16センチの彼女と過ごした日々 - 南くんの恋人の感想

四作もドラマ化された大人気”南くんの恋人”

南くんの恋人は、初めて見た時、こんな恋愛があったら楽しいなという簡単な気持ちで見ていました。でも作品はそれだけではありませんでした。内容はとても複雑なものでした。普通の恋愛とは少し違うけれど、私たちには絶対に体験出来ないような恋愛でした。とても切ない思いが隠された不思議な恋の話でした。元は漫画として世に出ていましたが、それがテレビドラマ化されました。漫画の内容とは、あまりストーリーが類似していないという特殊な作品だと思いました。漫画ではもう少し大胆な描写がありましたがそのような内容は削除されていて小さくなった恋人と同棲をするという点だけ同じだったように感じます。テレビでは、小さな子供も見るかもしれないためと考えた結果だと思います。南くんの恋人はテレビでは4度違うパターンで放送されていました。私が見たのは、2作品目の高橋由美子、武田真治の作品と、３作品目の深田恭子、二宮和也(嵐)の今回のこの作品です。作者は内田春菊で、彼女の代表作品です。漫画版の結末はとても切なく小さくなったちよみは、事故により死んでしまいます。これによってこの結末は良くないという評価をされたようですが、私は全くそんな風には思いません。ハッピーエンドが全てではありません。良いことばかりの内容だけではつまらないし、残念な結末もひとつのストーリーだと私は思います。作者自身は、ちよみの存在を否定し、作者自身が”子供を諦めたという心情の表れだったのかもしれない”と話しています。

16センチになってしまった女子高校3年生

普通の女子高校生が急に身長が16センチになってしまうという楽しい印象のストーリー内容ですがその中には、小さいからこそ出来ること、出来ないことが沢山ありその困難に立ち向かっていく2人の姿が描かれています。深田恭子が演じた”ちよみ”と二宮和也が演じる南くんは恋人同士です。小さくなったちよみをポケットに入れて一緒に行動します。その姿は、まるで男の子が可愛い人形をポケットに入れているようでした。本当に不思議な光景です。高校3年の男子が人形を持っているなど、他人が見たら何て言うでしょう。変な目で見られることは間違いないです。この2人が生活する事は可能なのだろうかと、疑問に思いながら見ていました。個人的には、深田恭子のちよみが1番好きで、本当に可愛いです。表情も彼女の甘えたような甘い声が可愛らしくて、16センチの体で本当に可愛いと思いました。小さいちよみが世間にバレないように必死になる南くんの姿が可愛くも男らしくも見えました。ちよみが小さくなってから南くんの様々な表情を見る事ができて楽しかったです。きっと二宮和也のファンの方は、色々な南くんを見る事が出来て、余計に楽しめたのではないでしょうか。

ハッピーエンドでないとなぜ非難がくるのだろうか

あり得ないストーリーだからこそ気兼ねなく楽しんで見れるためこれだけ人気が出たのではないかなと思います。しかし、この作品の結末を考えると楽しんで見ていられない辛い現実が起こるのです。このストーリーでは、ちよみは小さいまま南くんと結婚をして、共に生活していくというハッピーエンドで終わりますが、他に放送された”南くんの恋人”では、ちよみの姿が段々弱ってきて、最後は消えていなくなってしまうという風に終わりました。つまりちよみは死んでしまったのです。この終わり方に対して様々な非難があり、その後にスペシャルが放送されるという予想外の展開でした。私は終わり方はバッドエンドな結末でも良かったと思います。その方がこの作品の良さを感じました。ですが、スペシャルを見て少しがっかりしてしまいました。もちろん楽しい結末の方が良いかもしれないけれど、人生には楽しさだけではなく、必ず苦しみも存在し、誰もが経験すると思います。それを、ちよみが死んでしまうのは良くないと終わり方を非難する人は、もう少し作品一つ一つを真剣に心で見て欲しいと感じました。作品にはパターンがあって、良い結末もあれば悲しい結末もあるのです。それが生きていくということだと私は思います。

ハッピーエンドで終わった今回の”南くんの恋人”は、小さいままの姿を皆に見せてから結婚に至ります。現実味があまりない内容になっていました。私はどちらかといえば、２作品目の”南くんの恋人”が1番作品っぽくて大好きです。(スペシャルは除いてです。)好みは人それぞれですから変な事は言えませんが、小学生がみるには、ハッピーエンドで終わったこちらの作品の方がオススメかもしれないです。中学生、高校生には、ぜひ２作品目を見て命について何か感じとることが出来ればと思います。小さくなった恋人と一緒に同棲するというドキドキ感を味わえるところも人気の要素でしょう。もし私の旦那が小さくなってしまったら、私はポケットに入れて毎日ずっと一緒に過ごします。そして彼がいつか亡くなってしまうかもしれないという事を胸に秘め、覚悟を決めて過ごします。