金田一少年の事件簿の感想一覧
漫画「金田一少年の事件簿」についての感想が4件掲載中です。実際に漫画を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
あの頃のみゆきちゃん
高遠とはじめちゃんは似ている?「常に隣にありながらも、決して交わることのない平行線」・・・漫画「光と陰」「コインの表と裏」・・・ドラマこれらは、地獄の魔術師高遠が金田一に言っている言葉である。お互いを永遠の宿敵と認めてはいるものの、殺人を行う高遠と事件を解決する金田一、信念は真逆のように感じるが、高遠は更に自身と金田一を比べ「双子のように」と表現をしているほど。一見似た者同士だと言っているように捉えられる。ただ、金田一側からのこういった発言はない。私は正直、似ていると断言はしにくいものの、根本的な【人間の軸】となる部分は似ているのではないかと思っている。まず、金田一はじっちゃんの血を受け継いでか、異様なまでに”正義感”が強いと言える。私なら、身の回りで起こった事件には関わりたくないだろうし、ましてや「ここがおかしい?」とあれこれ詮索したのちに(それくらいはするだろう)、わざわざ担当の警...この感想を読む
少年漫画における推理ミステリの金字塔
推理ミステリの礎となった作品90年代までの漫画において、推理ミステリは決して一般的ではなかった。それを変えたのが、『名探偵コナン』と『金田一少年の事件簿』である。共に殺人事件を取り扱った推理ミステリでありながら、両者の作品性は異なっている。『名探偵コナン』が一話完結型の殺人事件が多いのに対し、『金田一少年の事件簿』は一箇所で行われる連続殺人事件がメインとなり、一エピソードも数話にまたがって続いていくことがほとんどだ。他にも、『金田一少年の事件簿(以下、金田一)』はミステリ用語でクローズドサークルといわれる、閉じられた空間(たとえば無人島や雪山)が舞台として多用されること。また、伝奇・伝説をモチーフにした殺人鬼が現れ、一見ホラーのようなテイストになっている話が多いことも『名探偵コナン』との違いである。更に、数話にまたがる一エピソードを利用し、雑誌掲載時に読者に犯人を予想させるクイズも、『...この感想を読む
ただの推理漫画ではない
長年連載している「金田一少年の事件簿」ですが、近年短編集が出たり他の登場人物のスピンオフが出る等、いまだに人気の作品です。初期作品と今ではだいぶ雰囲気も異なりますが、やはり金田一少年の事件簿といえば初期作品の独特の暗さ・描写の残酷さが特徴のひとつではないでしょうか。よく、少年サンデーに同時期から連載されている推理漫画「名探偵コナン」と比較されがちですが、より事件のひとつひとつのストーリーに重きを置いているのが金田一少年の事件簿、事件のトリック自体に重きを置いているのが名探偵コナンかなと思います。とくに金田一少年の事件簿では、殺人事件の動機が「復讐」であることが多いです。それだけにかなり殺人の描写もむごいものになっており、画力の高さもあり読んでいると目を背けたくなるコマも・・・。「そんなことで殺人を犯すのか」と思うようなことがきっかけになっている作品もありますが、多くの犯人は悲しい過去を...この感想を読む
とんでもないトリックが金田一一を惑わす!
ふとしたことから無人島で生活することになってしまった金田一一を含めた不動向高校のメンバー。そこでいきなり出会ったサバイバルゲームのメンバーと行動を主にするようになるが、そこで連続殺人事件が発生します。この話で私が驚いたのは実は犯人が2人いて、そのうちの1人は一と同じ不動高校の生徒だったのです。不動高校の生徒の1人とサバイバルチームのメンバーの1人はかつて、自分たちが住んでいた村を焼かれ、そこで生活していた家族などは逃げ遅れて死んでしまいました。その火事を原因を作ったサバイバルチームのメンバーを全員殺そうと、2人のうち1人はサバイバルチームへ入り、もう1人は不動高校に入学して普通の高校生活を送り、何年もその殺人計画を実行するときを待っていました。この話は動機が非常に同情できるものであり、長きにわたってその恨みを温めていた様子が描かれていることから、非常にリアリティが感じられる話です。今で...この感想を読む