新感覚ミステリー作品 - 神様のメモ帳の感想

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神様のメモ帳

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音楽
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新感覚ミステリー作品

3.53.5
映像
3.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
声優
3.5
音楽
3.5

目次

人気小説のアニメ化

『たったひとつの冴えたやりかた』

本作品に触れた方はこの言葉が心に残っている方は多いのではないでしょうか?私が本作の言葉で一番心に残っている言葉になります。

本作も多くのアニメ化作品と同様に原作小説からのアニメ化作品になります。本作のジャンルはミステリーなのでアニメにはあまり向かないと思っていたのですが原作に近い魅力を上手くアニメでも引き出せていて良かったと思います。

アニメではミステリー作品よりもアクション作品の方が向いていると思います。やはりアニメの魅力とはキャラクターが動き、喋ることにより、キャラクターに生命が宿った様な表現が出来ることであると思います。そういった面からアニメではアクション作品の方がキャラクターの表現といった面からより魅力を引き立てることが出来るので向いているのですがミステリー作品だとどうしても説明や解説といった場面が必要になってくるので魅力が伝えにくい点であるのが不向きであると思います。

ですがミステリー作品特有の空気感や雰囲気が良く表現されていたのは好感が持てました。本作の様な社会の裏側といった特殊な環境の描写が多い作品ではその雰囲気の描写が重要になりますが本作ではその魅力がよく引き出せていて良いと思いました。

原作小説としての魅力

原作小説の作者である杉井光先生の作品は主人公を含めたキャラクター達の言葉や文章による表現が秀逸であることだと思います。本作の主人公、鳴海の

様な口が上手く、作中でも言われている様な詐欺師に向いている様な人物が魅力的であり、より印象的であります。そういった主人公や他のキャラクターを外界との窓口とし、室内に引き篭もりながら情報を収集、処理をして事件を解決へと導くヒロインでもあるアリスとの相性や関係が良いストーリー性を含んでいて物語をより良い方向へと導くのが上手く出来ているのがより読書を惹きつけることが出来ているのだと思います。

ミステリー作品ならではの事件の背景やキャラクター達の心情といった説明や解説など、アニメよりかは小説での描写の方が事細かに表現出来るのが長所であり、アニメ化するのには短所となりますが小説作品にてイラスト化されているとは言えキャラクターの外観や背景といった世界観が曖昧だった物がアニメ化にてよりイメージしやすくなり物語を補填するといった意味では良いのですがアニメから本作に触れた方が多いと思うので原作小説を読んでいただくのをお勧めしたいです。

アニメ作品としての魅力

本作のアニメ第1話はアニメオリジナルエピソードであり原作小説を知る方からもアニメへと興味を持たせるのが上手く出来ているなと感心しました。

それにミステリー作品の話の構成上、話の起点で1話、解決でもう1話と、構成がバランスが良く内容も希薄にならずに必要なのが第1話が60分放送でエピソードを全て見せたのもアニメからの視聴者を引き込むのに一役買っていると思います。

アニメと原作小説とでは話の構成が大きく異なります。ですがアニメでは話の長さに制限があるので構成上仕方がないのですがアニメにおけるクライマックスにエンジェル・フィックスのエピソードを起用したのは良い構成だと思いました。彩夏を全編通して登場させるには小説の第1巻のエピソードをアニメでも最初のエピソードとして紹介するのでは勿体無く、数少ない他の女性キャラクターを引き立たせるのに重要なキャラクターであるからです。それにエンジェル・フィックスのエピソードは全体的に暗い雰囲気で話が進む為に視聴者を引き込むといった目的には合わないといった面もあるからです。

本作でのアニメではキャラクターについての詳細な説明がほとんどありません。特にメインヒロインでもあるアリスについては年齢の表記すらありません。他の作品ですが女性は秘密を着飾って美しくなるとも言われる様に魅力を引き立てるには良いと思いますがアニメ作品においては賛否両論といったところだと思います。ですが私は詳しい描写よりもキャラクターの言動や表現、人間関係といった背景からキャラクターについて考察していくほうが好感が持てます。

例えばアリスについてですが作中では中学校に通っていれば良かったとの表記があり、その見た目からまだ13歳から16歳くらいまでだということが分かり、アリスのクマのぬいぐるみにはSF小説作家のジェイムス・ディプトリー・Jr著の『愛はさだめ、さだめは死』からリッリルウとモッガディートと名前を引用しており、『死者の代弁者』と自身の表現にはオーソン・スコット・カードの著書から引用していることからアリスの根幹にはそういった作品達から強く影響を受けていることが分かります。

そういった構成であれば視聴者ごとにキャラクターについての印象が異なり、視聴者の数だけキャラクター像が生まれます。そういった作品の考察について他の人から意見を伺うのはとても興味深く、さらにその後にもう一度視聴するのも別の視点から楽しめて良いと思います。

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