真面目で面白い、少女漫画が描く男の世界。
持ち味の全く違うバンド『桃色軍団』と『スラン』。コミックバンド『桃色軍団』でドラムを叩いていた八角は、その腕を買われてプロ志向の高い『スラン』のドラムの代役を務めることに。
骨張った絵がリアルで魅力的。目の顔に対する割合が現実的で身体の動きなども自然なところはイイと思うが、いかんせん背景が殺風景。
作者の作品は多くの作品の世界感が繋がっていて、あっちの脇役がこっちの主役、こっちの主役がそっちではほんのちょい役・・・ということが珍しくない。この作品で冴える大人の八角も『おんなのこ物語』では寡黙で神経質な主役だが、尚子が主役だった緑茶夢では超ちゃらい上に若干オネエの入った謎の絆創膏男。
登場人物は簡単に兼用しちゃうのに、そのキャラは意外に定まってないのである。
いつもの事ながら、女性の登場人物が極端に少ない森脇真末味の作品。今なら腐女子も涎物の作品に仕上がる可能性もあったのだろうが、この頃の作品は特に色気という部分においても極端に露出が少なく、少女漫画で恋愛もほとんど絡まない、これほどストレートなバンドものというのも珍しいだろう。ある意味安心して読める作品。
ちなみに、尚子が主役の方の緑茶夢に登場のブタのソクラテスを飼っている喫茶『茶嘆』のマスターが、今思えば私の初恋である。
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