色んな皮肉が交差する物語 - ほしのこえThe voice of a distant starの感想

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ほしのこえThe voice of a distant star

4.804.80
映像
4.00
ストーリー
5.00
キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
1

色んな皮肉が交差する物語

4.84.8
映像
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

主要な登場人物

アニメ本編を振り返ってみると、主要な登場人物は二名、主人公の寺尾 昇(てらお のぼる)とヒロインの長峰 美加子(ながみね みかこ)で構成されています。
非常にシンプルな構成でまとめられた作品だといえます。また、短編アニメ作品であり、25分ほどで全編を観終えてしまいます。その短さから、余計な部分をとことん削ぎ落とした内容だといえます。物語の展開としても 美加子と昇の物理的距離が離れていく一方の構図で、分かりやすい内容なのではないでしょうか。そのことから言えるのは、アニメ本編では美加子と昇が、お互いに愛の言葉を延々と語り続けているアニメ作品のように感じられました。登場人物が主人公、ヒロインのみの構成なので、この二人の関係に影響を及ぼす人物は存在しません。そのことから、物語展開としては乏しいものがあります。主人公とヒロインの物理的距離が離れていく中、メールでのやりとりでメッセージ交換するだけの展開なので、愛の言葉を語り合っているだけの印象は拭えません。ただ、それを悪いことだと受け止めていません。登場人物は、主人公とヒロインの二名ですが、二人の関係に影響するものとして、お互いの物理的距離があります。お互いの気持ちとは裏腹に、二人の物理的距離が圧倒的に離されていくところに面白みを感じさせます。お互いの気持ちと、離れていく距離という現実が皮肉な部分だと思います。

速さから伺える皮肉

今の科学で、最も速いとされているのは、光の速さだと考えられています。しかし、それでも天文学の観点でいえば、光の速さであっても、別の天体までの要する時間は年単位であると言われています。宇宙空間とは恐ろしいほどに広大だと思わせられるのと、その部分に着眼点を置き、「ほしのこえ」というアニメ作品が制作されているのだと思います。そもそもの発想が面白い物語であるのは間違いないことではないでしょうか。最も速いものと考えられているものの速さが、遅いと感じさせるアニメ本編は、意図的に皮肉と映るよう制作されていると受け取れます。もしかしたら、今後に文明や科学技術が進めば、光以上の速度のものが発見されるのかもしれません。ただ、光以上の速度を実現する方法として、ワープ航法がアニメ本編に描かれていました。通信方法にしてみても、ワープ航法の技術を活用すれば、アニメ本編で描かれていた時間は要さないと考えられます。しかし、敢えて時間の要する通信方法にすることで、速さに対する皮肉を描きたかったのだと考えられます。光の速さでも、遅いと感じられる時代がくるのかもしれません。今の科学では光の速さが、速さの最高点であり、それ以上に加速することは不可能とされています。しかし、現実社会における文明は、常識やそれまでの概念を覆すことで発展してきました。光の速さを超えるもの、光の速さを超える方法が実現される可能性はゼロではないように思います。

時間に対する皮肉

美加子と昇は同級生で、中学3年生という背景から物語が始まっていきます。
そして、アニメ本編の終盤では、携帯電話のメール機能でメッセージが届くまでに8年を要する描写がありました。中学3年生ということは、年齢でいうと15~16歳だと考えられます。すなわち、相手にメールが届くまでに、自分自身の生きてきた人生の約半分の時間を要するということなのです。昇は物語の終盤で、24歳になっていました。24歳として考えても、自分自身の生きてきた人生の3割以上に相当する時間だと考えられます。時間の長さとは、明確な定量です。しかし、体感的には定量ではないと考えられるのです。3歳の子供と90歳の老人では、同じ1年でも、生きてきた時間が違う為に、体感的に捉える時間の長さは違うのです。3歳の子供にとって、1年とは自分の人生の3割以上を占める時間です。しかし、90歳の老人では、1年は自分に占める人生の1%強という時間でしかないのです。皆さんも過去を振り返った時に、感じることはあると思います。子どもの頃の1年はとても長く感じたように思えないでしょうか。そして、大人になった時、1年が瞬く間に過ぎていくことも感じられることだと思います。年を重ねるごとに、体感的な1年の長さは短くなっていくのです。それを踏まえた上で、主人公とヒロインの年齢と時間の単位を考えてみると、受け取れる時間の重みは大きいものだと思えます。そして、制作スタッフはそこまで考えて、主人公とヒロインのキャラクターデザインをしているのだと思います。また、時間の設定を考えられたのだと思います。この部分が、一番厳しい皮肉を描いた部分なのだと思います。また、高校生から24歳といえば、人生の中で輝いていた楽しい時間を思い浮かべることが多いのではないでしょうか。そんな貴重な時間を扱ったテーマの重いアニメ作品なのだと思います。また、2002年に劇場公開されたアニメ作品ですが、時代背景としても、主人公とヒロインの使っている携帯端末は古すぎます。当時は、カラー液晶搭載の折り畳み携帯の全盛期であり、アニメ本編に登場する携帯は前世代をイメージさせるものだと思われます。敢えて、古い端末を描くことで、時間や時代に対する皮肉を強調させたかったのだと受け取れます。

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