仁義の墓場の評価
仁義の墓場についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に映画を観たレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
仁義の墓場の感想
自由で破滅的な生き方をした、ひとりの男のきれいごとではない青春の純粋さの悲劇を描いた 「仁義の墓場」
私が最も敬愛する深作欣二監督の「仁義なき戦い」などの実録ものの映画には、戦後の闇市という風俗への愛惜の情が繰り返し現われます。あの戦後の未曽有の混乱の中から、垣間見られた自由への憧れを、我々はその後、創造的に伸ばし得たであろうか? 平和の回復で我々は、再び転向したのではないか? と問いかけるように-------。深作欣二監督の「仁義の墓場」を観ていて、私がしきりに思い出すのは、黒澤明監督の「酔いどれ天使」という映画です。この「酔いどれ天使」は、戦後の闇市を肩で風を切って歩いていたやくざを主人公にしたものでした。三船敏郎の出世作となったそのやくざは、破滅型の男で、肺病で血を吐きながら、山本礼三郎の演じる兄貴分にドスを向けていって、逆に殺されてしまいます。あの映画くらい、この捨てばちな生き方こそが今のこの時代の精神だと、戦中派の人々は感じたのではないかと思います。そして、恐らく同世代の深作欣二監督...この感想を読む