大王のあらすじ・作品解説
『大王』は、黒田硫黄が1993年から1999年にかけて、講談社の『月刊アフタヌーン』や『モーニング新マグナム増刊』、イスートプレスの『COMIC CUE』、大日本印刷ICC本部発行の『季刊・本とコンピュータ』などに掲載した短編漫画を集めた作品集で、1999年8月にイーストプレスから単行本が刊行された。なお本作は、漫画雑誌に掲載された内容に加えて、描き下ろしの短編「まるいもの」と芸術総合誌『ユリイカ』に掲載されたエッセイ「西遊記とわたし。」も収録されている。 この作品集は、バラエティー豊かな黒田硫黄の短編を収録している。たとえば、デビュー作の「蚊」や手塚治虫の作品をカヴァーした「メトロポリス」、よしもとよしともが原作とネームを担当した「あさがお」などがある。また「象夏」と「象の散歩」の2作品には、黒田硫黄が好んで作中に登場させる象がモチーフとして使われている。さらにこの2作品には、黒田作品に通底する物事にこだわらない潔さが鮮やかに描かれているのが特徴的である。