文明の扱い方 - プラトニックチェーンの感想

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プラトニックチェーン

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
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文明の扱い方

4.04.0
映像
3.0
ストーリー
4.0
キャラクター
3.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

携帯電話の存在

女性キャラクターが、折り畳み式の携帯電話を用いてプラトニックチェーンにアクセスしていたのが印象的です。

現代社会において、折り畳み式の携帯電話は少数派なものであり、スマートフォンが一般化しています。そして、女子高生たちが折り畳み携帯を所持して、使いこなしているアニメ本編は、斬新な映像に感じられます。ほとんどの女子高生は、スマートフォンを利用しているのが、現実社会では一般的です。

コンテンツが制作された時代背景を強く感じられるアイテムではないでしょうか。

まだまだ現役の折り畳み式携帯ですが、女子高生が積極的に使っている光景が組み合わさることで、今となっては違和感を覚えてしまいます。完全に消失したポケベルに近いレベルで、折り畳み携帯が古い端末に映ります。

もっと時代が進み、折り畳み携帯という存在が完全消失したなら、アニメ本編における違和感は、より強いものになっていくのでしょう。

折り畳み携帯の存在をとってみても、アニメ本編の内容は、時代と共に色褪せていくアニメ作品だと感じられました。それだけ、私個人としては、たかだか折り畳み携帯なのかもしれまいですが、存在感の強いアイテムにように思えました。

作品タイトルについて

「プラトニックチェーン」とは、アニメ本編において、ネット上の女神さまと呼ばれていました。

しかし、プラトニックチェーンなどという言葉は現実社会には存在せず、アニメ作品オリジナルの造語です。二つの単語の組み合わせにより構成されており、「プラトニック」と「チェーン」に分解することができます。

そして、二つの単語のうち、分かりやすい方から考えていきます。

後ろの「チェーン」とは「chain」、すなわち鎖と直訳することができます。

鉄部品同士が組み合わさった縄状の部品であり、「繋がり」というイメージがあるのではないでしょうか。また、鎖という言葉から強固な縄がイメージされ、「繋がり」とは別に「拘束」というものも思い浮かびます。

果たして、作品タイトル「プラトニックチェーン」のチェーンが意味するのは、「繋がり」なのか、「拘束」なのか、どちらなのでしょうか。

私自身の見解としては、どちらも当てはまるのだと思います。

「繋がり」という観点で、アニメ本編をみたとき、プラトニックチェーンは人探しの要素で用いられていた場面がありました。また、人と人を結びつけるものとして、プラトニックチェーンが描かれていたように思います。

「拘束」という観点で、アニメ本編をみたとき、監視カメラの存在が強調されていました。現実社会において、犯罪行為の抑止力としての意味は大きいです。作動する監視カメラの存在は犯罪行為に限らず、恥ずかしい行為・後ろめたい行為の抑止力になります。監視カメラと紐付けされたプラトニックチェーンの存在は、「拘束」という言い方もできると思うのです。

それぞれ、チェーンには二つの意味が込められていると思います。

次に作品タイトルの頭部分の単語「プラトニック」について考えていきます。

常用語として「プラトニックラブ」という言葉が存在します。肉体関係を結ばず、精神面や気持ちだけの恋愛を意味しています。また、厳密に「プラトニック」という言葉をgoogle検索してみると、「純粋に精神的(で、清らかなさま)。」と表示されます。

このことを意識して、アニメ本編を振り返ってみると、プラトニックチェーンは悪用されていません。純粋で清らかな用いられ方をしていたことは、終始徹底されていました。このアニメ作品における「プラトニック」という意味は、「悪用せずに純粋な用途」と、私自身は受け止めました。

しかし、プラトニックチェーンを悪用しようとすれば、ストーカー行為、盗撮・盗聴といった犯罪行為の助長につながります。

現実社会の予見

未だプラトニックチェーンという存在は、現実社会には実在しません。

しかし、近いところまで到達しているように思います。遠隔操作により、防犯カメラの映像をインターネット上で見る技術は現実になっています。また、多く人は携帯電話を持ち、GPS機能を備えたものを所持しているのではないでしょうか。そして、個人情報は流出してしまうことも多く、悪いことをすれば、入手することも容易なのかもしれません。

膨大なデータを管理・運用するシステムであるプラトニックチェーンは存在しないまでも、末端における準備は着実に進んでいるように思えます。

また、「ビッグデータ時代の到来」という言葉は、ビジネスシーンでよく使われる言葉なのではないでしょうか。まさに、アニメ本編における、プラトニックチェーンのように感じられます。

携帯電話は古い端末である印象が強いのに、プラトニックチェーンの存在においては、現実社会を予見しているものであり、見事に言い当てているように思います。

悪用すれば恐ろしい技術であり、怖い存在ですが、私たちが「プラトニック」な気持ちで使わなければなりません。プラトニックチェーンが実在する未来は、技術的に考えても、そんなに遠くないのではないでしょうか。しかし、そんな便利なものをどう使うのか、今のうちに考えておくことが必要のように思います。

気持ちの在り様、人間性の成長が欠かせないことではないでしょうか。

そんな未来の怖さ、そして、便利で明るい未来像を感じさせてくれるアニメ作品でした。

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