砂漠に咲く花 - デザート・フラワーの感想

世界的トップモデル、ソマリア出身のワリス・ディリーの半生をつづった自伝「砂漠の女ディリー」を映画化。彼女は、幼い時に故郷を離れロンドンへと渡り、スーパーモデルとして世界的な成功を収めた一方で幼少時に経験したFGM（女性性器切除）廃絶運動に奔走している。タイトル、ポスター、この映画への自分の想像から描かれる華やかなファッション映画からは全くと言っていい程にかけ離れた現実的社会問題を突きつけられる残酷な内容が多く描かれています。日本人である私達には考えられない、理解しがたい文化の風習、世界は自分が思っているより遥かに広く、まだまだこの日々の日常で他国で起こっている事実を私達は知りません。いくら生きる場所が変わっても、時間が経っても子供の時に受けた強い傷はなかなか簡単に癒えるものではありません。一生この傷が消えることは無く、むしろ問題に向き合って共に生きていく道を選んだワリスは本当に強い女性なのです。そんなワリスを演じるのはエチオピア出身の現役トップモデル、リヤ・ケベデ。すらっとし身体に小さい顔、そしてボリュームのあるパーマヘアが特徴のリヤ。ショーのステージで堂々と歩く姿がとても印象的です。ただ何処にでもいる綺麗でほっそりとした美しいだけのスーパーモデルではない、彼女の生き様がその一歩一歩に深く刻まれている。美しいけれどとても強くそして悲しい花であるのです。