人間の本能 - 王様ゲームの感想

小説でホラーものを読んだのは初めてでした。表紙のものものしさにつられ、手にとって読んでみたらどんどん自分が話に入り込んでいました。

まず、設定が斬新です。よく遊びでやる王様ゲームを狂気のゲームにするのですから驚きです。そして現代感のある携帯によって王様からの指令が来るというのも面白いです。

そして何と言っても王様からの罰が与えられる時の描写は本当に寒気がするほどリアルです。下手なホラー映画を見るよりよっぽど怖かったです。特に印象に残っている描写は、石で自分の指を自分で砕いていくシーンは、自分がされているような恐怖心に襲われました。こんなにリアルな描写をかける作者さんは本当にすごいですね。

また、王様ゲームという恐怖のゲームによって人間の本性をあぶりだすのがとても上手です。自己中心的で都合がよく、自分が助かるためなら平気で嘘をつき、人を騙す。人間の本来の姿をさらけだしているようです。かという私自身ももし同じ状況に置かれたら、登場人物と同じように自分が助かることを第一に考え、そのためなら平気で嘘も付くことでしょう。

そんな人間本来の醜い姿を見せつけられ、何が正解で何が間違っているのかわからなくなります。まるでこの社会のようにも感じました。本当の大切なものとは自分の命なのか、それとも恋人の命なのか、友情なのか。それを考えさせられた本でした。