダレン自身本能的にわかっていたのだと思う。だから、戦っている間は恐怖ではなくただ生きるために戦うことしか頭になかったのだと思う。ダレンはまだ半分だけしかバンパイアの血が体にないため他のバンパイアに比べたら力も弱く戦いの経験もほとんどなかった。この旅を通してダレン自身バンパイアとしても成長したのだと思う。
高潔なる生き方
クリスプリーをはじめ多くのバンパイアは高潔であれとよく口にする。誇り高く生きるということは確かに立派なことだろう。ところがバンパイアの場合最も重要なのは誇りであり、死にざまがどれほどのものなのかが問われる。そのために上述したようにバンパイアマウンテンでの旅にフリットを禁じたり、戦いでは飛び道具を使うことを禁じている。これは直接的なぶつかり合いこそが真の戦いであり、銃や弓といった飛び道具は卑怯だと考えているからである。バンパイアは自分たちが生きることよりもどれだけ誇り高くあれるかを重んじているように感じられる。
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