最高の日常系マンガ
子供ってこんなに可愛かったんだ
私は昔から子供好きです。しかし、なぜ好きなのかと聞かれると答えに詰まります。
ただ見た目が可愛いから?行動が無邪気だから?どちらも当てはまるけれど、コレだ!と思える答えは分かりませんでした。
この作品を読んで、しっくりくる答えが出ました。本当の意味での子供の可愛さが分かりました。
私は子供の意外性に惹かれているのです。自分達大人には思いもよらない行動や考え方をして、大人を驚かせます。それが厄介でもあるけれど、飽きないのでついつい構いたくなります。
よつばを見ていると全く飽きません。コロコロ表情がかわり、次々と突飛な行動をします。よつばの周りの大人達はそんなよつばに振り回されながらも、懲りることなくよつばの相手をしています。
よつばはお行儀が良くて大人のいうことを素直にきくような良い子ではありません。イタズラをして周囲に迷惑をかけたりもするし、嘘をつくこともあります。一般的にみれば育てにくい子供です。しかし、そこがよつばの最大の魅力であり、読者を惹きつけて離さない最大のポイントなのです。
大人の役割って何だろう
子育てする上での大人の役割は、正しい方向へ子供を導くことだと私は思います。よつばとの登場人物は皆これが自然にできていて、とても上手です。
よつばとに出てくる大人達は、よつばが意味不明な行動やおかしなことをしても怒りません。笑って、よつばの意見を「そうなんだー」と聞いて、一緒によつばが思いついたバカバカしい遊びに付き合うのです。よつばの突飛な行動に眉をひそめるような人はいません。
だからといって甘やかしているのではなくて、本当に悪いことをした時はきちんと叱ります。
私が印象に残っているのは、10巻の『よつばとうそ』という話です。よつばは綾瀬家から貰ったバランスボールを使い家の中で遊んでいてお皿を割ってしまいます。焦ったよつばは、とーちゃんにウソをついてしまいます。
子供が嘘をつくのって特別珍しいことではないし、自分にも身に覚えがある人は多いと思います。しかし、そういう時にどんな叱り方をするのかっていうのは大人にとっては結構難しい問題です。
とーちゃんはこの時まずはよつばの言い分をしっかり聞いて、その後お寺に行って「よつばのうそつき虫を退治する」といって罰として仁王像が建っている柵の中によつばを入れてしまいます。そして、「お茶碗を割ったって、窓を割ったって、コーヒーを零したっていいけれど、ウソだけはつくな」とよつばを叱ります。このシーンのとーちゃんは凄く鬼気迫るものがあって、無言でよつばをお寺に連れていく描写は凄く怖くて印象に残っています。おそらく、よつばが大人になってもに忘れられない出来事になるでしょう。
とーちゃんは怒っているのではなくて、ちゃんと叱っているんです。食器を割ったことに腹をたてているのではなくて、「ウソをつくことは悪いこと」これをよつばに理解させるために叱ります。悪いことをしたから頭ごなしに怒るのではなくて、子供の意見を聞いた上で何がダメだったのかを理解させキチンと叱るというのは簡単なようで中々できることではありません。
最高の育児指南書
子育てする上で悩み、様々な育児書を読み漁った経験がある方って結構多いのではないでしょうか?私もその一人で色々読んでみましたがコレが子育てのバイブルだ!っていうような本には出合えませんでした。
そんな中、ふと独身時代に大好きだったよるばとを読み返してみると以前読んだ時とは全く違う視点で読んでいる自分に気付きました。子育てってこんなに楽しいものなんだ!こんなに子供ってキラキラしているんだ!曇っていた心がパッと晴れ渡りました。
とーちゃん達は気負うことなく自然体で子供たちと触れ合っていて、時に笑い時に叱りながら子供たちに向き合って良き方向に導いています。子育てを楽しんでいるのが伝わってきます。
親だって普通の人間です。イラだったり凹んだり投げ出したくなることもあります。そんな時この作品を読むとふっと力が抜けて、また子供たちに向き合っていく気力が湧いてきます。
私はこれからも何度もこの作品を読むでしょう。私にとって「よつばと!」は無くてはならない最高の育児指南書です。
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