刑務所の中のあらすじ・作品解説
「刑務所の中」は、青林工藝舎の漫画雑誌「アックス」で連載され、単行本は青林工藝舎から、文庫版は講談社から、それぞれ刊行されている作品である。文庫版は、カラーイラストおよび1章が足されて出版されている。本来は怪奇漫画路線であった作者の花輪和一自身の、服役体験をもとにしたエッセイ漫画。 花輪は、銃砲刀剣類不法所持と火薬類取締法違反での懲役刑を受けている。その刑期中の服役生活での記憶や、日記などをもとに、刑務所の生活が克明に描き出されている。拘置所でのことや、刑務所の雑居房に移ってからのこと、さらに同じ部屋になった囚人の言動など、人物が操る方言についてなど、相当細部にわたるまで漫画に表現しており、また獄中記エッセイ漫画としての珍しさから注目を集め、映画化もされるに至った。手塚治虫文化賞にノミネートもされ、受賞最有力とされていたものの、花輪本人の抱く賞全般への見解から、本作が同賞を受賞することはなかった。